ねらい
教科書の対話文では、2人が1行ずつ交代で話します。けれども実際の会話では、聞き手は黙って自分の番を待っているわけではありません。Really? とおどろき、Oh, no. と残念がり、At two? と聞き返します。相づちを足して読むは、相手の行が終わるたびに、内容に合う相づちを1つ足してから、自分の行を読む活動です。
相づちは1〜2語ですが、合うものを選ぶには、いま相手が何を言ったかが分かっていなければなりません。Japan lost. のあとに Great! と言えば、内容がつかめていないことがその場で見えます。音読をしながら、理解の確かめができます。
相手の言葉に反応することは、話すこと[やり取り]の土台でもあります。本文の決まったせりふの中で反応の言い方を口に慣らしておくと、台本のないやり取り(即興のやり取り)に向けた準備になります。
手順
- 対話文の意味をつかみ、役ごとに読めるようになったあとに置きます。
- 相づちの一覧を配るか、板書します。先生のあとについて言い、意味と言い方(上げるか下げるか)を確かめます。
- ペアで役を決めて読みます。相手の行が終わったら、一覧から合う相づちを1つ足してから、自分の行を読みます。
- 役を交代して、もう一度読みます。
- 最後は一覧を見ずに、相づちを入れて読みます。ペアで、相づちの数ではなく、内容に合っていたかを確かめます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Listen to your partner. Then add one reaction. |
| 読むとき | Say your reaction first. Then read your line. |
| 合わない相づちのとき | Does that reaction fit? Read the line again. |
| 一覧をしまうとき | No list this time. Choose your own reactions. |
配る一覧の例です。上がり調子で言うものに↗をつけています。
| 相づち | 使う場面 |
|---|---|
| Really? ↗ | おどろいたとき |
| I see. | 分かったとき |
| Me, too. | 自分も同じとき |
| Oh, no. | 残念なとき、気の毒なとき |
| Wow! | 感心したとき |
| That's nice. | よかったとき |
| You can do it! | 応援するとき |
| 相手の語のくり返し ↗(At two?) | 聞き返すとき |
一覧の相づちは、先生がふだんのティーチャートークやオーラル・イントロダクションの中で使って見せておくと、生徒が意味と使いどころをつかみやすくなります。
見本
- Ms. Green:Good morning, Riku. You look sleepy.
- Riku:Good morning, Ms. Green. I went to bed at two last night.
- Ms. Green:At two? Were you studying for the test?
- Riku:No. I was watching a soccer game on TV. Japan played Brazil.
- Ms. Green:Oh, I watched it, too! What a game!
- Riku:But Japan lost. I was so sad.
- Ms. Green:Me, too. But the last goal was beautiful.
- Riku:Yes! Number 10 was amazing. I want to play like him someday.
- Ms. Green:Then don't sleep in class today. You have practice after school, right?
- Riku:Right. I'll try!
この対話文には、もともと相づちが入っています。3行目の At two? は、2行目の at two をくり返した聞き返しです。7行目の Me, too. は、リクの I was so sad. を受けた相づちです。5行目の Oh, や8行目の Yes!、10行目の Right. も、相手の言葉への反応です。最初にこれを探させると、生徒は「相づちは本文にもある」と気づき、足す場所の見当がつきます。
そのうえで、足す相づちの例です。
| 何行目のあと | 足す相づち(だれが) | なぜそれか |
|---|---|---|
| 4行目 | Wow!(グリーン先生) | 日本とブラジルの試合と聞いて感心する。5行目の I watched it, too! にもつながる |
| 5行目 | Really?(リク) | 先生も同じ試合を見ていたことへのおどろき |
| 6行目 | Oh, no.(グリーン先生) | リクの「とても悲しかった」に寄りそう |
| 8行目 | You can do it!(グリーン先生) | リクの「いつか10番のように」を応援する。9行目の Then にもつながる |
6行目のあとに Great! と言う生徒が出たら、すぐには直さず、「Great? リクはどんな気持ち?」と聞き返します。6行目の I was so sad. を指せば、生徒は自分で Oh, no. に言い直せます。合わない相づちは、読み落としが見えた所なので、教えるよい機会です。
6行目のあとに Really? を入れる生徒もいます。これは、合うかどうかで意見が分かれます。グリーン先生は5行目で、同じ試合を見たと言っています。日本が負けたことはもう知っているので、おどろく Really? はやや合いません。同じ Really? でも、5行目のあとのリクには合い、6行目のあとのグリーン先生にはやや合わないのは、聞き手が何を知っているかが違うからです。「先生は、試合の結果を知っていた?」と聞くと、相づちを選ぶには、相手の言葉だけでなく、聞き手の立場まで読む必要があることが見えてきます。I know. と言う生徒が出れば、それも合う相づちです。
変化をつける
- やさしくする: 相づちを4つ(Really? / I see. / Me, too. / Oh, no.)にしぼります。足す場所も、先生が本文に★で示しておきます。
- むずかしくする: 相づちのあとに、質問を1つ足します(Wow! Who did you watch it with?)。聞かれた側は、本文にない答えをその場で返します(With my father.)。決まったせりふの中に、小さな即興が1つ入ります。
- 高校では: つなぎのことば(Well, や I see your point, but など)を足します。意見を述べ合う対話文で、相手の意見を受けてから自分の意見を言う形にすると、相づちが論の受け渡しになります。
つまずきと手当て
- 同じ相づちばかりになる: Really? が続くような場合は、同じ相づちは2回まで、と決めます。使った相づちに一覧で印をつけさせると、偏りが本人に見えます。
- 合わない相づちが出る: 見本のとおり、すぐには直さず、証拠の行に戻して本人に言い直させます。
- 相づちが棒読みになる: 相づちは、言い方で意味が変わります。Really? も、上げればおどろきに、平たく言えば気のない返事に聞こえます。気持ちで読み分ける練習は気持ちカード音読へ。
- 相づちを忘れて、本文だけを読み進める: 相手の行が終わったら相手の顔を見る、相づちを言うまで自分の行は読まない、と決めます。
出どころ
相づちや聞き返しを練習する活動は、話すこと[やり取り]の指導で広く使われています。本文に合いの手を入れる活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも1つのまとまりとして扱われています。このレシピの相づちの一覧、足す相づちの表、同じ相づちは2回までの決まりは、このサイトで作ったものです。