ねらい
本文を4つの場面に分けるには、話がどこで変わるかを見つけなければなりません。時、場所、話題、気持ちが変わる行が、区切りの候補です。4コマにするは、本文を4つの場面に割り、1コマずつ絵と吹き出しで描く活動です。区切る場所を決めることが、そのまま話の組み立てを読むことになります。
絵は棒人間で十分で、うまさは問いません。吹き出しには、その場面の本文から1文だけを選んで入れます。場面の中でいちばん大事な1文を選ぶのも、読みの仕事です。コマの下には、日本語か英語で短い説明を書きます。4コマの下の説明をつなげると、本文のあらすじになります。
描き終えたら、教科書を閉じ、4コマを見ながら内容を話します。絵が手がかりになるので、本文を見ずに語り直すリテリングの入口として使えます。絵を見て本文どおりに言えるまで練習するなら、絵を見て言うに進めます。
手順
- 本文の内容をひととおりつかんだあとに置きます。
- 1人で3分、本文を4つの場面に分け、区切りの行に線を引きます。
- 1コマ3分で描きます。棒人間の絵、吹き出しに本文の1文、コマの下に短い説明です。
- ペアで3分、4コマを見せ合い、区切りが違う所を話し合います。
- 教科書を閉じ、自分の4コマを見ながら、ペアに内容を話します。交代します。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 区切るとき | Make four scenes. Where does the scene change? 場面が変わるのはどこ? |
| 描くとき | Stick figures are OK. Three minutes for each picture. |
| 吹き出しを選ぶとき | One sentence for each picture. Which sentence is the most important? |
| 話すとき | Close your textbook. Look at your pictures and tell the story. |
見本
- Ms. Green:Good morning, Riku. You look sleepy.
- Riku:Good morning, Ms. Green. I went to bed at two last night.
- Ms. Green:At two? Were you studying for the test?
- Riku:No. I was watching a soccer game on TV. Japan played Brazil.
- Ms. Green:Oh, I watched it, too! What a game!
- Riku:But Japan lost. I was so sad.
- Ms. Green:Me, too. But the last goal was beautiful.
- Riku:Yes! Number 10 was amazing. I want to play like him someday.
- Ms. Green:Then don't sleep in class today. You have practice after school, right?
- Riku:Right. I'll try!
この対話文を4コマに割った例です。
| コマ | 本文の行 | 絵 | 吹き出し | 下の説明 |
|---|---|---|---|---|
| 1 | 1〜3行目 | あくびをするリクと、グリーン先生 | I went to bed at two. | 月曜の朝、リクはねむい |
| 2 | 4〜5行目 | テレビに映るサッカーの試合 | Japan played Brazil. | 先生も同じ試合を見ていた |
| 3 | 6〜8行目 | 肩を落とすリクと、ゴールの場面 | But Japan lost. | the last goal was beautiful |
| 4 | 9〜10行目 | グリーン先生と、リクの頭に浮かぶ放課後の練習 | Then don't sleep in class today. | 今日は放課後に練習がある |
吹き出しの文は、本文の1文をそのまま入れるか、場面に要る所だけに短くします。1コマ目の I went to bed at two. は、2行目の文を短くしたものです。
割り方は1つではありません。1〜2行目(あいさつとねむいわけ)、3〜5行目(試合の話)、6〜7行目(負けた気持ち)、8〜10行目(10番とこれから)と割る生徒も出ます。割り方が分かれたら、区切りの行とそのわけを言わせます。「4行目で話題が試合に変わるから」「6行目の But で気持ちが変わるから」のように、わけが本文の語で言えれば、どの割り方も認めます。
いちばん違いが出るのは、4コマ目の吹き出しです。8行目の I want to play like him someday. を選んだ生徒は、この会話をリクの夢の話として読んでいます。見本のように9行目の Then don't sleep in class today. を選んだ生徒は、1コマ目のねむいリクに話が戻る会話として読んでいます。2つの4コマを並べると、1行目の You look sleepy. と9行目の don't sleep in class が、会話のはじめと終わりで呼び合っていることに気づく生徒が出ます。
変化をつける
- やさしくする: 4つの場面の説明(日本語)を先生が渡し、生徒は絵と吹き出しだけを描きます。区切りを探す手間が減るので、吹き出しの1文選びに集中できます。
- むずかしくする: 3コマにして、どの場面を落とすかを選ばせます。落としても話が通じる場面と、落とすと通じなくなる場面を比べると、本文の幹と枝が見えてきます。
- 5コマ目を足す: 「このあと何が起きる?」を5コマ目に描かせます。本文にない場面なので、吹き出しの英語は自分で書きます(Riku, wake up! や I did it! など)。
- 並べかえる: 描いた4コマを切り離して混ぜ、ペアに元の順に並べさせます。並べかえて戻すの絵の版で、並べ終えたら、その4コマを見て話す練習にそのまま進めます。
- 物語で: 時と場所の語(after school, the next morning)が区切りの手がかりになります。せりふのない場面は、吹き出しを心の中の声にしてかまいません。
- 高校では: 短編の物語を絵コンテにします。コマの数は決めず、場面の数を自分で決めさせ、各コマに本文の1文を添えます。いくつの場面に分けたかを比べると、そのまま話の組み立ての読みの比べ合いになります。
つまずきと手当て
- 絵に凝って時間切れになる: 1コマ3分、棒人間で、と最初に決めます。タイマーを見せ、色はぬらないことにします。
- 吹き出しに本文を全部写す: 1コマ1文と決めます。どの1文を選ぶかが読みの仕事で、写す量が増えるほど、選ぶ仕事は減ります。
- 行の数で機械的に分ける: 10行を2〜3行ずつに割るだけの生徒には、「そこで何が変わった?」と聞きます。But や Then のような、話の向きを変える語に目を向けさせます。
- 絵が苦手で手が止まる: 絵のかわりに記号(テレビの四角、サッカーボール、時計)でもよいことにします。見ているのは描く力ではなく場面を選ぶ力だ、と先に伝えておきます。
出どころ
本文の内容を絵で表す方法は、英語の授業で広く使われています。本文の場面をマンガのコマに割る活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも、イラストや写真を使う活動の1つとして挙げられています。このレシピの「1コマ3分・1コマ1文」の決まり、見本の割り方、割り方を比べる手順は、このサイトで作ったものです。