ねらい
本文の1場面を、班で30秒の映画に撮る活動です。班の中で監督・カメラ・役者に分かれ、撮る前に3コマの絵コンテを描きます。せりふは本文の英語のままで、班が決めてよいのは、表情・間・動き・カメラの位置です。
映画にするには、本文に書いていないことを決めなければなりません。せりふをどんな顔で言うのか、だれがどこに立っているのか、どこで間をあけるのか。絵コンテを描くあいだ、班は本文の行を指さしながら「ここで傘を差し出す」「ここは目をそらす」と、読みを言葉にしていきます。声だけ劇場が声だけで場面を見せる活動なら、こちらは顔と動きも使って見せる活動です。
撮った映画には観客がいます。上映会で見られると分かっているので、せりふを聞き取れる声で言う理由が、生徒の側にできます。
手順
- 本文の内容をつかみ、役ごとに読めるようになってから置きます。4〜5人の班で、監督・カメラ・役者(本文の人物の数)・語り手(声だけ)を決めます。
- 班で6分、撮る場面(本文の3〜5行)を選び、3コマの絵コンテを描きます。各コマに、どの行か・だれがどこにいるか・カメラの向き(遠くから/近くから)を書きます。
- 班で5分、役者がせりふを練習します。監督は絵コンテを見ながら、表情と間を1つずつ決めます。せりふは本文の英語のままです。
- 撮影は7分です。撮るのは1場面30秒まで、撮り直しは1回まで。撮る場所は教室の中か、先生が決めた所だけにします。
- 上映会(7分)。班ごとに流し、見た人は「いちばん場面が伝わった1カット」を1つ選び、なぜかを1文で言います。撮った動画は授業の中で見るだけにし、学校の決まりに従って扱います(ネットに上げない)。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Your group is a film crew. Choose a director, a camera person, and actors. |
| 絵コンテのとき | Draw three frames. Which line? Who is where? |
| 撮影の前に | Speak clearly. The audience must hear every word. |
| 上映会で | Which shot showed the scene best? Why? |
見本
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
- “Here,” he said. He gave her the umbrella and ran into the rain.
この2行(物語の3〜4行目)で描いた、3コマの絵コンテの例です。
| コマ | 本文 | だれがどこに・カメラ | 監督が決めること |
|---|---|---|---|
| 1 | 3行目の前半 | 校門の屋根の下にミカとソウタ・遠くから2人を | 雨の音のあとに、語り手が He had a big blue umbrella. |
| 2 | 3行目の後半 | ソウタの顔・近くから | 雨を見て、次にミカを見る。そのあと少し間をあける |
| 3 | 4行目 | 傘を渡す手・近くから。走っていく背中・遠くから | "Here," は短く。ran into the rain で走り出す |
2コマ目の「雨を見て、次にミカを見る」は、本文の He looked at the rain, and then he looked at Mika. の and then を、そのまま動きにしたものです。本文の語が、監督の指示になっています。
3コマ目で "Here," を短く言うのは、ソウタが多くを言わない人物だからです。2行目の they didn't talk much と、9行目の Sota didn't say anything がその手がかりです。せりふ1語の言い方を、班は本文の別の行から決めています。絵コンテに「なぜその顔か」の行番号を書かせると、演出の話し合いが本文の読みの話し合いになります。
1場面を30秒・3コマにしぼるのは、撮影と上映を1時間の中に収めるためです。長い場面を撮ろうとすると、撮影に時間を取られ、英語を言う時間が減ります。
変化をつける
- やさしくする: 撮らずに、絵コンテを見せながらその場で演じるだけにします(端末がないときも同じ)。見ている班は、どのコマの場面かを当てます。
- むずかしくする: 本文にない語り手の1文か、場面のはじめの1行を英語で足させます。足した1文は、上映のあとに明かします。
- 対話文で: 対話文には場所が書いていないことが多いので、1コマ目で場所を決めさせます。その場所に合う声の大きさまで決めると、場面チェンジ!につながります。
- 高校では: 本文の論点が見える場面を選ばせ、上映の前に「この30秒で伝えたいこと」を英語1文で言わせます。
つまずきと手当て
- 撮ることに夢中で、英語が聞き取れない: 上映会の決まりに「せりふが全部聞き取れること」を入れます。聞き取れない班は、撮り直しの1回を声のために使います。
- 顔を映したくない生徒がいる: カメラ・監督・語り手(声だけ)でも参加できます。役者でも、手元や背中だけを映すコマにしてよいことにします。
- 時間が足りない: 絵コンテと練習を1時間目に、撮影と上映会を2時間目に分けます。
出どころ
本文を劇や映像にする活動は、演劇の手法を取り入れた英語の授業(ドラマ活動)として広く行われてきました。1人1台の端末で撮影と上映が授業の中でできるようになり、短い映像にする形が取り入れやすくなっています。この活動の、3コマの絵コンテ、30秒と撮り直し1回の決まり、上映会の「いちばんの1カット」、見本の絵コンテは、このサイトで作ったものです。