ねらい
物語の出来事を、登場人物が書いた短い投稿の流れ(タイムライン)に書きかえる活動です。投稿には時刻をつけ、1つ2文まで。ほかの人物は返信を書きます。書くのは紙のタイムラインの上だけで、本物の SNS には書きません。
投稿を書くには、その時刻に人物が何を知っていたかを決めなければなりません。雨の放課後のミカは、ソウタがかぜをひくことをまだ知りません。翌朝、ソウタの声がおかしいと気づいて、初めて知ります。知らないことを先に投稿すると、物語と食い違います。だれが、いつ、何を知ったかを本文から読み取ることが、そのまま書く材料になります。
視点を変えて語るが1人の人物の目で語り直す活動なら、こちらは何人もの人物の声が時刻の順に並ぶ形です。1つの投稿は短いので、長い文を書くのが苦手な生徒も手が動きます。
手順
- 物語の内容をつかんだあとに置きます。ノートに縦の線を1本引き、左に時刻、右に投稿を書く枠を作ります。
- ペアで3分、本文の出来事を時刻の順に3〜4つ書き出します(放課後・その帰り道・翌朝など)。時刻は、本文の時を表す語から考えて決めます。
- 1人で7分、出来事ごとに人物の投稿を書きます。1つ2文まで、その時刻にその人物が知っていることだけ、が決まりです。ハッシュタグを1つつけてよいことにします。
- ペアでノートを交換し、相手の投稿の1つに、別の人物として返信を書きます(3分)。
- 返ってきたノートを読み、知らないはずのことを書いていないかを、本文の行で確かめます(2分)。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | You are the characters. Write their posts with the time. |
| 書く決まりを示すとき | Two sentences per post. Write only what the character knows at that time. |
| 返信のとき | Reply as another character. |
| 確かめるとき | Did the character know this at that time? Show me the line. |
見本
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
- Then Sota came out. He was in her class, but they didn't talk much.
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
- “Here,” he said. He gave her the umbrella and ran into the rain.
- The next morning, Mika went to Sota's desk. “Thank you for yesterday. Here's your umbrella.”
- Sota smiled, but his voice sounded strange. He had a cold.
- “No problem,” he said. “I like rain.”
- Mika knew that wasn't true. She took a small bag out of her pocket. There were three lemon candies in it.
- “For your throat,” she said. This time, Sota didn't say anything, but his face turned a little red.
この物語で書いたタイムラインの例です。
| 時刻 | だれの投稿 | 投稿 | もとにした行 |
|---|---|---|---|
| 4:10 p.m. | ミカ | It's raining hard. I don't have an umbrella. #rainyday | 1行目 |
| 4:20 p.m. | ソウタ | I gave my umbrella to Mika. Now I'm running home in the rain! | 3〜4行目 |
| 8:00 a.m. | ミカ | Sota's voice sounds strange today. Is it because of yesterday? | 5〜6行目 |
| 8:05 a.m. | ソウタ(返信) | No problem. I like rain. | 7行目 |
1本目のミカは、まだソウタが来ることを知りません。ここで「ソウタが傘をくれた」と書くと、時刻の順と食い違います。2本目のソウタの投稿は本文にない言葉ですが、傘を渡して雨の中を走った(4行目)という事実から、その時刻にソウタが書けることを考えています。
4本目の返信は、本文7行目のせりふをそのまま使っています。8行目に Mika knew that wasn't true. とあるので、この返信を読んだミカの次の投稿を書かせると、行間の読みを書く練習になります。返信の形にすると、人物どうしが何を言わずにいたかが目に見えてきます。
変化をつける
- やさしくする: 投稿は1つ1文にして、出来事の時刻と人物は先生が板書しておきます。
- むずかしくする: 本文に出てこない人物(ミカの友達など)の返信も1つ入れさせます。その人物が知りえないことは書けないので、だれが何を見ていたかをもう一度考えることになります。
- 対話文で: 会話の前に人物が書きそうな投稿と、会話のあとの投稿を1つずつ書きます。会話の場面と目的がはっきりします。
- 高校では: 説明文やスピーチの筆者の投稿にして、本文の主張を2文の投稿にまとめさせます。ハッシュタグに本文のキーワードを使わせると、要旨の読み取りになります。
つまずきと手当て
- 本物の SNS に書こうとする: 紙かノートの上だけで書く、と最初に決めます。実在の人や同じクラスの人の名前は使いません。
- 投稿が長くなる: 1つ2文までの決まりを守らせます。長くなった投稿は、いちばん言いたい1文だけを残させます。
- 時刻が決められない: 本文の時を表す語(after school・The next morning)に印をつけさせ、そこから時刻を決めます。
出どころ
物語を手紙や日記、メッセージなど別の書き物の形に書きかえる活動は、読みと書きをつなぐ方法として広く使われてきました。この活動の、時刻つきの投稿と返信の形、その時刻に人物が知っていることだけを書く決まり、見本のタイムラインは、このサイトで作ったものです。