ねらい
キーワードを空けた本文を、頭の中で補いながら読む穴あき音読は、音読の型の1つとしてよく使われます。品詞ぬき音読は、その穴を開ける語を品詞で決める形です。1回目は動詞だけ、2回目は前置詞だけ、というように、抜く品詞を変えて同じ本文を読みます。頭文字だけ本文がすべての語に1文字の手がかりを残すのに対して、こちらは1つの品詞だけを丸ごと消し、ほかの語は全部残します。
抜く品詞を決めると、生徒の目が向く所が決まります。動詞を抜くと、だれが何をするかという文の骨組みが見え、時制や三単現の s を自分で決めることになります。前置詞を抜くと、come by bike、on the bus、near our school のような、語と語の組み合わせ(チャンク)に目が向きます。どちらも、本文を見ながら読んでいるだけでは素通りしやすい所です。覚える工程の途中に置くと、本文を丸ごと覚える前に、形に気をつけて読む回が1回入ります。
手順
- プリントを作ります。本文の動詞を( )にした版と、前置詞を( )にした版の2枚です。空けるのは1文に1〜2か所までにします。
- 本文を音読で練習したあとに配ります。まず1人で、( )の所を補いながら小さな声で読みます(2分)。( )には書き込みません。
- 教科書で確かめ、言えなかった所に印をつけます。
- ペアで、1人がプリントを読み、もう1人が教科書を見ながら聞きます。交代します(3分)。
- 前置詞の版で、同じように読みます。時間がなければ、前置詞の版は次の時間の最初に回します。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 配るとき | Some verbs are missing. Say them as you read. 書き込まないで、声で補う |
| 迷っている生徒に | Read the whole sentence first. Who does what? |
| 確かめるとき | Past or present? How do you know? どの語で決めた? |
| 前置詞の版で | This time, the prepositions are missing. Look at the words before and after. |
書き込ませないのは、声で補うのがねらいだからです。書いてしまうと、2回目からは書いた語を読むだけになります。
見本
- We asked 32 students in our class, “How do you come to school?”
- Sixteen students walk. Walking is the most popular way.
- Ten students come by bike. Most of them live more than two kilometers away from school.
- Four students take a bus, and two students come by car.
動詞を( )にすると、次のようになります。
| 行 | 動詞を空けた文 | 入る語 |
|---|---|---|
| 1 | We ( ) 32 students in our class, "How do you ( ) to school?" | asked・come |
| 2 | Sixteen students ( ). Walking ( ) the most popular way. | walk・is |
| 3 | Ten students ( ) by bike. Most of them ( ) more than two kilometers away from school. | come・live |
| 4 | Four students ( ) a bus, and two students ( ) by car. | take・come |
1行目の do と2行目の Walking は残しています。do は疑問文を作る語で、Walking は「歩くこと」という主語だからです。抜くのは「主語が何をするか、どうであるか」を表す動詞だけ、と決めておくと、プリントを作るときに迷いません。
答えが割れやすいのは、次のような所です。1行目の asked を ask と読む生徒がいます。調べたのはもう終わったことなので過去形で、5行目の We also asked が手がかりになります。2行目の最初の( )に come を入れる生徒もいます。文としては成り立ちますが、次の文の Walking is the most popular way. を読めば walk だと決まります。
3行目の live に s をつける生徒には、主語の Most of them が複数であることを確かめます。4行目の最初の( )には、come は入りません。( )のすぐあとに a bus が来るので、take や ride のように、うしろに名詞をとる動詞が要ります。1つの( )だけでなく、文の終わりや次の文まで読んでから決める、という読み方の練習になります。
前置詞の版では、次のような所を空けます。
| 行 | 前置詞を空けた文 | 入る語 |
|---|---|---|
| 3 | Ten students come ( ) bike. | by |
| 8 | Bus riders said, "I can read a book ( ) the bus." | on |
| 9 | But some students said, "I want to come ( ) bike, but the hill ( ) our school is too steep." | by・near |
| 10 | What can we do ( ) the hill? | about |
by bike には a も the もつかないのに、バスの中で本を読むのは on the bus です。8行目に in を入れる生徒が出たら、バスや電車は on、車は in(in the car)と、組み合わせで覚える語だと話す場面になります。10行目の about は、What can we do about ...? のまとまりで覚えたい所です。for を入れると「坂のために何ができるか」になり、意味が変わります。
変化をつける
- やさしくする: 抜いた語を、順番をばらしてプリントの下の枠に並べておきます。枠の語を選びながら読めばよいので、中1や、音読がまだ不安な生徒でも回せます。
- むずかしくする: 前置詞と冠詞をいっしょに抜きます(read ( ) book ( ) ( ) bus)。a か the か、そもそも要るのかを、語の組み合わせで決めることになります。
- 物語で: 動詞の版がよく合います。過去形で書かれた物語なら、waited と ran のような、規則的に変わる動詞と不規則に変わる動詞を、声に出しながら確かめることになります。
- 高校では: つなぎのことば(however・for example・as a result など)を抜きます。前の文と次の文がどうつながっているかを考えないと入らないので、段落の論の流れを読む練習になります。
つまずきと手当て
- 当てずっぽうで入れる: 1つの( )だけを見て、思いついた語を入れています。「文の終わりまで読んでから」「次の文まで読んでから」と決めておきます。2行目の walk のように、次の文が答えを決める所を1つ見せると、読み方が伝わります。
- 空けすぎて、読めない: 1文に1〜2か所までにします。動詞と前置詞を同じ版で抜くと、文の骨組みがほとんど残りません。1回に抜く品詞は1つです。
- 品詞の名前で迷う: 品詞の名前を覚えるのが目的ではありません。動詞なら「主語のあとに来て、〜する・〜だ、にあたる語」と言いかえて配ってもかまいません。
出どころ
文章の語を空けて補わせる方法は、クローズ法(cloze procedure)として知られています。ウィルソン・テイラーが1953年に示したもので、もとは文章の読みやすさを測る方法として、一定の語数ごとに語を消すのが基本の形でした。品詞を決めて消すのは、そこから広がった使い方です。品詞ごとに穴を開けて読む活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章にも見られます。このレシピの、抜く品詞ごとに目の向く所を分ける考え方と、見本の2つの版は、このサイトで作ったものです。