ひとことで言うと
サイトトランスレーションは、英文を意味のまとまり(チャンク)ごとに区切り、前から順に日本語にしていく練習です。I went to the library / to borrow a book / about space. を「私は図書館に行った/本を借りるために/宇宙についての」と、語順どおりに言います。文の後ろから戻って訳す「返り読み」をやめて、英語の語順のまま意味を取る回路を作ります。
出どころ
通訳の訓練法の1つです。原稿を見ながらその場で訳す sight translation を、英語の読解指導に転用したもので、学習指導要領の本文には出てきません。高校の読解指導と通訳の訓練を扱う書籍で広まり、現場では「サイトラ」と略されます。
授業での実際の使い方
| 分 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|
| 0〜3 | スラッシュを入れた本文を配る(最初は先生が区切る) | 「線のところで一回止まる」 |
| 3〜8 | ペアで、Aが英語のまとまりを読み、Bが日本語で返す。1文ごとに交代 | 「後ろから戻らない。順番のまま」 |
| 8〜10 | スラッシュなしの本文で、同じことをする | 「線が無くても、切れ目を自分で見つけて」 |
区切る単位は、最初は前置詞句と接続詞の前です(to / in / because / when の手前)。慣れたら生徒に区切らせます。日本語は「きれいな訳」でなくてよく、「私は行った/図書館に」のような、まとまりを写しただけの日本語で正解にします。ここを整えさせると、返り読みが戻ってきます。
よくある誤解
- 和訳の練習ではありません。目的は日本語を作ることではなく、英語の語順で意味を取る速さです。きれいな日本語に直す段は要りません。
- スラッシュリーディングと同じではありません。スラッシュリーディングは区切って読む(黙読)こと、サイトトランスレーションは区切ったまとまりを声に出して日本語にすることです。前者が後者の準備になります。
- 全文にやる必要はありません。長い文・返り読みしがちな文だけを取り出して、1時間に3〜5文で足ります。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 扱わない(文の読みが指導の対象ではない) |
| 中学校 | 中2の後半から、不定詞・接続詞を含む文で。区切りは先生が入れる |
| 高校 | 長文読解の中心の練習。生徒が自分で区切るところまで |
| 塾 | 個別指導で、返り読みの癖がある生徒に。入試の長文で時間が足りない生徒の処方 |
この用語が出てくる教材と記事
- 精読ラダー(中1)。1文を骨まで読む15分ワークで、まとまりごとに区切る練習が入っています(中2・中3もあります)。
- 語順感覚の育て方。英語の語順で意味を取る回路を、中1から作る考え方です。
- スキミングとスキャニングの違いと教え方。前から読む速さを、読み方の使い分けにつなげます。
- 黙読で区切る形はスラッシュリーディングへ。