ねらい
何の話か分からないまま英文を読み始めると、生徒は1語ずつ意味を追うのに手いっぱいになり、話の全体が見えません。予想してから読むは、題名・挿絵・最初の1文だけを見せて中身を予想させ、そのあとで本文を読んで確かめる活動です。予想を持っていると、読むことが「自分の予想が当たっているかを確かめる」作業に変わります。
予想は3つの問いに絞ります。だれが出てくるか、何が起きるか、どう終わるか。物語なら登場人物・出来事・結末、対話文なら話し手・話題・話の行き着く先で、どれも話の骨組みにあたります。予想は外れてかまいません。予想と本文がずれた所には、ずれた理由が本文のどこかに書いてあります。答え合わせで「何行目で確かめたか」を言わせるのは、その理由を本文の中で探させるためです。
題名と挿絵は、どの教科書のどの本文にもついているので、準備は要りません。挿絵の少ないスピーチや説明文なら、本文の語を手がかりにするキーワード5つで話を作るも使えます。
手順
- 教科書は閉じたままにします。題名を板書し、挿絵だけを見せます(教科書を開くなら本文をノートで隠させ、デジタル教科書なら挿絵だけを映します)。最初の1文は先生が読み上げます。
- 1人で1分、3つの問い(だれが・何が起きる・どう終わる)について予想をメモします。日本語でかまいません。
- ペアで1分、I think ... の形で予想を言い合います。全体で2〜3人に聞き、出た予想を板書します。ここまでを3分で終えます。
- 本文を読みます。音声で聞かせてもかまいません。予想の板書は消さずに残します。
- 読み終えたら、板書の予想に○(当たった)・△(半分当たった)・×(外れた)をつけます。1つつけるたびに「何行目で分かった?」と聞き、確かめた行を言わせます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 題名を見せるとき | Look at the title and the picture. What is this story about? |
| 予想を言わせるとき | Who is in the story? What happens? How does it end? I think ... で言ってみよう |
| 読む前に | Read and check your guess. 当たっているか確かめながら読もう |
| 答え合わせで | Was your guess right? Which line tells you? 何行目で分かった? |
予想を英語で言わせるのは、言える所だけで十分です。先生が英語で本文の内容を語るオーラル・イントロダクションをする日は、その前の3分に置けます。予想を持って聞くと、先生の話を聞くことにも目的ができます。
見本
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
題名と1行目から出そうな予想の例です。
| 問い | 予想の例 | 手がかりにした所 |
|---|---|---|
| だれが | ミカと、傘を持っている友だち | 1行目 Mika didn't have an umbrella |
| 何が起きる | 友だちがミカを傘に入れて、いっしょに帰る | 1行目の umbrella と waited |
| 何が起きる | 雨にぬれて、だれかが風邪をひく(たぶんミカ) | 1行目の raining hard |
| どう終わる | だれかにレモンのあめをプレゼントする | 題名の Lemon Candies |
| どう終わる | 3人で1つずつあめを食べる | 題名の Three |
英語で言えた予想は、たとえば I think a friend will help Mika. や I think Mika will catch a cold. のような1文です。
本文を読んだあとの答え合わせです。本文の全文は次のとおりです。
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
- Then Sota came out. He was in her class, but they didn't talk much.
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
- “Here,” he said. He gave her the umbrella and ran into the rain.
- The next morning, Mika went to Sota's desk. “Thank you for yesterday. Here's your umbrella.”
- Sota smiled, but his voice sounded strange. He had a cold.
- “No problem,” he said. “I like rain.”
- Mika knew that wasn't true. She took a small bag out of her pocket. There were three lemon candies in it.
- “For your throat,” she said. This time, Sota didn't say anything, but his face turned a little red.
| 予想 | 印 | 確かめた行 |
|---|---|---|
| ミカと、傘を持っている友だち | △ | 2行目。同じクラスだが they didn't talk much で、友だちとは言いにくい |
| 傘に入れて、いっしょに帰る | △ | 4行目。傘ごと渡して、自分は雨の中へ走っていった |
| だれかが風邪をひく(たぶんミカ) | △ | 6行目 He had a cold. 風邪をひいたのはソウタ |
| あめをプレゼントする | ○か△ | 8〜9行目。渡したのはミカで、相手はソウタ。ただし For your throat |
| 3人で1つずつあめを食べる | × | 8行目。小さな袋に入った3つのあめで、ソウタに渡した |
いちばん話し合う価値があるのは、風邪の予想の△です。1行目だけを見れば、ぬれるのは傘のないミカのはずです。ところが風邪をひいたのはソウタでした。「なぜソウタが?」と聞くと、生徒は4行目の ran into the rain と6行目の He had a cold をつないで答えます。予想が半分だけ当たった所は、本文が読み手の見通しを裏切った所で、物語ではそこが山場になっていることがよくあります。
あめの予想は、○か△かで割れます。あめを渡したのは当たりです。ただ、9行目の For your throat を読むと、プレゼントというより、ソウタの風邪を気づかったあめです。どちらの印にするかを話し合うと、6行目と8行目をもう一度読むことになります。
見せる所に1行目の2文を選んだのは、雨・傘がない・校門で待つ、と場面の手がかりがそろっているからです。最後の行は見せません。結末が見えると、予想が答えの当てっこになります。
変化をつける
- やさしくする: 予想を選択肢にします(何が起きる? ア だれかが傘を貸す イ ミカが走って帰る ウ 雨がやむ)。中1の前半は、問いを「だれが」と「何が起きる」の2つに減らします。
- むずかしくする: 途中で止めて、もう一度予想させます。4行目まで読んだところで「次の日、何が起きる?」と聞くと、2回目の予想は、読んだ4行を手がかりにしたものになります。
- 説明文で: 題名と1行目から、中身の数字を予想させます。How We Come to School なら、1行目(クラスの32人に通学の方法を聞いた)を読み上げて、「32人のうち、歩いて来るのは何人?」「いちばん少ないのは何で来る人?」と聞きます。数字の予想は答えが1つに決まり、確かめる行(2行目と4行目)もはっきりしているので、中1でも答え合わせがしやすくなります。
- 高校では: 評論や説明文で、題名と各段落の最初の1文だけを読ませ、筆者の主張と結論を予想させます。英語の段落は最初の文に要点が来ることが多いので、その文だけで論の流れの見当がつきます。読み終えたら、予想と違った段落を探させます。
つまずきと手当て
- 予想が日本語ばかりになる: 認めてかまいません。この活動のねらいは中身を考えることで、英語で言うことではありません。日本語の予想は、先生が短い英語に言い直して板書します。言い直した英語は、本文を読むときに探す手がかりにもなります。慣れてきたら、I think ... の1文だけは英語で言う、と決めます。
- 予想に時間をかけすぎる: 予想は3分で切ります。うまく当てるための時間ではなく、見通しを持って読み始めるための時間です。思いつかない生徒には「3つのうち1つだけでいい」と伝えます。
- 先に本文を読んでしまう生徒がいる: 教科書は閉じさせ、挿絵は先生が見せます。塾や予習で本文を知っている生徒には、結末ではなく、本文に書いていない理由を予想させます(なぜソウタは最後に何も言わなかったのか)。この問いは、そのまま行間の推理の問いになります。
出どころ
読む前に題名や挿絵から中身を予想させる手立ては、読み手がすでに知っていること(背景知識)を呼び起こし、読む目的を持たせるものとして、読む指導で広く使われてきました。このレシピの3つの問い(だれが・何が起きる・どう終わる)と、○△×と行番号で答え合わせをする回し方、見本の予想の例は、このサイトで作ったものです。