ねらい
本文を開いたとたんに知らない語が並んでいると、生徒は最初の1行で止まってしまいます。挿絵で話すは、本文を開く前に挿絵だけを見せ、先生と生徒が英語でやり取りする活動です。先生は What can you see? / Where are they? / How does she feel? のように、絵に見えることだけを問い、生徒の短い答えを、本文に出る語を使った英語で言い直して返します。本文を開いたときには、その語に出会うのが2回目になります。
決まりは1つです。話の筋は明かしません。絵に描いてある場面・人・物・様子は言葉にしますが、このあと何が起きるかには触れません。
オーラル・イントロダクションは先生が本文の内容を英語で語って聞かせる導入で、予想してから読むは生徒に筋を予想させる活動です。挿絵で話すは、そのどちらの手前にも置ける、場面と語をそろえるだけの短いやり取りです。
手順
- 教科書は閉じたままにします。挿絵だけを見せます。デジタル教科書なら挿絵だけを映します。挿絵の無い本文なら、黒板に簡単な絵をかいておきます。
- 先生が、絵に見えることを英語で問います。What can you see? から始めて、場所・天気・持ち物・様子へと広げ、4〜6問を3分ほどで聞きます。答えは1語でかまいません。
- 生徒の答えを、先生が本文に出る語を使った文で言い直し、その語だけを板書します(3〜4語)。生徒が Rain. と答えたら、Yes. It's raining hard. と返して raining hard と書きます。
- ペアで1分、絵を指しながら、板書の語を使って、絵の中のことを1人2文ずつ言います。
- 教科書を開いて本文を読みます。板書の語が出てきたら丸をつけさせます。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 絵を見せるとき | Look at the picture. What can you see? |
| 場所と様子を聞くとき | Where is she? Is it sunny or rainy? |
| 答えを言い直すとき | Rain? Yes. It's raining hard. 本文に出る語で返す |
| 筋を聞かれたとき | Good question. Let's read and find out. 続きは本文で |
見本
見本の本文には挿絵がありません。そこで、物語 Three Lemon Candies の1〜3行目の場面を、1枚の絵にして見せることにします。
- It was raining hard after school. Mika didn't have an umbrella, so she waited at the school gate.
- Then Sota came out. He was in her class, but they didn't talk much.
- He had a big blue umbrella. He looked at the rain, and then he looked at Mika.
見せるのは、こんな絵です。雨が強く降っている放課後の校門。門のそばに、傘を持っていない女の子が立っています。校舎からは、大きな青い傘を持った男の子が出てきます。4行目から先のこと(男の子が傘を渡して、雨の中へ走っていく)は描きません。
この絵で出せる問いと、答えの例、そこで出しておく語です。
| 先生の問い | 生徒の答えの例 | そこで出しておく語 |
|---|---|---|
| What can you see? | Rain. / A girl. / A boy. | raining hard(Yes. It's raining hard. と返す) |
| Where is the girl? | School. / 校門 | school gate(She is at the school gate.) |
| Does she have an umbrella? | No. | umbrella(She doesn't have an umbrella.) |
| What is she doing? | (答えが出にくい) | wait(She is waiting.) |
| What does the boy have? | An umbrella. / Blue. | a big blue umbrella |
| How does she feel? | Sad. / こまってる | なし(答えは割れてよい) |
板書に残るのは raining hard・school gate・umbrella・wait の4つです。本文を開いて丸をつけさせると、4つとも1行目に出てきます(wait は waited の形で)。1行目の場面は、絵のやり取りでほとんど言葉になっていたことになり、生徒は1行目を2回目の英語として読めます。そのぶん、2行目から先の、絵に描いていないこと(2人はふだんあまり話さない、男の子は雨を見て、それからミカを見た)に目が向きます。
答えが出にくいのは What is she doing? です。待っている様子は絵から分かっても、wait という語が出てこない生徒が多いからです。ここは先生が She is waiting. と文で言い、wait を板書します。
How does she feel? の答えは、sad、cold、こまってる、と割れてかまいません。絵の表情から言えることで、筋を明かすことにはならないからです。
名前は絵からは分かりませんが、筋ではないので、先生が This is Mika. / This is Sota. と言っておいてかまいません。本文を読むときに人を取り違えなくなります。生徒から Will he give her the umbrella? のような筋の問いが出たら、答えずに、予想してから読むの予想として板書に残しておきます。
変化をつける
- やさしくする: はい・いいえで答えられる問いにします(Is it sunny? / Does she have an umbrella?)。答えは Yes. か No. と、絵を指すだけでかまいません。中1の前半は、ここから始めます。
- むずかしくする: 先生の問いのあとで、生徒が絵を3文で言います。板書の語を使えば3文になります(It's raining hard. / A girl is at the school gate. / She doesn't have an umbrella.)。ペアで1人ずつ言い、相手が言わなかったことを1つ足します。
- 高校では: 説明文や評論についているグラフや写真を描写させます。What does this graph show? / Which is the largest? と、図から読めることだけを英語で言わせ、筆者がそこから何を言いたいのかは、本文を読んで確かめることにします。
- 同じ絵をもう一度: 本文を読み、音読を重ねたあとで、同じ絵を絵を見て言うに使います。読む前は語に出会うための絵、覚える段階では本文を思い出すための絵になります。
つまずきと手当て
- 日本語で答える: 認めます。先生がその答えを英語で言い直して返します(生徒「雨がすごい」→ 先生 Yes. It's raining hard.)。生徒の日本語を、生徒に分かる英語にして返すのも、ティーチャートークの使いどころです。
- 先生が筋を話してしまう: 絵を見ていると、「このあと、この男の子は……」と続けたくなります。問いは絵に描いてあることだけにして、4〜6つを授業の前にメモしておきます。筋にかかわる問い(What will he do?)は、先生からは出しません。
- 教科書の挿絵が、話の先まで描いている: ページの挿絵が、結末の場面まで描いていることがあります。そのときは結末の絵を紙で隠すか、見せる絵を1枚に絞ります。
- 答えるのが一部の生徒だけになる: 先生とのやり取りは、手の挙がる生徒に寄りがちです。手順4のペアの1分で、全員が板書の語を口にする時間を取ります。
出どころ
絵や写真について英語でやり取りしてから本文に入る方法は、英語の授業で広く使われてきました。イラストや写真を使う活動は、田尻悟郎『英語教科書本文活用術!』(教育出版、2014)の第1章でも1つのまとまりとして扱われています。この活動の「目に見えることだけを問い、筋は明かさない」決まりと、見本の絵と問いの例は、このサイトで作ったものです。