ひとことで言うと
目的・場面・状況は、学習指導要領(外国語)が言語活動に求める3つの設定です。目的は「何のために」(相手の予定を知って会う日を決めるため)、場面は「どこで・誰と」(放課後の教室で、転校生と)、状況は「どんな事情で」(来週の土曜だけ空いている)。この3つがあると、生徒は「言わされている」のではなく「言う必要がある」状態になり、練習が言語活動になります。
出どころ
学習指導要領(小・中・高の外国語)の目標に「コミュニケーションを行う目的や場面、状況などに応じて」という文言があり、5領域の目標と言語活動の設定の中心に置かれています。「思考・判断・表現」の観点は、この目的・場面・状況に応じて英語を使えているかを評価するものなので、設定が無い活動では思考・判断・表現が評価できません。
授業での実際の使い方
教科書の練習に3つを足すと、言語活動になります。
| 学年・文法 | 練習のまま | 目的・場面・状況を足す |
|---|---|---|
| 中1・be動詞 | 隣の人に I'm from ... と言う | 目的: 新しい班で自己紹介カードを作る/場面: 班替えの初日/状況: 共通点が1つ要る |
| 中2・助動詞 | Can you ...? の練習 | 目的: 文化祭の係を決める/場面: クラスの話し合い/状況: 得意なことで分担 |
| 中3・関係代名詞 | 人物を説明する文を作る | 目的: 留学生に日本の有名人を紹介する/場面: 歓迎会/状況: 相手は日本を知らない |
3つを見分ける問いは、「この活動の英語は、誰に、何のために、どんな事情で言うのか」です。答えが「先生に、練習のために」なら、まだ設定が無い状態です。先生が生徒に言う言葉は、活動の前の「誰に・何のために」の1文で、これが有るか無いかで生徒の英語が変わります。
よくある誤解
- 設定を書けば言語活動になる、わけではありません。「留学生に紹介する」と書いても、教室に留学生役がいなければ、生徒は先生に向かって言います。場面を教室の中に作る(ペアの相手が留学生役になる)まで要ります。
- 毎回新しい場面を考える必要はありません。教科書の題材(単元の場面)をそのまま使えば、場面と状況は付いてきます。足すのは目的です。
- 難しい設定ほどよい、でもありません。「来週の土曜だけ空いている」のような小さな事情で十分です。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 単元のゴール(伝える相手と目的)が3つの設定そのもの。「誰に伝えるか」を毎単元決める |
| 中学校 | 練習に3つを足して言語活動にする。思考・判断・表現の評価の前提 |
| 高校 | 意見を述べる活動で、相手と目的(説得する・提案する)を決める |
| 塾 | 確認テストの英作文に「誰に・何のために」を添えると、書ける量が増える |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。目的・場面・状況のあるペア活動を、文法ごとに集めてあります。
- 中学英語の文法導入ネタ20選。「使いたくなる場面」で文法に入る導入です。
- 観点別評価の考え方。思考・判断・表現の評価が、この設定を前提にする理由です。
- 練習との線は言語活動、成し遂げる課題の形はタスク(TBLT)、指導要領のもう1つの中心語は外国語の見方・考え方へ。