ひとことで言うと
既習表現は、生徒がそれまでの授業で学んだ語句や文の形のことです。帯活動や Small Talk のように「繰り返し使って定着させる」活動は、既習表現で行うのが原則で、新しい表現をそこに混ぜないことが型を守る条件になります。逆に、単元の導入で扱う新しい表現は「新出(未習)」と呼び、既習と分けて考えます。
出どころ
学習指導要領の本文にそのまま出る語ではありませんが、小学校の解説や研修ガイドブックは「既習の表現」「これまでに慣れ親しんだ表現」の語で、Small Talk などの活動の条件を示しています。中学校でも教科書の指導書や指導案で広く使われる現場の言葉です。
授業での実際の使い方
既習を「数える」ところから始めます。
- 生徒の教科書と学年で、いまの単元までに出た文法と表現を一覧にする。教科書会社ごとに順が違うので、教科書別の単元マップで確かめる。
- 帯活動と Small Talk の話題は、その一覧の中の表現で答えられるものにする。話題を決めるときに「この質問に、既習だけで答えられるか」を1回確かめる。
- 単元の導入では、新出の表現を1つに絞り、それ以外は既習で組む。新出が2つ以上あると、生徒はどちらが今日の本題か分からなくなる。
| 場面 | 使う表現 |
|---|---|
| 帯活動・Small Talk・即興のやり取り | 既習のみ |
| 単元の導入(ティーチャートーク) | 既習+新出1つ |
| 定着の練習 | 新出(今日の文法) |
| 単元末の言語活動 | 新出+既習(組み合わせる) |
先生が言う言葉は「知っている言い方で」です。生徒が「習っていない」と言ったら、その表現は帯で使う段階ではありません。
よくある誤解
- 「教科書に出た」と「既習」は同じではありません。1回出ただけの表現は、使える状態になっていないことが多いです。帯で繰り返した表現が、使える既習になります。
- 小学校で「慣れ親しんだ」表現は、中学校で「既習」として扱えるとは限りません。音で慣れ親しんだだけで、文字や形としては初めて、という場合があります。中1の最初はそこを確かめます。
- 既習表現しか使わせない、という意味ではありません。単元末の活動では新出と既習を組み合わせます。既習に限るのは、定着をねらう帯の時間です。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 「慣れ親しんだ」表現が既習。Small Talk は既習で、新出は混ぜない |
| 中学校 | 文法の積み上げなので既習の数が明確。教科書別の順に注意 |
| 高校 | 中学の全文法が既習の前提。ただし使えない生徒が多く、帯で戻す |
| 塾 | 生徒の学校の進度で既習が違う。範囲表と単元マップで生徒ごとに確かめる |
この用語が出てくる教材と記事
- 教科書別の単元マップ。教科書と学年で、どの単元までに何が既習になるかが一覧で分かります。
- 小学校の英語のスモールトーク。既習表現だけで回す帯の型です。
- 小中接続の英語指導。「小学校でやったよね」が中1で通じない理由と手当てです。
- 帯の考え方は帯活動、教科書の違いは検定教科書と単元へ。