2学期は運動会と学習発表会の練習が続き、外国語が何度もつぶれました。12月の時点で単元が2つ残っています。全部やろうとすると1単元を3時間くらいで駆け足に流すことになり、削ると「やっていない単元」が残ります。学年主任に相談したら「どこかで巻けば」と言われたのですが、その「どこか」が見つかりません。(小5担任)
削るか駆け足かの二択に見えているのは、45分だけで数えているからです
まず、時数の全体像を確認します。学習指導要領解説 外国語活動・外国語編は、小学校の外国語教育の時間をこう書いています。
小学校では,第3学年及び第4学年においては外国語活動として2年間,計 70 単位時間,第5学年及び第6学年においては教科として2年間,計 140 単位時間,合計 210 単位時間をかけて指導することとなり
5・6年は2年で140、つまり年70時間です。ここまでは多くの先生がご存じのとおりです。
見落とされがちなのは、この70時間を45分の授業だけで確保するとは書かれていない、というところです。解説は同じ文書の中で、時間の作り方をかなり具体的に挙げています。
解説が挙げている、時間の作り方(原文)
各学校においては,児童や学校・地域の実態を踏まえ,朝の時間,昼休み前後の時間,放課後の時間などを活用した,10 分から 15 分の短時間学習の実施,45 分と 15 分を組み合わせた 60 分授業の実施,さらには長期休業期間の調整や土曜日を活用した授業の実施等により,教育課程内の外国語科の授業時数を確保するなど,「時間」という資源をいかに活用するかという視点で指導計画を見直し,カリキュラム・マネジメントにより計画的・組織的に教育活動の質の向上を図っていくことが求められる。
朝の時間、昼休み前後、放課後の10〜15分。45分+15分の60分授業。長期休業期間の調整。土曜日。ここまで書いてあります。「どこかで巻けば」の「どこか」は、45分の授業の中ではなく、この4つの中に探すのが本筋です。
ただし、短時間学習には条件が4つ付いています
ここが大事なところです。解説は、短時間学習を認めると同時に、留意事項を4つ挙げています。
| 条件 | 満たしていない例 | 満たしている例 |
|---|---|---|
| 外国語科の特質を踏まえた検討を行う | 朝学習の漢字ドリルの英語版として単語を書かせる | 聞く・話す活動を10分に切り出す |
| 単元や題材のまとまりの中に位置付ける | 単元と無関係な英単語プリント | 今週の単元で使う語のチャンツ・Small Talk |
| 授業のねらいを明確にして実施する | 「英語に触れさせる」だけの時間 | 「Where do you want to go? に3秒で返せる」 |
| 教科書や,教科書と関連付けた教材を用いる | 市販のドリルを配って自習 | 教科書の本文・語彙とつながった紙 |
つまり、朝の10分に英単語を書かせるプリントを配るのは、この条件をどれも満たしません。短時間学習として時数に数えるなら、単元の中の一部を10〜15分に切り出すという形にする必要があります。
解説は、短時間(10〜15分)でやる活動の例として、場面設定をしたうえで必要な語句や基本的な表現を繰り返し聞いたり話したりする活動、文字を読んだり書いたりする活動を挙げています。長時間(60分授業)の例としては、単元の最後の時間に意味のある場面を設定して深まりのある言語活動を行うこと、としています。
10〜15分に切り出せるもの
実際に切り出しやすいのは、次のあたりです。どれも45分の中では帯として置いている部分なので、そのまま外へ出せます。
- Small Talk(全単元ぶんの台本)——公式の型が「2時間に1回程度、帯活動で」なので、朝の時間にそのまま移せます
- チャンツ・歌——単元の語と表現を音で回す
- キーワードゲーム・ポインティングゲーム——準備が絵カードだけで、10分に収まる
- 4せんでかこうの1枚——文字を書く活動を朝に出す
- 「5分のはしご」の1段——帯5分と入れかえる形の教材なので、そのまま外へ出せます
45分の中からこれらを外に出すと、45分の側は主活動に集中できます。単元を削るのではなく、単元の時間を組み替える形になります。
単元を削らずに、時間を寄せる
そのうえで、12月の時点で2単元残っている、という現実の話をします。手は3つです。
①単元の中の第◯時を短時間×2に割る。 8時間の単元なら、帯だけで成立する2時間ぶんを朝の15分×4に出す。45分の授業としては6時間に縮みますが、時数は減りません。
②2つの単元の主活動を1つにまとめる。 「行きたい国」と「日本のすてき」のように、発表の形が似ている単元は、最後の発表を1回にできます。両方の言語材料を使う発表にすれば、どちらの単元も「やっていない」にはなりません。
③行事そのものを題材にする。 解説は、言語活動で扱う題材について、他教科等で学習したことを活用したり学校行事で扱う内容と関連付けたりする工夫を挙げています。学習発表会の練習でつぶれているなら、その学習発表会を英語の題材にできます。「何を発表するか」「どこを見てほしいか」を英語で言う場面は、そのまま既習表現で作れます。
今年度は、①と③で乗り切る
今からできるのは、時数として数えられなくても中身を前に進めておくことです。朝の時間に単元の帯を出しておけば、45分の授業で扱う量は確実に減ります。時数の帳尻を合わせる話と、子どもがその単元の英語に触れる話は、別に扱えます。
そして来年度の教育課程を組むときに、「外国語は行事期に必ず削られるので、年間で朝の15分を◯回置きたい」と出す。この相談は、実は担任1人の悩みではなく、その学校の高学年全体の悩みであることがほとんどです。学年で並べて出すと通りやすくなります。
「どこかで巻けば」について
学年主任のその言葉は、たぶん突き放したわけではないと思います。ただ、45分の中で巻ける場所は、実際にはほとんどありません。外国語は主活動を削ると単元の目標に届かなくなる教科なので、駆け足にすると「やったことにはなったが、誰も言えるようになっていない」という結果になりやすいです。
削るか駆け足かで迷っているなら、駆け足のほうが危ないです。中学校で英語を教えていたころ、小学校で扱ったはずの表現が入っていない生徒は珍しくありませんでしたが、それは単元を飛ばされた子ではなく、単元を駆け足で流された子のほうが多かったように思います。触れた回数が足りないと、扱ったことになりません。
2単元残っているなら、1つを丁寧にやって、もう1つは帯で扱う。そのほうが、両方を3時間ずつで流すより残ります。