ALTが来る日は、ほとんどALTが授業を進めてくれます。とても上手で、子どもも楽しそうで、ありがたいと思っています。ただ、自分は横で「Good!」「Nice!」と言っているだけで、45分がすぎていきます。この前、子どもが「ALTの先生がいれば、担任の先生いなくても同じじゃない?」と言っているのを聞いてしまい、その通りだと思ってしまいました。(小5担任・外国語は3年目)
その状態は、制度の建て付けから外れています
いちばん先に、はっきりさせておきたいことがあります。学習指導要領解説 外国語活動・外国語編は、外国語科の配慮事項の説明でこう書いています。
指導計画は,児童の実態を十分理解している学級担任の教師又は外国語を担当する教師により作成されなければならない。
さらに、同じ箇所にこうあります。
児童の不安を取り除き,新しいものへ挑戦する気持ちや失敗を恐れない雰囲気を作り出すためには,豊かな児童理解と高まり合う学習集団づくりとが指導者に求められる。このようなことから,高学年の外国語科においても学級担任の教師の存在は欠かせない。
ALTについての記述もありますが、位置づけははっきり分かれています。ALTは、児童が生きた英語に触れる機会を充実させるために協力を得る存在で、指導計画を作るのは担任のほうです。いま「いなくても同じ」に見えているのは、担任が要らないからではなく、担任の持ち場が45分の中に置かれていないからです。
45分の中で、担任にしかできない3つ
英語を上手に話すことは、担任の持ち場ではありません。持ち場は3つです。
| 担任の持ち場 | 具体的にすること | ALTにはできない理由 |
|---|---|---|
| ①今日どこまで行くかを決める | この45分で子どもが言えるようになる文を1つ決め、最後にそれを確かめる | 単元全体と学級の実態を知っているのは担任だけ |
| ②途中で切る・伸ばす | 分かっていない顔が多ければ活動を1つ削り、乗っていれば1回増やす | 週1回来るALTは、その学級の「いつもの顔」を知らない |
| ③日本語で1回だけ言う | 活動のねらいと、今日できたことを日本語で確認する | ALTがやると英語の時間が日本語の時間になる |
このうち①が本丸です。ALTが上手に45分を回してくれても、その45分が単元のどこにあるのかを知っているのは担任だけです。「今日は Unit 3 の第4時で、次の時間に発表だから、今日は言えるところまで持っていく」——この判断は、指導計画を持っている人にしかできません。
役割は、口ではなく紙で分ける
「今日はここをお願いします」と口で伝えると、うまく伝わったかどうかが確かめられません。とくに英語での打ち合わせに自信がないと、細かいところを言えずに全部お願いする形になりがちです。
ALT打ち合わせシートを、記入式・英語併記で無料で置いてあります。✓と数語だけで埋まる形にしてあり、5分で渡せます。シートの上で、今日の45分をこう割ります。
| 時間 | 担当 | 中身 |
|---|---|---|
| 帯(あいさつ・歌・Small Talk) | 担任 | 毎回同じ形。担任が回す |
| 新出表現の提示 | ALT | 音のモデル。ここはALTが主役 |
| 練習・活動 | 両方 | 教室を分けて回る(前半分・後ろ半分) |
| まとめ | 担任 | 今日言えるようになった文を、日本語で1回確認 |
帯とまとめを担任が持つ、というだけで子どもの見え方は変わります。始まりと終わりを担任がやっている授業は、担任の授業に見えます。
ALTがいない日の型を、いる日にも使う
もうひとつ、効く手があります。ALTがいない日の授業の型を先に固めて、いる日はその型の一部をALTに渡す、という順番にすることです。
たいていは逆になっています。ALTがいる日の授業が標準で、いない日はその劣化版として回している。この順番だと、担任は毎回「ALTがいないぶん足りない45分」を回すことになります。
ALTがいない日の英語授業に、担任ひとりで45分を回す型をまとめました。この型を標準にして、ALTが来る日は「新出表現の提示」と「教室を回る半分」を渡す。同じ45分でも、主語が変わります。ALTと組む45分の進行台本は、この渡し方を時間で割ったものです。
ALTの側にも事情があります
ALTが全部進めてしまう理由が、ALTの側にあることもあります。学校によって求められることがまったく違うので、多くのALTは「何もしないと怒られる」ほうを警戒しています。前の学校で全部任されていた人は、その形をそのまま持ってきます。
だから「もっと私にやらせてください」と伝えることは、ALTにとっても助かる話であることが多いです。打ち合わせシートで役割が紙に書いてあれば、それだけで伝わります。英語でやり取りする必要はありません。
「担任の先生いなくても同じ」について
その言葉を聞いてしまったのは、こたえたと思います。
ただ、あれを言った子は、たぶん英語の授業の話をしていません。子どもは、自分の担任がその教室でどういう位置にいるかを、いつも見ています。「いなくても同じ」に見えたのは、45分のあいだ担任が判断していないように見えたからです。逆に言えば、今日どこまで行くかを担任が決めて、最後に日本語でそれを確認する形にすると、その一言は出なくなります。
中学校で英語を教えていたころ、ALTと組む授業を何百時間もやりました。うまくいった時間に共通していたのは、日本人教師の英語が上手だったことではありません。今日の45分で何をできるようにするかを、日本人教師が決めていたことです。ALTはそれを聞いて、いちばん良い形で音を出してくれました。
自分の英語そのものへの不安のほうは、ALTと英語で打ち合わせができないに別に書いてあります。