ねらい
伝言ゲームは、言葉を順にささやいて伝え、最後にどう変わったかを見る遊びです。本文の伝言ゲームでは、教科書の1文を列の先頭の人が覚え、うしろの人へ順にささやきで伝えて、最後の人が黒板に書きます。
1文を正確に伝えるには、まず自分が正確に覚えなければなりません。ささやき声は相手にしか聞こえないので、1語ずつはっきり言う必要があります。聞く側が聞き返せるのは1回だけ。最後の人は、聞いた音を文字にします。覚える・言う・聞く・書くが、1文の中で順に起きます。
ゲームとしてのおもしろさは、最後に書かれた文が本文とどれだけ違うかにあります。違った所を列でたどると、どこで変わったかが分かります。変わりやすいのは、has kept の has や it・them のような、文の形を作る語です。頭文字だけ本文で丸がつきやすい語と同じで、本文を覚えるときに落としやすい所が、ゲームの結果として目に見えます。
手順
- 本文を音読で練習し、ふつうに読めるようになってから置きます。列(5〜7人)ごとに行います。列の先頭の人以外は、教科書を閉じます。
- 決まりを示します。ささやくのは1回だけ、聞き返しは Sorry? の1回だけ。最後の人は、聞いた文を黒板に書きます。
- 先生が列の先頭の人に、教科書の行を指で示します。先頭の人は10秒見て覚え、教科書を閉じてから、うしろの人にささやきます。列ごとに違う文にします。
- 最後の人が黒板に書いたら、全員で本文と比べます。本文どおりなら3点、意味が同じなら1点です。違った所を列の中でたどり、どこで変わったかを確かめます。
- 先頭の人を交代して、2回目・3回目をします。最後に、黒板の文を全員で正しく言い直します。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Remember the sentence. Whisper it to the next person. |
| 決まりを示すとき | You can say "Sorry?" only once. |
| 比べるとき | Is it the same as the text? Where did it change? |
| 最後に | Let's say all the sentences correctly together. |
見本
- Do you have something special? For me, it is this notebook.
- My grandmother gave it to me last summer.
- She lives alone in a small town by the sea.
- She has kept a diary for fifty years.
- She doesn't write about big things. She writes about the weather, the flowers in her garden, and the dinner she cooked.
- One night, she showed me her old diaries. I found my name on many pages.
- “Haruto called today.” “Haruto is ten today.”
- I was surprised. I didn't know she wrote about me.
- The next morning, she gave me this notebook. “Write three lines every night,” she said.
- I have written in it every night since then. Small things become special when we write them down.
このスピーチで、お題にしやすい文と、伝わるうちに変わりやすい形の例です。
| お題の文 | 変わりやすい形 | 変わった所 |
|---|---|---|
| She has kept a diary for fifty years.(4行目) | She kept a diary for fifteen years. | has が落ちる・fifty と fifteen |
| My grandmother gave it to me last summer.(2行目) | My grandmother gave me last summer. | it と to が落ちる |
| I found my name on many pages.(6行目) | I found my name in many pages. | on と in |
| Small things become special when we write them down.(10行目) | Small things become special when we write down. | them が落ちる |
4行目は、fifty と fifteen の聞き分けが入るので、点が割れやすい文です。数は意味を大きく変えるので、「意味が同じ」の1点にも入りません。比べるときに「fifty と fifteen は、どこの音が違う?」と聞くと、強く読む所の違い(FIF-ty と fif-TEEN)に話が広がります。has だけが落ちた形(She kept a diary for fifty years.)を「意味が同じ」の1点にするかは、先に決めておきます。has が落ちると、今も続けているという意味が消えるからです。
2行目は it と to、10行目は them が落ちやすい文です。どれも意味の上では小さな語ですが、落とすと文として成り立ちません。gave me last summer では、何をくれたのかが消えます。落ちた語を黒板で丸で囲み、全員でその語を入れて言い直すと、文の形が戻ります。
お題には、7〜10語の文が向いています。短すぎると変わる所がなく、長すぎると覚えきれずに崩れて、何が落ちやすいのかが見えなくなります。
変化をつける
- やさしくする: 先頭の人に、文を書いたカードを渡してもよいことにします。2〜3語のかたまり(for fifty years)から始めて、慣れたら1文にします。
- 直す人を置く: 列の真ん中の人だけ、教科書を開いて確かめてよいことにします。その人は、変わっていたら直してから次へ伝えます。どこで直すのがよいかを、列で相談させます。
- むずかしくする: 聞き返しの Sorry? をなしにし、先頭の人が見る時間を5秒にします。
- 伝言メモにする: 最後の人は、聞いた内容を電話の伝言メモ(To・From・Message)の形で書きます。To と From は、先生が先頭の人に渡しておきます。Message の欄には、聞いた文をそのまま書いても、自分の言葉にしてもよいことにします。英語の伝言を受けて書く、実際にある場面の練習になります。
- 高校では: 2文のつながり(理由の文と結果の文)をお題にします。最後の人は、2文の関係が保たれているかも確かめます。
つまずきと手当て
- ささやき声が聞こえない: 列の人どうしの間をつめ、口を相手の耳の近くにさせます。教室がにぎやかなら、列を2つに分けて短くします。
- わざと変えて笑いを取る生徒がいる: 点は「本文どおり」と「意味が同じ」にしかつかない、と決めておきます。違った所をたどると、どこで変わったかが分かるので、わざと変えると列のみんなが点を失います。
- 最後の人が書けない: 書くのがむずかしい生徒が最後になったら、1つ前の人と相談して書いてよいことにします。
出どころ
言葉を順にささやいて伝え、最後にどう変わったかを楽しむ伝言ゲームは、子どもの遊びとして広く知られています(英語では Telephone などと呼ばれます)。英語の授業でも、語や文を覚えて伝える活動として使われてきました。この活動の、本文の行を10秒見て覚える決まり、点のつけ方、見本の変わりやすい形の表は、このサイトで作ったものです。