ねらい
声優オーディションは、本文の人物のせりふを読んで役に「応募」し、班の審査員が役の声を選ぶ音読の活動です。応募する生徒は、人物の気持ちが伝わる読み方を工夫して2〜3行を読みます。審査員は、先に決めた観点にそって1人を選び、選んだ理由を言います。選ばれた声が、班の本番の会話でその役を演じます。
応募する側には、ふつうの音読にない理由ができます。選ばれるには、その人物らしい読み方が要るからです。審査する側は、ただ聞くのではなく、観点にそって聞き比べます。理由を「6行目の so が強くて、悲しそうだった」のように本文の行で言うので、聞く側も本文の気持ちを読むことになります。
絵に声をあてるが絵の場面に声を合わせる活動なら、こちらは人物の声の選考です。だれが選ばれても、全員が応募と審査を1回ずつ経験する形にします。
手順
- 対話文の意味をつかみ、役ごとに読めるようになってから置きます。先生が、オーディションをする役と、応募に読むせりふ(その役の2〜3行)を決めます。審査の観点を3つ示します(気持ちが伝わる・区切りと強さ・聞き取りやすい)。
- 1人で3分、応募のせりふの読み方を練習します。どの行をどんな気持ちで読むかを、教科書に小さく書きこみます。
- 4人の班でオーディション(6分)。1人ずつ応募のせりふを読み、残りの3人が審査員になります。全員が読み終えたら、審査員は観点を1つ挙げて、いちばん役に合った人と理由を言います。自分には投票しません。
- 選ばれた人がその役を、もう1つの役を別の人が受け持ち、班で会話を通して演じます(4分)。時間があれば、役を替えて2回目のオーディションをします。
先生が言う言葉の例です。
| 場面 | 先生の言葉 |
|---|---|
| 始めるとき | Today is an audition. Read the lines as the character. |
| 審査の前に | Listen for three things: feelings, stress, and a clear voice. |
| 選ぶとき | Who sounded most like Riku? Give the reason with a line number. |
| 本番の前に | The winner plays Riku. Let's perform the whole dialogue. |
見本
- Ms. Green:Good morning, Riku. You look sleepy.
- Riku:Good morning, Ms. Green. I went to bed at two last night.
- Ms. Green:At two? Were you studying for the test?
- Riku:No. I was watching a soccer game on TV. Japan played Brazil.
- Ms. Green:Oh, I watched it, too! What a game!
- Riku:But Japan lost. I was so sad.
- Ms. Green:Me, too. But the last goal was beautiful.
- Riku:Yes! Number 10 was amazing. I want to play like him someday.
- Ms. Green:Then don't sleep in class today. You have practice after school, right?
- Riku:Right. I'll try!
この対話文で、リクの役のオーディションに読む3行の例です。
| 行 | リクのせりふ | 読み方の工夫の例 |
|---|---|---|
| 2 | Good morning, Ms. Green. I went to bed at two last night. | 寝不足の声で。at two の前に少し間をあける |
| 6 | But Japan lost. I was so sad. | so を強く、文の終わりをゆっくり下げる |
| 8 | Yes! Number 10 was amazing. I want to play like him someday. | Yes! で一気に明るく。someday は遠くを見るように |
3行の気持ちは、寝不足・悲しい・うれしい、と大きく動きます。応募する生徒は、1行ごとに声を切りかえないと、リクらしく聞こえません。
2行目の at two の前に間をあける読み方は、本文と合っています。3行目でグリーン先生が At two? と聞き返しているからです。驚かれるほど遅い時間だったことを、リクの声が先に伝えています。審査員が理由を言うとき、観点だけでなく行を挙げさせると、こうした読みが言葉になって出てきます。
オーディションは、上手な生徒が毎回選ばれる場になりがちです。2回目は役を替え、1回目に選ばれた人は審査員に回ると、選ばれる人が入れかわります。
変化をつける
- やさしくする: 応募のせりふを1行にします。観点も「気持ちが伝わる」の1つだけにします。
- むずかしくする: 応募の前に、同じ行を2通りの気持ちで読み分けさせ、審査員にどちらの気持ちかを当てさせます(気持ちカード音読の形)。
- 物語で: 語り手の役もオーディションにします。語り手は聞き手に向けて、人物とは違う落ち着いた声で読むので、観点の「区切りと強さ」がはっきり出ます。
- 高校では: スピーチの本文で、話し手の役のオーディションにします。聞き手に何を伝えたい人物かを、応募の前に1文で言わせます。
つまずきと手当て
- 人前で読むのが苦手な生徒がいる: オーディションは班の中だけで行い、全体の前では読ませません。読み方を書きこんだ教科書を見ながら読んでよいことにします。
- 人気投票になる: 選ぶ理由を観点と行で言うことを決まりにします。理由が言えない票は数えません。
- 選ばれない生徒が続く: 役を替えて2回目をし、1回目に選ばれた人は審査員に回ります。
出どころ
登場人物の声で読み分ける音読は、演劇の手法を使った英語の授業で広く行われてきました。この活動の、役の選考(オーディション)の形、審査の3つの観点、理由を行で言う決まり、見本のせりふと読み方の工夫は、このサイトで作ったものです。