ひとことで言うと
自己評価は、生徒が自分の学習の状況(できたこと・できなかったこと)を自分で評価する活動です。相互評価は、生徒どうしがペアや班で互いの発表や作品を評価する活動です。どちらも、生徒が評価の観点を自分の目で使う経験になり、次の学習を調整する力を育てます。ただし、先生が行う評価(A・B・C)そのものではなく、成績の点数に直接は使いません。
出どころ
国立教育政策研究所の「『指導と評価の一体化』のための学習評価に関する参考資料」(2020年)は、自己評価や相互評価は児童生徒の学習活動であり、先生が評価の参考にすることはできるが、評価規準に照らした評価そのものではない、としています。学習指導要領の総則にある「学習したことを振り返る活動」の1つの形です。
授業での実際の使い方
相互評価をパフォーマンステストの練習で使う型です。
| 順 | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|
| 1 | ルーブリックのB(おおむね満足)の行だけを配る。観点は1〜2つに絞る | 「今日はこの1行だけ見て」 |
| 2 | ペアで発表し合い、相手のよかったところを1つ、Bの行の言葉で言う | 「Bの行の言葉で、よかったところを1つ」 |
| 3 | 自分の発表について、同じ行で自己評価を1つ書く | 「自分はどこまでできた?」 |
| 4 | 先生は回りながら、評価の言葉が観点に沿っているかを見る | 「声が大きい、は観点にない」 |
観点を絞る理由は、絞らないと「声が大きかった」「元気だった」のような観点にない言葉に流れるからです。相互評価は「よかったところ」に限り、「ここがだめ」は言わせません。先生の評価に使うのは、生徒の点数ではなく「評価の言葉を観点に沿って使えているか」(態度の観点の材料)です。
よくある誤解
- 相互評価の点数を平均して成績にする、という使い方は、参考資料が示す趣旨に合いません。仲のよさで点がつくことも防げません。
- 自己評価が高い生徒が優秀、でもありません。自己評価は正確さを育てる活動で、先生の評価とのずれ自体が指導の材料です。
- 毎時間やるものではありません。パフォーマンステストの練習と単元末に1回ずつで足ります。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 振り返りカードの「できた・もう少し」が自己評価。相互評価は「よかったところを1つ言う」 |
| 中学校 | ルーブリックのBの行で相互評価。パフォーマンステストの練習に |
| 高校 | 英作文のピア・フィードバック(観点を絞って読み合う) |
| 塾 | 個別指導では自己評価のみ。確認テストの前に「自信がある大問」を言わせる |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語のルーブリック例20種。相互評価に使うBの行が取り出せます。
- ライティング指導の技術。読み合いの観点の絞り方です。
- パフォーマンステストの回し方(小学校)。点数をつけない小学校での練習の形です。
- 段階の表はルーブリック、自己評価の場は振り返りへ。