3年生の英語は、この単元で終わります。勘どころは1つ、日本語の逐語訳をつけないことです。1文ずつ訳して確かめていくと、話は「わからないもの」に変わります。絵とジェスチャーで外形だけをつかませて、全部わからなくてもだいたいわかれば楽しい、という聞き方を体験させる。3年の最後に残したいのはこれです。
地雷は劇です。しめくくりにミニ劇を置くと完成度を上げたくなり、せりふの暗記と小道具づくりに時間が消えます。劇の質は求めません。声が出た、役になりきれた、友だちの劇で笑った。この3つが全部成果です。
使うのは小3 Unit 9「Who are you?」の単元パックの7点です。どうぶつカード8枚(rabbit / bear / mouse / snake / monkey / frog / dogs / cats)、活動シート3枚、ふりかえりカード、ALT打ち合わせシート、単元計画。Let's Try! 1 のお話は付属音源でそのまま聞き、劇は同じ表現だけで組んだ自作の台本を使います。
全5時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 見取り |
|---|---|---|---|
| 1 | どうぶつのことばと出会う・なりきりチェーン① | 歌+カードフラッシュ | — |
| 2 | 体の部位のことば(long ears など)・しっぽクイズ① | チャンツ(Who are you?) | — |
| 3 | しっぽクイズ②(子どもが出題)・かくれんぼの話を聞く | チャンツ | — |
| 4 | ミニげき「もりのかくれんぼ」練習(役きめ・グループ練習) | チャンツ | 行動観察(見取りメモ) |
| 5 | ミニげき発表会(グループごと)・1年のふりかえり | 歌 | 振り返りカード点検 |
外国語活動の評価は文章です。右端の欄は評定のための記録ではなく、その文章のもとになる見取りを指します。第4時は練習中に班を回ってメモ、第5時は振り返りカードを点検。本番は進行で手一杯になるので、見取りは第4時に置きます。
45分の形はどの時間も同じです。あいさつ・歌・チャンツ(0–5分)、どうぶつカードで練習(5–12分)、めあての確認(12–15分)、主活動(15–37分)、振り返り(37–45分)。
第1時:なりきって、8つの動物を口に入れる
帯で歌を歌い、どうぶつカード8枚をフラッシュしてリピートします。rabbit や bear は知っている子が多いので、snake、frog、mouse に時間を寄せます。
主活動は活動シート1「どうぶつなりきりチェーン」(話すこと/クラス全体・円/10〜15分)です。円になって1人1枚カードを引き、先生が I'm a rabbit! と動きつきで始めて、隣へつないでいきます。効くのは、その子が言うたびにまわり全員がまねをして I'm a ◯◯! とリピートする設計です。自分のせりふは1周に1回でも、まねで言う回数は30回近くになります(チェーンゲームの受け渡し型)。
動きに困ったら、シートのヒント表を見せます(rabbit は両手を耳にしてぴょんぴょん、frog はしゃがんでぴょこん)。最初に振り切って見せるのは先生の仕事で、先生のうさぎ跳びが下手なほど教室は安全になります。
余った時間はチャンピオンラウンドへ。声なしで動きだけを見せ、まわりが Are you a rabbit? と当てにいきます。次の時間への布石なので、出たら板書に残します。
第2〜3時:体の一部だけ見せて、Who are you? に必然を作る
帯はチャンツ(Who are you?)に替えます。主活動は活動シート2「しっぽクイズ」(聞くこと・話すこと/クラス全体→ペア/15分)。先生用の進行シートなので、そのまま読めば回ります。
どうぶつカードを画用紙でかくして体の一部だけを見せ、英語でヒントを1つ言う。全員で声をそろえて Who are you? とたずねる。先生はその動物になりきって I'm a rabbit! と答え、当たりならカードをオープン。
出題は5問、当てやすい順です。1問目 Long ears!(rabbit)で成功体験から入り、2問目 Big eyes!(frog)。山場は3問目の Long tail! で、mouse と monkey の2択に割れます。追加ヒントの Small! で決着させますが、その前に One more hint, please! を教えると、やり取りが二往復になります。4問目 Long body!(snake)、5問目は鳴き声だけ。ワンワンと Woof woof! のちがいは、この学年がいちばん食いつく異文化の話です(ヒントの順の考え方はスリーヒントクイズと同じ)。
後半は必ずペア戦へ。全体戦だけだと「かくれる側」を経験しない子が出ます。Who are you? は、たずねる人と答える人の立場が分かれる非対称なやり取りで、かくれんぼの場面設定がその意味を説明なしで教えてくれます。役の交代は削らないでおきます。
第3時は出題を子どもに渡します(時間が足りなければ先生出題のままでも大丈夫です)。後半でかくれんぼの話を聞き、ミニ劇の台本を先生が一度通して見せます。ここで日本語の説明を足さないこと。動きと絵だけで筋が追えれば十分です。ALTが来る日はこの2時間に当てるのが効きます。打ち合わせシートの依頼4つのうち、ここで使うのは身ぶりたっぷりの動物のお話、英語の鳴き声(Woof! / Meow! / Squeak! / Ribbit!)、劇のおに役の3つです。
第4時:役を決めて、全員を舞台に乗せる
主活動は活動シート3「ミニげき『もりのかくれんぼ』」(話すこと・やり取り/4〜5人グループ)です。全員で One, two, three...!、おにが Hmm...? Long ears! とヒントを言って Who are you? とたずねる。かくれていた子が I'm a rabbit! と飛び出し、まわりが Hello, rabbit! と迎える。くり返して、最後は全員で We are friends! と手をつないでおじぎ。台本の英語は既習の3つ(Who are you? / I'm a ◯◯. / ヒント1語)だけなので、新しい英語は足さず、動きとアドリブでふくらませます。
役決めでもめたら、じゃんけんをして負けた子から選ばせます。3年生には勝った子から選ぶより公平に感じられ、不満が出ません。せりふは1人1文。言うのが難しい子には鳴き声担当やジェスチャー担当、なりきりが恥ずかしい年ごろの子にはナレーターと音係(机をドンドンとたたく)を用意します(声が出ない子への手は3・4年で声を出さない子にまとめました)。全員に役がある、が原則です。
見取りの1回目はここです。班を回りながら、役のことばを言おうとしているかをメモします。規準でいえば「劇遊びで自分の役になりきって、すすんでやり取りしようとしている」姿です。発話の少ない子は、笑う・ふり向く・指さすといった聞けている反応をメモに残します。
第5時:発表会と、1年のふりかえり
帯は歌に戻します。1グループの発表は1分。入退場と拍手を入れても8グループで16分ほどです。始まりのあいさつまで英語で練習させると5分消えるので省き、余ったらアンコール上演にします。
見る側のルールも先に決めます。笑うところで笑って、最後に大きな拍手。友だちがつまったら、グループの子が小声でヘルプ。ALTがいる日は、発表のあとに Great voice! Nice rabbit! とひとことほめてもらいます。この一言が次のグループの声を大きくします。ビデオに撮っておくと、3学期の保護者会でそのまま流せます。
締めはふりかえりカードです。3つのできたことに◎○△をつけ、「つたわった!」場面を1つ書き、最後に「3年生の英語で、いちばんたのしかったことは?」に答えます。毎時間おわりの1行欄が5行分あるので、5時間が1枚に残ります。集めて点検すれば見取りは終わり。「Who are you? — I'm a ◯◯. のやりとりができた」に◎がついた子の言葉が、そのまま通知表の文章の材料になります。
この単元でよくあるつまずき
- 「わからない」と言って手が止まる。逐語訳はつけません。絵とジェスチャーで外形だけを追わせ、当てるところだけ英語で言えれば十分です
- せりふが言えない子が舞台に上がらない。配役をせりふの有無で決めず、鳴き声・ジェスチャー・ナレーター・音係まで用意して、全員が舞台に乗ることを先に決めてしまいます
- 練習と小道具づくりで時間が消える。小道具は首から下げるどうぶつカードで十分、お面は図工の時間が取れるときだけ、通し稽古は1回1分と決めます
前の単元は小3 Unit 8 これなあに?の授業で、ヒントで当てる形はそこから続いています。見取りメモを通知表の文章にする手順は外国語活動(3・4年)の所見の書き方、ALTが入る日の分担はALTと組む45分へ。