学期末の通知表で、3・4年の外国語活動の欄だけ手が止まる。5・6年の外国語科には3観点の観点別評価(ABC)と3段階の評定があるのに、3・4年にはそのどちらもなく、何をどこまで書けばよいのかがつかめない。NPO法人 教育改革2020「共育の杜」が2025年7〜8月に実施した調査(小・中学校の教員196人。うち小学校相当が137人・教育新聞の報道)でも、英語の授業で困っていることの最多は評価方法で59.9%でした。ただ、外国語活動の所見は書く範囲が制度の側で決まっています。そこを押さえると、迷う場面はかなり減ります。
外国語活動の記録は、評定をつけず文章で端的に
指導要録の「外国語活動の記録」は、評価の観点を記入した上で、それらの観点に照らして児童の学習状況に顕著な事項がある場合にその特徴を記入する等、児童にどのような力が身に付いたかを文章で端的に記述する、と示されています(平成31年3月29日 30文科初第1845号 別紙1/文部科学省の通知)。数値の評定もABCの区分もありません。
読むときに気をつけたいのが「記入する等」という書き方です。顕著な事項があった子だけを書く運用も、全員に書く運用も、どちらも排除されていません。全員について3観点をもれなく文章化することは求められていませんが、特記のある子だけでよいと通知が言っているわけでもない、ということです。核にあるのは、どのような力が身に付いたかを短い文章で残すことのほうです。
分けておきたいのは、公簿である指導要録と、保護者に渡す通知表の関係です。通知表の様式は各校の裁量です。欄があるか、何字ぶん入るか、全員に書くのか特記のある子だけかは学校ごとに違うので、自校の様式と昨年度の記載例を見てから書き始めるのが確実です。学年で全員記入と決まっているなら、それは通知に反する運用ではありません。
見取りの手がかりは3観点で持ち、記録のほうは3欄に分けず1〜2文にします。
| 観点 | 3・4年の授業で見えている姿 |
|---|---|
| 知識・技能 | 英語の音やリズム、あいさつや数の言い方をまねして言えている |
| 思考・判断・表現 | 相手や場面に合わせて、身ぶりや絵カードも使いながら伝えようとしている |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 相手を替えて何人にも話しかける、聞き返す、最後まで活動に参加する |
3つとも盛り込むと1文が長くなり、結局どの子も同じ文になります。一番動いていた場面を1つだけ選んで書くほうが読み手に届きます。
文末は「〜に慣れ親しんでいる」。5・6年と書き分ける
評価規準の文末は、外国語科(5・6年)が「〜している」「〜しようとしている」、外国語活動(3・4年)は知識・技能を「〜に慣れ親しんでいる」で結びます(国立教育政策研究所「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料・令和2年3月/PDF)。3観点をまとめて「慣れ親しんでいる」にはしません。外国語活動でも、思考・判断・表現は「伝え合っている」、態度は「伝え合おうとしている」で結びます。
表記の好みではなく、3・4年が教科ではなく活動だからです。目標が、外国語の音声や基本的な表現に慣れ親しませ、コミュニケーションの素地を養うところに置かれています。「できるようになった」を測る学年ではなく、「出会って、まねして、使ってみた」を記録する学年だと考えると、文末は自然に決まります。
| 学年 | 観点 | 規準の文末 |
|---|---|---|
| 3・4年(外国語活動) | 知識・技能 | 〜に慣れ親しんでいる |
| 3・4年(外国語活動) | 思考・判断・表現 | 伝え合っている |
| 3・4年(外国語活動) | 主体的に学習に取り組む態度 | 伝え合おうとしている |
| 5・6年(外国語科) | 知識・技能/思考・判断・表現 | 〜している |
| 5・6年(外国語科) | 主体的に学習に取り組む態度 | 〜しようとしている |
書き分けるのは評価規準の文末です。5・6年の所見本文で「慣れ親しむ」を使ってはいけないという意味ではありません。実際、5・6年の所見文例にも「音声からたっぷり慣れ親しみました」と書いたものがあります。3・4年は、その規準のことばを敬体に整えるだけで所見になります。5・6年は「できるようになったこと」の位置に規準のことばを置いて組み立てるので、手順が違います(5・6年の所見の書き方、評価規準の作り方)。
私は中学校で、小学校の学びの続きにあたる1年生を受け持ってきました。そこから見ると、音とやり取りで積んだ経験は、文字や文法を学び始めるときの下地としてはっきり効いてきます。3・4年でどんな姿があったかを所見に残しておくと、次の担任にも保護者にも意味が伝わります。
Let's Try! の単元名から書き起こす
3・4年で使うのは、文部科学省が全国の小学校に配布している共通教材 Let's Try! 1・2 です。検定教科書のような会社ごとの分岐がないので、単元名を並べれば、その学期にやったことがそのまま所見の材料になります。
- その学期に扱った単元名を並べる(下表)
- その子が一番動いていた場面を1つ選ぶ
- 「単元名+活動+その子の姿」を1文にする
- 動詞を「慣れ親しむ」でそろえる(〜ています/〜ました/〜てきています は子どもの姿に合わせて選ぶ)
| Let's Try! 1(3年) | Let's Try! 2(4年) |
|---|---|
| U1 Hello! | U1 Hello, world! |
| U2 How are you? | U2 Let's play cards. |
| U3 How many? | U3 I like Mondays. |
| U4 I like blue. | U4 What time is it? |
| U5 What do you like? | U5 Do you have a pen? |
| U6 ALPHABET | U6 Alphabet |
| U7 This is for you. | U7 What do you want? |
| U8 What's this? | U8 This is my favorite place. |
| U9 Who are you? | U9 This is my day. |
単元名の表記は版によって変わることがあります。所見に書き写す前に、お手元の冊子の目次で確認してください。なお、単元名を所見に書くこと自体に制限はありませんが、教材の本文・イラスト・音声を写すことはできません(配布サイトの利用規約)。素材になるのは、先生が教室で見た姿のほうです。
3年・4年の文例14本
慣れ親しみ/やり取り/気づき/はげまし の4系統で並べました。14本とも動詞は「慣れ親しむ」でそろえ、文末の形は「〜ています」「〜ました」「〜てきています」を子どもの姿に合わせて使い分けています(上の表は評価規準の文末、こちらは保護者が読む所見の本文です)。単元名と、その子の姿の部分を入れ替えて使ってください。
使う前に2つ。英語をそのまま載せない様式なら、Do you have ...? は「持ち物をたずね合う言い方」のように日本語へ置き換えます。字数も自校の様式に合わせてください。下の14本は58〜104字で、長い文は末尾(〜に慣れ親しんでいます)を残して前半を削ると収まります。
3年(Let's Try! 1)
- 慣れ親しみ(U1): Hello! のあいさつに自分の名前を続ける言い方をくり返し、教室で会った友だちにも自分から声をかけるなど、あいさつのやり取りに慣れ親しんでいます。
- 慣れ親しみ(U3): 「How many?」の歌やおはじきゲームで数をかぞえる場面を重ね、20までの数の言い方に十分に慣れ親しんでいます。
- やり取り(U5): What do you like? のインタビューでは、相手を替えながらたずねたり答えたりを続け、好きなものをたずね合う言い方に慣れ親しんでいます。
- やり取り(U7): 使いたい形の名前を英語で伝えてカードを仕上げ、This is for you. と手わたすところまで、英語でのやり取りに慣れ親しみました。
- 気づき(U1): いろいろな国のあいさつを聞いて、国によって言い方がちがうことに気づき、聞こえたとおりにまねするなど、英語の音やリズムに慣れ親しんでいます。
- 気づき(U6): 身のまわりの看板やロゴから大文字を見つけ、町にもアルファベットがあふれていることに気づきながら、大文字の形と読み方に慣れ親しんでいます。
- はげまし(U8): 「What's this?」のクイズづくりでは、ヒントを1つずつ考え、友だちのクイズにも Hint, please. と手をあげていました。自分の言い方で伝えようとする中で、たずね方に慣れ親しんできています。
4年(Let's Try! 2)
- 慣れ親しみ(U3): 曜日の言い方をチャンツでくり返し、I like Mondays. と一週間の予定を英語で並べて言うなど、曜日の言い方に十分に慣れ親しんでいます。
- 慣れ親しみ(U6): 大文字と小文字を見くらべてカードを合わせ、身のまわりの小文字を見つけて読むなど、小文字の形と読み方に慣れ親しんできました。
- やり取り(U5): Do you have ...? とたずね、Yes, I do. / No, I don't. で答えるやり取りをくり返し、持ち物をたずね合う言い方に慣れ親しんでいます。
- やり取り(U7): What do you want? のパフェづくりでは、ほしいものをたずね合って材料を集め、Here you are. の受けわたしまで言い合い、注文のやり取りに慣れ親しみました。
- 気づき(U4): 同じ時刻でも国によってくらしがちがうことに気づき、What time is it? の言い方をくり返し使って、時刻の表し方に慣れ親しんでいます。
- 気づき(U8): 校内の場所の言い方を集めて道案内をし、相手に伝わる速さで言うとよいことに気づくなど、案内する言い方に慣れ親しんでいます。
- はげまし(U2): 絵カードを手がかりに、天気をたずねられて Sunny! と答えていました。友だちのまねから始めて少しずつ自分の声で言えるようになり、天気の言い方に慣れ親しんできています。
書かないほうがよいこと
5・6年の所見と考え方は同じです。次の4つは避けます。
- 家庭の状況が推測できること(英語教室に通っている、海外に行ったことがある など)
- 他の子との比較や順位(クラスで一番早く覚えた など)
- 英語力そのものの断定(発音がきれい、英語が得意 など。到達度を測る学年ではありません)
- できていない事実の列挙だけで終わる書き方(活動の記録という趣旨から外れます)
理由を英語で言わせる必要もありません。小学校では because を扱わないので、理由は同じ文をもう一度言う形で表します。所見でも「理由まで言えた」を材料にしないでおきます。
いま3・4年で使えるもの
正直に書いておくと、単元一覧にある3・4年のパックは3年 アルファベット大文字の1本だけです。残る17単元ぶんは2027年1〜2月の公開予定で、いまはまだありません。
3・4年でいま使えるのは汎用教材のほうです。アルファベット8点(小文字カード、大文字・小文字ペアカード、4線なぞり大・小、ビンゴ、ならべかえ、文字あつめ、ネームプレート)と教室英語のポスターは、Let's Try! のどの単元にも重ねて使えます。ペアカードはかるたとしても使えます。同じページに、3・4年向けの授業開き45分「英語に出会う日」もあります。ALTと一緒に入る時間がある学校も多い学年なので、ALT連携の打ち合わせシートもどうぞ。
5・6年も持っている場合は、単元別の所見文例144本と、単元と観点を選ぶと文がまとまるしょけんビルダーがあります(児童の名前は入力しない設計です)。3・4年は授業の中の見取りだけですが、5・6年に上がると実技テストで見取る場面が出てきます。1コマでの回し方はパフォーマンステストの回し方にまとめました。評価まわりの記事は評価と所見の入口からたどれます。