ひとことで言うと
精読は、1文の構造(主語・動詞・修飾)を正確に取って読むことで、速読は、時間を測って、意味を取りながら速く読むことです。読みは「せいどく」「そくどく」。同じ生徒に両方が要りますが、同じ時間にはできないので、授業では「精読15分」「速読5分」のように時間と教材を分けます。量を読む多読を加えて、読む指導の3本柱と呼ばれます。
出どころ
英語教育では、パーマー(1921年)が intensive reading(精読)と extensive reading(多読)を分けたのが始まりで、日本では精読が訳読と結びついて高校の読解の中心になりました。速読は、大学入試の長文が長くなった1990年代以降に「時間内に読み切る」訓練として広がり、大学入学共通テスト(2021年〜)の語数の多さで中学校にも意識されるようになりました。
授業での実際の使い方
2つは教材も測るものも違います。
| 精読 | 速読 | |
|---|---|---|
| 教材 | 少し難しい文(既習の文法の組み合わせ・1文が長い) | 少し易しい文章(既習の語彙9割以上・100〜200語) |
| 時間 | 15分で3〜5文 | 5分で1本 |
| やること | 主語と動詞に印、修飾をかっこ、訳で確かめ、英語に戻す | タイムを測って読み、内容の問いに答え、語数÷秒×60でwpmを出す |
| 測るもの | 構造が取れたか | 速さと理解の両方(正答率7割を切ったら速すぎ) |
wpm(1分あたりの語数)の目安は、中1で60〜80、中3で80〜100、高校で100〜150です。共通テストは語数が多く、目安として1分120語前後で読めないと時間内に終わらないと言われます。速読は毎回タイムを記録させると、生徒が自分の伸びを見られます。
順番は、単元の中で精読→速読の順です。精読で構造を取った文法が、速読の文章で「見た瞬間に分かる」状態になっているかを確かめます。多読は授業外(朝読書・家庭)に置きます。
よくある誤解
- 速読=飛ばし読み、ではありません。全部の語を、かたまりで速く処理することで、理解の問いで7割を切ったら速読になっていません。
- 精読=訳読、でもありません。訳は確かめの手段で、精読の中心は構造に印をつける作業です。
- 精読ができれば速読もできる、わけではありません。速さは速さの練習でしか上がらないので、5分でも毎回置きます。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | どちらもしない。絵本を音声つきで読む(多読の入口) |
| 中学校 | 精読15分+速読5分の型を単元に1回ずつ。wpmを記録して伸びを見せる |
| 高校 | 精読は構造の難しい文だけに絞り、速読の語数を200〜400に。共通テストの速さを1年から意識する |
| 塾 | 入試の長文で、時間内に終わらない生徒は速読、設問で落とす生徒は精読、と分けて紙を選ぶ |
この用語が出てくる教材と記事
- 精読ラダー中1・中2・中3。1文を骨まで読む15分ワークです。
- 速読ラダー中1・中2・中3。タイムを測って読む5分読解です。
- リーディング・ラダー中1。初見の文章を10分で読む小テストで、精読と速読の間をつなぎます。
- 3本柱の残り1本は多読、速読の区切り方はスラッシュリーディング、精読と訳読の関係は文法訳読法へ。