高校生の英語を塾で教える難しさは、中学生と違って範囲が広いことと、生徒が自分の穴を言えないことにあります。「どこが分からない?」と聞いても「全部」か「なんとなく」しか返ってきません。講師の仕事は、その「全部」を文法・長文・定期考査の3本に分けて聞き直すことです。3本に分ければ、1回90分の授業で何をやるかが決まります。
分け方1 文法は「18ユニットの見取り図」で穴を1つに絞る
高校の文法は、時制・助動詞・受動態・不定詞・動名詞・分詞・関係詞・比較・仮定法・接続詞と続き、当サイトでは文法18ユニットに分けています。ユニットごとに見取り図(1枚で形と使い分けを見わたす紙)、定着ドリル、表現ワーク、小テストの順に並んでいて、ドリル・表現・小テストは基礎・標準・発展の3難易度です。
高校生に見取り図を渡して「この中で、説明できないものに印をつけて」と言うと、生徒は自分の穴を自分で見つけます。印がついたユニットから1つ選び、その日はそこだけやります。全部やろうとしないことが、高校生の個別指導では最初の判断です。
印が中学の内容に及ぶ生徒もいます。関係代名詞で止まる高校生の多くは、中3の関係代名詞ではなく、中1の「主語と動詞の並び」で止まっています。その場合は中学の文法ガイドに戻します。高校生に中学の紙を渡すのを講師はためらいますが、生徒は戻してもらえるほうを望みます。
分け方2 長文は「訳す」より「語数と段」で上げる
個別指導の長文は、講師が全文を訳して聞かせる授業になりがちです。生徒は聞いているだけで、次の長文が読めるようにはなりません。1回の授業で読む本数を1本に決め、時間を計り、読み終わったあとに「どこで止まったか」を紙に残す。この3点で回します。
高校生向けには初見読解があります。同じ英文が基礎・標準・発展の3版になっていて、語数と設問の作りが違います。まず基礎版で「時間内に読み切る」を経験させてから、標準版に上げます。詳しい進め方は英語長文の教え方に書きました。
分け方3 定期考査は「範囲の文法」と「教科書本文」を分ける
高校の定期考査は、範囲の文法と、教科書本文の内容(本文の穴埋め・並べかえ・内容一致)が混ざっています。塾で対策できるのは文法のほうです。本文の暗記系は、生徒の学校の教科書とワークでしかできません。当サイトの教材は教科書本文を載せていないので、生徒には学校の教材を持ってこさせてください。
文法のほうは、範囲のユニットの小テストを3難易度で解かせます。考査の1週間前に標準版、3日前に発展版という順です。大問を選んで自塾用の考査対策を組みたいときは高校版のテストビルダーがあります。
1回90分の型
| 分 | やること | 紙 |
|---|---|---|
| 0〜10 | 前回の小テストを返す。落とした大問から今日の文法を決める | 前回の答案 |
| 10〜40 | 文法1ユニット。見取り図で形を確かめてから定着ドリル | 見取り図・ドリル |
| 40〜75 | 長文1本。時間を計って読み、設問。止まった場所に印 | 初見読解 |
| 75〜90 | 小テスト(10分)と宿題の指示 | 小テスト |
この型で回すと、生徒は毎回「文法が1つ進んで、長文が1本増えた」という実感を持ちます。高校生は実感が無いと来なくなります。
講師が言ってはいけない3つ
- 「感覚で分かるようになる」。感覚は、形を確かめたあとに来ます。先に言うと生徒は形を確かめなくなります
- 「とにかく単語を覚えろ」。単語が足りない生徒は確かにいますが、止まっている場所が単語かどうかは長文の答案で見分けてからです。単語を覚えさせるなら単語テストメーカーで範囲を決めた紙にします
- 「訳してみて」。訳させると、訳せないところで授業が止まります。「主語と動詞に線を引いて」に替えます
塾長へ
高校生の棚を塾がどう持つかは高校生の英語を塾でどう見るかに書きました。読解ラダーの採点票と文法18ユニットの進捗票(保護者報告票つき)は、塾・教室ライセンスで講習テキストのページから使えます。段の上がり方を家庭に見せる紙があると、高校生の個別指導は続きます。