大学生講師の英語は、たいてい十分にできます。できないのは、中学生がどこでどう間違えるかを知ることです。自分が間違えたことのない場所でつまずく生徒を前にすると、講師は解説を長くします。解説が長くなるほど、生徒は分かったふりをします。これを防ぐには、単元ごとに教えること・よくある誤答・言う言葉を1枚にして渡しておくのが、いちばん確実です。
1枚に入れる3つ
紙はA4の1枚で足ります。入れるのは次の3つだけです。
- この単元で教えること(3つまで)。形と例文を3行。それ以上書くと講師が全部説明しようとします。
- よくある誤答(3つ)。× の文と ○ の文と、なぜ間違いかの一言。講師が生徒の答案を見たときに「あ、これだ」と照合できる形にします。
- 生徒に言う言葉(1つずつ)。「主語を丸で囲んで」「誰が→どうする→何を」「まず写して」のような、短い動作の指示です。解説ではなく、生徒の手を動かす言葉にします。
素材はもうある
この1枚は、ゼロから書く必要はありません。18の文法それぞれについて、素材が2か所にそろっています。
ひとつは文法の教え方ガイドです。文法ごとに「どこでつまずくか・どう直すか・どんな流れで教えるか」が書いてあります。教えること3つは、ここの見出しからそのまま取れます。
もうひとつは定期テスト対策パックです。1ページ目の要点まとめには「よくあるまちがい」が3つ、3ページ目の解答には「まちがえた生徒に言うこと」が載っています。この3ページ目は講師用に作ってあるので、そのまま講師に渡して構いません。
つまり、講師用の1枚は、教え方ガイドの見出し3つと、パックの3ページ目を並べれば完成します。塾名を入れて自塾の様式にしたいときは、Word版を使ってください。
30分でできる講師研修
新しい講師が入ったら、担当する単元の確認テストを講師自身に解かせます。20分です。大学生でも、並べかえで語群を1つ余らせたり、英作文の冠詞を落としたりします。そこで3ページ目の採点基準を読ませると、「どこまで減点するか」が体でわかります。
残りの10分で、「まちがえた生徒に言うこと」を声に出して読ませてください。黙読では身につきません。声に出した言葉は、授業で口から出ます。
この研修を単元ごとに30分やるだけで、講師の解説は短くなります。言う言葉が決まっているからです。
講師が変わっても続く仕組み
個別指導で講師が変わるのは避けられません。続けるための道具は2つです。
- 保護者報告票の「次にやること」の欄を、講師間の引き継ぎ簿にする。チェックがついた項目から次回を始める、と決めておく。
- 教室に「3つの型と言う言葉」の表を貼っておく。個別指導で伸びない生徒の3つの型の表をそのまま使えます。
この2つがあれば、月曜の講師と木曜の講師が違っても、生徒から見た指導は1本になります。
講師にやらせないこと
最後に、講師にやらせないことを3つ決めておくと、教室が安定します。
- 教材を作らせない。大学生講師が作った紙は、答えの根拠が講師本人にしかありません。あるものを使わせます。
- 解説を長くさせない。1つの文法の解説は3分まで。それ以上は紙に語らせます。
- 宿題を増やさせない。伸びない生徒に宿題を足すと、やらない宿題が増えるだけです。小テストの基礎版を1枚、で十分です。
講師の仕事は、紙を選んで、言う言葉を言って、答案を見て型を見分けることです。それだけに絞ると、大学生講師でも指導が安定します。