個別指導の英語で起きることは、だいたい決まっています。講師が解説する。生徒が「分かった」と言う。次の週に同じところでつまずく。講師は「先週やったよね」と言い、生徒は黙る。この繰り返しを止めるには、解説の量を増やすのではなく、生徒がどの型でつまずいているかを紙で見分けて、型ごとに渡す紙と言う言葉を変えることです。
型1 形が入っていない
三単現の s を付けたり付けなかったり、be動詞と一般動詞が同じ文に出てくる、過去形なのに原形のまま。こういう生徒は「ルールを知らない」のではなく、ルールを聞いたことはあるが手が動くところまで入っていない状態です。
見分け方は簡単で、確認テストの大問1(選択)で2問以上落とします。選択肢を見て「なんとなく」で選んでいるからです。
渡す紙は、塾限定パックの1ページ目「要点まとめ」の表です。形・例文・注意が1行ずつ並んでいるので、まず1行ずつ音読させます。それから同じ5問をもう一度。解説はしません。講師が言う言葉は「主語を丸で囲んで」の一言です。三人称単数の教え方ガイドにあるとおり、この型のつまずきは「付け忘れ」より「付けすぎ」と二重加算が多いので、主語に丸をつける動作が効きます。
型2 語順が組めない
単語は知っている。形も選べる。でも並べかえで日本語の順に単語を置く。「私は昨日図書館で本を読んだ」を I yesterday library book read と並べる生徒です。
見分け方は、大問2(並べかえ)で落とすこと。大問1が正解なのに大問2で落ちる生徒は、この型です。
渡す紙は、並べかえだけを3問追加した紙と、定着ドリルです。講師が言う言葉は「誰が→どうする→何を」。日本語の文の横に矢印を書かせて、矢印の順に英語を置かせます。この矢印を毎回書かせると、3週目くらいから生徒が自分で書き始めます。
型3 書く量が足りない
大問1も大問2も正解。なのに大問3(英作文)は白紙か、1語だけ。この型は英語の力ではなく、白い行に自分で書き出す経験が足りません。
渡す紙は、要点まとめの例文を1つ写させてから、同じ日本語を3回書かせる紙です。講師が言う言葉は「まず写して」。写した文の主語と動詞だけを入れ替えると、自分の文になります。3回目には見ないで書けるようになります。
3つの型を1枚で見分ける
| 型 | 落とす大問 | 渡す紙 | 講師が言う言葉 |
|---|---|---|---|
| 形が入っていない | 大問1(選択) | 要点まとめの表を音読→同じ5問 | 「主語を丸で囲んで」 |
| 語順が組めない | 大問2(並べかえ) | 並べかえ3問+定着ドリル | 「誰が→どうする→何を」 |
| 書く量が足りない | 大問3(英作文) | 例文を写す→同じ日本語を3回 | 「まず写して」 |
この表は定期テスト対策パックの確認テスト(20分・20点)を前提にしています。大問ごとに測る力を分けてあるので、点数ではなく「どの大問で落としたか」を見れば型が分かります。無料の10分小テストも大問構成は同じ考え方で、基礎・標準・発展の3版があります。
学力差には版で応える
個別指導の教室には、同じ中2でも定期テストが30点の生徒と90点の生徒が隣に座っています。同じ紙を渡すと、30点の生徒は最初の大問で止まり、90点の生徒は5分で終わって退屈します。
小テストが3版あるのはそのためです。同じ場面、同じ配点、同じ時間で、支援の量だけが違います。基礎版は語群と選択肢があり、発展版は記入式です。隣の生徒と違う紙を渡しても、講師の説明は1回で済みます。
講師が変わっても同じ指導にする
個別指導のいちばんの弱点は、講師が変わると指導が変わることです。上の表を教室に貼っておき、確認テストの3ページ目にある「点数の見立てと戻し先」を講師全員が読んでおけば、誰が担当しても戻し方は同じになります。
保護者報告票の「次にやること」の欄は、次の講師への引き継ぎ簿にもなります。チェックがついた項目から次回を始める、と決めておくだけで、「先週何やったっけ」がなくなります。大学生講師に渡す1枚の作り方は、講師に任せるときの1枚に書きました。