この2時間は、多くの子にとって人生ではじめての英語の授業です。身につく英語は Hello, I'm ◯◯. ひとつだけですが、この単元がほんとうに決めているのは英語のほうではありません。手が挙がる教室になるか、だまって座っている教室になるか。3・4年の2年間つづく外国語活動の空気が、この2時間で決まります。
地雷は Hello, I'm ◯◯. の I'm です。ていねいな先生ほど「アイムは、わたしは、という意味だよ」と説明したくなりますが、3年生はそこで手が止まります。意味を分解せず、かたまりのまま何度も聞かせてまねさせる。訳せることではなく、言えることを先に置きます。
小3 Unit 1「ハローで ともだち」の単元パック(Let's Try! 1 Unit 1 "Hello!" 対応)は、単元計画・あいさつカード・活動シート3枚・ふりかえりカード・ALT打ち合わせシートの7点で、2時間をそのまま流せます。
全2時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 見取り |
|---|---|---|---|
| 1 | 世界のあいさつと出会う(ジェスチャーごっこ)・Hello, I'm ◯◯. を先生と | 歌(Hello Song) | — |
| 2 | ハロー・チェーン→なまえカードあいさつラリー(5人と交わす) | 歌+世界のあいさつ | 行動観察+振り返りカード点検 |
外国語活動なので数値の評定はつきません。表の「見取り」は点をつけるための記録ではなく、通知表の文章記述と次の単元のペア配置に使うメモです。第2時のラリー中に、歩き出せない子・同じ友だちとだけ回る子に名簿へ印をつけておく程度で足ります。
第1時:あいさつは声だけじゃない、と先に言う
45分の配分です。0〜5分が歌(Hello Song)、5〜12分があいさつカードでのリピート、12〜15分でめあての確認、15〜37分が主活動、37〜45分が振り返りとあいさつ。
教室に入った直後に、言っておきたいことが1つあります。「あいさつは声だけじゃない。手をふる、おじぎをする、それもりっぱなあいさつ」。これを最初に全体へ伝えておくと、声を出すことに不安が強い子が最初の45分から降りずにすみます。
あいさつカードは hello / good morning / good afternoon / good evening / good night / goodbye / see you / nice to meet you の8枚です。全部を覚えさせる必要はありません。絵だけ見せて「なんていう?」のクイズにして、黒板のあいさつコーナーに貼り残します。
主活動は先生用の進行シート「せかいのあいさつ ジェスチャーごっこ」(聞くこと・文化への気づき/クラス全体/10〜15分)。子どもには配らず、先生が手元で読み上げます。読み上げ表を上から順に、1つにつき先生2回、みんな2回。ニーハオは軽くおじぎ、ナマステは胸の前で両手を合わせる、ジャンボは元気よく大きく手をふる、というようにことばと身ぶりをセットで入れます。表には8つ並んでいますが、初回は4つで十分です。仕上げは声を出さずに身ぶりだけ見せるジェスチャー当て形式のクイズで、どこのあいさつかを当てさせます。
ここで求めるのは発音の正確さではありません。「おじぎの深さがちがう」「手を合わせるのが神社みたい」。このつぶやきが出たら板書して拾います。言語・文化への気づきは、この板書の一言に表れます。言語名は「中国語」「ヒンディー語」のように◯◯語で伝えておくと、国とことばが1対1ではないことにもさらっと触れられます。
主活動の枠の残り(30分すぎ)で、先生自身が Hello, I'm ◯◯. をやって見せます。ALTが来る日なら、ALTの出身地や知っている言語のあいさつを読み上げ表の1番目に置き替えると、子どもの食いつきが変わります。
第2時:チェーンで全員1回、ラリーで5人
第2時は主活動が2本立てです。帯は歌に世界のあいさつを足して、前の時間を1分で呼び戻します。
前半は「ハロー・チェーン(となりへ つなごう!)」(話すこと・やり取り/クラス全体で円/10〜15分)。円になって先生からスタートし、となりの子の目を見て Hello, I'm ◯◯. 言われた子は Hello! と返して、次の子へつなぎます。チェーンゲームの受け渡し型なので、クラス全体で回して構いません。先生の隣に声の通る子を置くとテンポが決まります。1周できたら2周目はスピードアップ。ストップウォッチでクラス記録を測ると、つまることが失敗ではなく記録への挑戦に変わり、責める空気が消えます。円が作れない教室なら列ごとのリレーにして、最後の子がゴールしたら全員で Hello! と言って締めます。
第2時は主活動が22分(15〜37分)しかないので、チェーンは7分で1周して切り上げ、ラリーに15分を残します。押した日は円をやめて列ごとのリレーにすると、さらに2〜3分縮みます。削るのはチェーン側で、ラリーの相手の数(枠5つ)は減らしても時間はほとんど変わりません。
後半が単元のゴール、「なまえカード あいさつラリー」(話すこと・やり取り/教室を歩いて1対1/15分)。なまえカードはひらがなでよく、作る時間は3分で切り上げます。歩いて友だちに会ったらカードを見せて Hello, I'm ◯◯.、おたがいに言えたらじゃんけん、勝った人からシートの枠にひらがなで名前を書いてもらう。枠は5つです。
枠が埋まることは目的ではありません。始める前に「3人でも、目を見て言えたら◎」と全体へ言い切っておきます。シートには「相手の目を見て言えた」「聞こえる声で言えた」「自分から声をかけられた」の3項目の自己チェックが付いているので、振り返りはここを見ながら書かせます。じゃんけんで騒がしくなってきたら、「じゃんけんは1回だけ、あいこは2人ともサイン」に切り替えると落ち着きます。
授業の最後は振り返りカードです。ここで先生が言う一言は、英語のほめ言葉ではありません。「今日、まちがえた子をだれも笑わなかった」。最初の単元の最後にこれを言えると、外国語活動が安全な場所として始まります。
この単元でよくあるつまずき
- 声を出すことに不安が強く、円に入れない子がいる。手をふる・おじぎだけの参加でよいと、活動が始まる前に全体へ宣言しておきます。先生が最初の1人めになれば、次は自分から歩き出せます。
- なまえカードのかざりつけに火がつく。「かざりは休み時間とおうちのおたのしみ」と作る前に宣言し、3分で切り上げます。装飾に入ると15分のラリーがまるごと消えます。
- 同じ友だちとだけ回る子が出る。「同じ人と2回はできない」を先に貼っておき、それでも動けない子には先生が最初の1人めになります。先生と1回できれば、次は自分で歩き出せます。
次の単元は小3 Unit 2 気持ちの授業で、あいさつのあとに How are you? が乗ります。この2時間の見取りを学期末の文章にどう変えるかは3・4年の所見の書き方へ。ALTが入る日の分担はALTと組む45分にまとめています。