英作文の採点でいちばん困るのは、時間ではなくぶれです。40枚目と1枚目で基準が変わる。隣のクラスと合わない。去年の自分と合わない。
ぶれの原因は、たいてい基準が甘いことではなく、細かすぎることです。項目が7つあると、7つとも毎回同じように見られる人はいません。
減点法をやめる
減点法(ミスを引く)は、一見客観的ですが、英作文には向きません。理由は2つです。
- 挑戦した生徒ほど点が下がる(複雑な構文を使えばミスは増える)
- 何も書かない答案と、書いてミスをした答案が近づく
加点に変えます。柱は3本だけです。
| 柱 | 配点 | 見るもの |
|---|---|---|
| 内容 | 4 | 主張があるか、理由が2つあるか、それぞれに具体があるか |
| 構成 | 3 | 主張が先頭にあるか、つなぎ語があるか、まとめがあるか |
| 言語 | 3 | 伝わるか。文法の細部ではなく、読んで意味が取れるか |
10点満点。柱ごとの内訳は上の3つずつで、1つできて1点という単純な刻みにします。これ以上細かくすると、判定に時間がかかるうえに、採点者ごとの解釈が入ります。
部分点は1点刻み、0.5点は作らない
0.5点を許すと、迷った答案が全部0.5に寄ります。寄った瞬間に、その項目は差を測っていません。
同じ理由で、「内容4点」の内訳も「主張1・理由2・具体1」のように整数に割り切ります。理由が1つしかない答案は2点ではなく1点。ここを機械的にするほど、ぶれません。
採点の前に、3枚だけ通し読みする
40枚を1枚目から採点し始めると、最初の数枚で基準が決まってしまいます。1枚目がたまたまよくできていると、以降が全部辛くなる。
先に、無作為に3枚だけ読みます。点は付けません。このクラスの上・中・下がどのあたりにあるかを見るだけ。3枚読んでから採点に入ると、1枚目からの基準が安定します。
採点例を、自分で作っておく
いちばん効くのがこれです。設問を作ったら、自分で答案を3通り書きます。
- 満点の答案(10点)
- 真ん中の答案(6点前後。理由が1つ、具体が薄い)
- 下の答案(3点前後。主張だけ)
書いてみると、設問の欠陥が先に見つかります。「満点の答案が80語で収まらない」なら語数指定が短すぎるし、「真ん中の答案が書けない」なら、その設問は0点か満点かに割れます。
作った3通は、返却のときにそのまま配れます。生徒にとって、点の説明としていちばん通じるのは基準の文言ではなく、実際の答案です。
クラス間をそろえるには、10枚を交換する
同じ学年を複数人で持っているなら、採点後に各クラス10枚ずつ交換して、点を伏せて付け直します。ずれが2点以上出た答案だけ突き合わせる。1時間で終わり、次の考査から明らかにそろいます。
全部を突き合わせる必要はありません。ずれるのはたいてい真ん中の帯なので、そこだけ合えば評定は合います。
刷るもの
- 添削記号とピアフィードバック … 返却時に使う記号表。記号で返すと、書き込みの量が3分の1になります。
- 意見文の設計図 … 授業で使った型がそのまま採点の3本柱に対応しているので、生徒の側で「何が点になるか」が事前にわかります。
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