学期末の作業が重くなるのは、集計そのものではなく、その場で基準を決めながら集計しているからです。素点を眺めながら「このあたりでAにしようか」とやると、クラスごと・年ごとにずれます。
決めるのは4月、使うのは学期末。手順は3段です。
段1:観点ごとに、素点を割合にする
観点ごとに満点がばらばらなので、まず割合(%)にそろえます。
| 観点 | 材料 | 満点の例 | 割合の出し方 |
|---|---|---|---|
| 知識・技能 | 考査前半60+小テスト30 | 90 | 合計 ÷ 90 |
| 思考・判断・表現 | 考査後半40+出口4回×3+パフォーマンス9 | 61 | 合計 ÷ 61 |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 振り返り3回×3 | 9 | 合計 ÷ 9 |
ここで大事なのは、観点をまたいで足さないことです。全部足して1つの点にしてから観点に割り戻す、という運用をしている学校がありますが、それをすると観点別評価をやっていないのと同じになります。
段2:割合をABCに落とす
境目は学年でそろえます。よく使われるのは次の線です。
- A … 80%以上
- B … 50%以上80%未満
- C … 50%未満
この線を4月に決めて動かさないのが要点です。学期末に「Cが多すぎるから45%に下げよう」とやると、その学期だけ基準がちがう評定になります。Cが多すぎるなら、直すのは線ではなく次の学期の授業か、材料の作り方です。
段3:ABCの組み合わせから5段階を出す
3観点のABCが出たら、組み合わせで評定にします。
| ABCの組み合わせ | 評定 |
|---|---|
| AAA | 5 |
| AAB / ABA / BAA | 4〜5(素点の合計で判断) |
| ABB / BAB / BBA / AAC など | 4 |
| BBB | 3 |
| BBC / BCB / CBB | 3 |
| BCC / CBC / CCB | 2 |
| CCC | 1 |
境目に来た生徒(AABなど)だけ、素点の合計を見て決めます。全員分を見る必要はありません。実務としては、境目に来るのはクラスの1〜2割です。
素点をそのまま平均しない
やってしまいがちなのが、材料の点をすべて足して平均する形です。これをやると、回数の多い材料(小テスト10回)が、回数の少ない材料(パフォーマンステスト1回)を押し流します。
観点ごとに割合を出してから比べる、という順序が、この偏りを止めています。段1で観点ごとに割ることに意味があるのはここです。
記録が足りないと気づいたら
学期末に「思考・判断・表現の記録が2つしかない」と気づくことがあります。このとき、無理に評定を出すより、次の手のほうが安全です。
- その学期は、足りない観点の重みを下げる(境目の判断に使わない)
- 次の学期の4月に、出口の帯を1つ増やす(→英語コミュニケーションの50分をどう組むか)
- 学年で材料の数を共有する(クラスによってちがうと、評定の意味が変わります)
記録の下限は観点別評価、3観点をどの材料で取るかに書いた「10/5/3」です。ここを割った学期は、評定の説明が難しくなります。
4月に決めて、1枚に貼っておく
学期末に迷わないために、次の3つを4月に紙にします。
- 観点ごとの材料と満点(段1の表)
- ABCの境目(段2の%)
- 組み合わせから評定への対応(段3の表)
この3つが学年で共有されていれば、学期末の作業は集計だけになり、1クラス1時間で終わります。逆に、これがないまま12月を迎えると、3日かかります。
関連
- 材料をどう集めるかは観点別評価、3観点をどの材料で取るかに。
- 3つめの観点の取り方は「主体的に学習に取り組む態度」を英語で何で見るかに。