6年間の集大成であり、卒業の単元です。とはいえ新しく増える言い方は want to だけ。5年からの I like / I can / I want の上に1つ重ねただけだと最初に伝えると、6年生の構えがほどけて声が出ます。
この単元でいちばん気をつけたいのは、夢の語りにくさです。将来の夢は家庭の事情や進路に直結することがあり、聞き出すものではありません。だから重心は「中学校でやってみたいこと」——部活・勉強・行事に置きます。ここに置けば、夢が決まっていなくても全員が語れます。
そのうえで、「まだ決まっていない」を第1時に正解にしてしまいます。I want to try .... と I don't know yet, but I like .... を掲示し、先生自身も「6年生のときは決まっていなかった」と本当のことを話す。この一手で、教室から「決めなきゃ」の圧が消えます。テストでも同じ評価にすると先に言い切っておくと、最後まで空気が戻りません。ここでは小6 Unit 8「My Future, My Dream 中学校でやりたいこと」の単元パック(NEW HORIZON Elementary 6 Unit 8 "My Future, My Dream" / Here We Go! 6 Unit 7 "My Dream" 対応)を使います。
8時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 先生の中学校の話を聞く(What club do you want to join? に出会う) | 歌/チャンツ | — |
| 2 | 部活動の言い方+4すみアンケート(活動1) | Small Talk①話題1(どの部活に入りたい?) | — |
| 3 | なりたいものの言い方 I want to be a ....(5年の職業カードを重ねる) | 歌/チャンツ | — |
| 4 | 中学校でしたいこと I want to study English hard.+書きWS① | Small Talk①話題2(中学校でしたいこと) | — |
| 5 | ドリーム・トークショーのトークメモづくり(3文+ひとこと) | 歌/チャンツ | ◎行動観察・シート点検(知技) |
| 6 | ドリーム・トークショー①(3人組で役を交代)→中間指導 | 歌/キーフレーズ暗唱 | ◎行動観察(思判表) |
| 7 | 世界の中学生の夢を聞く(教科書OH)+トークショー②→おわりに「入りたい部活」発表 | 歌/チャンツ | — |
| 8 | パフォーマンステスト(やり取り)+6年間の振り返り | なし——テストに使い切る | ◎テスト(知技・思判表)+振り返りカード(態度) |
「入りたい部活」の発表は第7時のおわりに置きます。クラス全体の数を出してから発表する形なので、帯には入りません。
第1〜2時:教室を歩かせて、部活のことばを体で覚える
第2時の4すみアンケート(活動1)は、教室ごと使う15分の活動です。絵カードを4枚、四すみに1枚ずつ貼り、先生が What club do you want to join? Go to your corner! と読むだけ。子どもは自分の答えのすみへ歩きます。着いたら近くの人と1文ずつ言い合う——動くだけで終わらせないのがルールです。
ラウンドは4回で、絵カード16枚を使い切ります(この形は小学校英語のゲーム大全の4コーナーです)。運動部の4つ、バドミントン・剣道と音楽の2つ、文化部の4つ、そして最後のラウンドだけ質問が変わって、なりたいもの4枚で What do you want to be? を聞きます。四すみに貼るカードはA4のままでよく、拡大コピーは要りません。
この活動でいちばん大事なのは、教室のまん中です。そのラウンドの4つに自分の答えがない子、まだ考え中の子はまん中に立ちます。まん中も正しい選択で、そこで I want to try .... や I don't know yet, but I like .... を言えば成立です。先生が近づいて I like science! を引き出せば、それで1文言えたことになります。人数は数字だけ板書して終わり。グラフにしたり少数派をいじったりしないのが、この活動の裏の目標である「1人でも堂々と立てる教室」を守る手つきです。
第3〜5時:カードは刷り直さず、5年のものを重ねる
第3時のなりたいものは、この単元の絵カード4枚だけでは足りません。ところが5年 Unit 8「あこがれの人」の職業カード16枚とは1枚も重ならないので、そのまま重ねれば職業20種になります。刷り直しは不要です。
形の説明はしません。join のあとは the ~ club、be のあとは a ~。この2つを掲示に書いておき、ずれたら掲示を指さすだけで直します。artist のように母音ではじまることばの前が an になることも、書きワーク①のまめ知識に置いてあり、口頭では扱いません。
第5時はトークメモづくり。書くのは入りたい部活・中学校でしたいこと・なりたいものの3文と、決まっていない人のためのひとこと欄です。したいことのことばバンクには study English hard、read many books、make many friends、enjoy the school festival、play sports、try a new club の6つを用意してあります。見取り(知技)はメモの3文だけを見て、join the ~ club と be a ~ の形が書けているかを確かめます。部活動は学校によってある・ないがあるので、地域のクラブや習い事を I want to try .... で言うのも同じ扱いにします。進学先が全員同じとは限らないため、「◯◯中に行ったら」と全体に投げかけないほうが安全です。話題は「中学校で」「これから」に開いたままにしておきます。
第6時:トークショーと、20分のサンドイッチ
本番は3人組です。司会が質問し、ゲストが3文まで語り、おうえんが相づちを返して最後に Good luck! でしめる。役を交代して3周し、全員が3つの役をやります。3人組が作れない学級は4人(おうえん2人)でかまいません。役が余るより、聞き手が多いほうがゲストは話しやすくなります。20分の進み方はこうです。
- 0〜7分 トークショー1回目(1〜2周目)。先生は「Why? のあとで止まったゲスト」を見つけておきます
- 7〜9分(あつめる) 言いたかったのに言えなかったことを集めます。日本語でよいと先に宣言し、司会・ゲスト・おうえんの3役それぞれから
- 9〜12分(英語にする) 補給表から近いものを黒板へ書き写し、全員で2回ずつ声に出します
- 12〜13分(自分の台詞にもどす) さっき言えなかった子が、となりに向かって1回言えたら準備完了
- 13〜20分 トークショー2回目(残りの周)。補給したことばを1つ使えたら名司会、と伝えてから始めます
補給は応援と司会に寄せます。ゲストの3文はメモにあるので、番組になるかどうかは周りの2人で決まるからです。追加質問の Why? は行きたい国の単元から使ってきた王様の質問。聞かれたゲストは I like music. と好きの文をゆっくりもう一度言えば、それが理由になります(because はまだ使いません)。答えが出ないときの Hmm... I don't know. も補給表に入れてあります。正直に言えることも英語の力です。おうえん側には Nice dream! と、5年のcanの単元から来た You can do it! を渡しておくと、教室が一気に番組らしくなります。
「保育士」「ユーチューバー」など職業のことばが出たら、教科書の巻末やことばバンクをいっしょに見ます。なければ無理に英語にしません。「そのことばは中学校の英語で最初に調べようね」が、卒業単元らしい返し方です。
第7〜8時:トークショー②と、テストの日
第7時は教科書のOver the Horizonとトークショー②。進行は第6時の台本のまま回せます。おわりの5分で「入りたい部活」を出し合うと、中学校の話題で単元がしまります。
第8時はテストです。45分を使い切るので帯は置きません。先生と1対1で約1分、トークメモを持って来てよく、黒板の3文の型と「I want to try .... / I don't know yet, but I like ....」も掲示したままにします。絵カードの提示用1部はテスト席に置いておきます。班をA〜Dに分け、1班終わるごとにA→B→C→D→Aと役割が1つずれます。待機の3班は、3人組のミニ・トークショーを小声で、トークメモのあいているところに中学校の自分へおくる一言をていねいに書く、振り返りカードの「6年間のまとめ」です。人前が苦手な子には、イスの向きを変えて教室に背を向けさせます。先生は教室が見える向きのままで、ついたては使いません(待っている班が見えなくなります)。
進行は、あいさつ → What club do you want to join? → Why? → What do you want to do at junior high school? → And what do you want to be? → お別れ、の6行。Why? は部活にだけ使い、なりたいものには使いません。理由を問える話題ではないからです。最後の質問のあとに3秒だまって待ち、子どもから質問が返れば思考・判断・表現のaになります。夢が決まっているかどうかは絶対に評価しません。I don't know yet, but I like science. は満点の答えです。回し方の詳細はパフォーマンステストの回し方にまとめています。
そして最後に、ここで作った3文は中1の4月の自己紹介にそのまま使える「持ち物」だと言い切って単元を終わります。それがこの8時間のいちばんの意味です。
この単元でよくあるつまずき
- 「夢がない」と手が止まる。I want to try .... と I don't know yet, but I like .... を第1時から掲示し、先生自身が決まっていなかったと話します。ここを第8時まで一度も動かさないのがコツです
- 入りたい部活が進学先の学校にない。地域のクラブや習い事も I want to try .... で言えることにします。部活動一覧を1枚用意しておくと、ことばが本物になり、語彙選びの根拠にもなります
- ゲストがたくさん話そうとして時間が伸びる。3文までと決めてあります。たくさん言った人が勝ちではないと先に言い、司会に質問2つの担当を渡しておくと、時間が自然にそろいます
前の単元「小学校の思い出」(NEW HORIZON では Unit 7)はこちら、卒業前の所見は所見の書き方、評価の全体像は評価と所見のガイドへ。