この単元は、教科書の並びでは1学期の終わりに置かれています。ただ実際には、夏休み明けの9月に「夏休みの思い出」として回す学校も少なくありません。単元パックの活動もSmall Talkもテストも、週末と夏休みのどちらでも成り立つように作ってあります。話題を差し替えるだけで、8時間の骨組みは変えなくて済みます。
地雷は、そのどちらで回しても同じところにあります。休みの過ごし方の差です。「どこへ行ったか」を語らせる時間になったとたん、伝え方の学習が旅行報告会に変わってしまいます。だから第1時の先生モデルは、あえて地味な週末で示します。スーパーと公園、それで十分です。焦点はどこへ行ったかではなく、どう伝えるかにあります。ここでは小6 Unit 3「週末・夏休みレポーター」の単元パック(NEW HORIZON Elementary 6 Unit 3 "My Weekend" / Here We Go! 6 Unit 4 "My Summer Vacation" 対応)を使います。
8時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 先生の週末・夏休みの話を聞く(went / ate / saw / enjoyed に出会う) | 歌/チャンツ | — |
| 2 | したことの言い方練習(絵カード)+過去チャンクかるた(活動1) | Small Talk①話題1(先生の週末) | — |
| 3 | 感想の言い方 It was ....+リアクション練習 | 歌/チャンツ | — |
| 4 | 週末レポーター・インタビュー(活動2)+書きWS① | Small Talk①話題2(夏休みのいちばん) | — |
| 5 | 自分の「思い出トーク」を組み立てる(3文:went→did→感想) | 歌/チャンツ | ◎行動観察(知技) |
| 6 | 思い出トーク本番①(グループ発表→質問タイム)→中間指導 | 歌/キーフレーズ暗唱 | ◎行動観察(思判表) |
| 7 | 世界の子どもの夏休みを聞く(教科書OH)+思い出トーク本番②→おわりに思い出ランキング発表 | 歌/チャンツ | — |
| 8 | パフォーマンステスト(やり取り)+単元の振り返り | なし——テストに使い切る | ◎テスト(知技・思判表)+振り返りカード(態度) |
第1〜2時:went は説明せず、かたまりのまま渡す
この単元で初めて過去の言い方に出会いますが、形の説明はしません。went は「行った」、ate は「食べた」、saw は「見た」——それぞれ1つの音のかたまりとして扱います。規則変化がどうなっているかは中学校の仕事で、小学校でやるのは、その音を体に入れておくことです。
鋭い子は必ず「なんで go じゃないの?」と聞いてきます。そこは説明せず、「よく気づいたね、中学で秘密がわかるよ」と流します。予告編にしておくほうが、正しく説明するより効きます。
第2時の主活動は過去チャンクかるた(3〜4人グループ・15分)。絵カード16枚をまん中に広げ、先生が読み上げた文に合うカードを取ります。読み上げは必ず文で行うのがミソです。sea! と単語で読むと、肝心の過去のかたまりが素通りします。went・ate・saw・enjoyed の4つを意識して配分し、行き先ばかり読まないようにします。
子ども側のきまりは3つだけ。手はあたまの上からスタート、お手つきのペナルティなし、そして取れたら文をまねして言う——言うまでが1点です。2回戦は「It was sunny. I went to the park.」のように2文つづきになり、天気のカードが動き出します。
第3〜4時:感想と、レポーターの取材
第3時で It was .... を足します。went の文だけでは、話が1往復で終わってしまうからです。fun/delicious/beautiful のような感想が1語つくだけで、聞く側もリアクションを返せるようになります。
第4時が週末レポーター・インタビュー(3人インタビュー・15〜20分)。子どもはレポーター役になり、What did you do? で取材します。取材メモは絵でも日本語でもよいと決めてあります。書くことに気を取られると、聞くことが止まるからです。同じ人に2回は取材しない、というきまりも入れてあります。
Small Talk①の話題2は「夏休みのいちばんの思い出」です。ここで「どこにも行ってない」という声が出たら、その場で I stayed home. I watched TV. It was relaxing! を板書して選択肢に加えます。家で過ごした夏も、対等な思い出として扱います。
この配慮は絵カードの中身とも関係します。16枚に家や図書館の絵はありません。だから I stayed home. は先生が黒板に出しておく必要があります。第1時のうちに出しておけば、以降ずっと使えます。
書きワーク①は同じ第4時に置いてあります。I went to the sea. をなぞってから、ことばバンクを見て「I went to ~.」と「It was ~.」を書き写す2ステップです。自力の英作文までは求めません(小学校の「書くこと」がどこまでかは聞く・読む・書くの評価にまとめています)。
第5〜6時:思い出トークと、20分のサンドイッチ
第5時で、went →したこと→感想 の3文に組み立てます。3文がむずかしい子は1文とジェスチャーで構いません。伝わればそれで◎です。話す前に絵カードを1枚選ばせて、話す内容を先に決めてしまうと、ことばが出やすくなります。
第6時の主活動20分は、必ず2回に割ります。
- 1回目(7分) 思い出トーク1回目(班で2人発表)。発表→質問タイムの流れで進め、先生は「質問できずに終わった班」を見つけて回ります
- あつめる(2分) 聞きたかったこと・こまった質問を集めます。「日本語でOK」と先に宣言し、発表側と聞く側の両方から3〜4個
- 英語にする(3分) 補給表から近いものを黒板へ書き写し、全員で2回ずつ声に出します
- 自分の質問にもどす(1分) 2回目にする質問を1つ決めて、となりに1回言えたら準備完了
- 2回目(7分) 思い出トーク2回目(残りの2人)。「補給した質問を1つ使えたらレポーター級」と言って送り出します
補給は質問する側に寄せてあります。went・ate・enjoyed の文はもう組み立て済みなので、会話が続くかどうかは聞き手の側で決まるからです。Where? は1語で質問になり、What did you eat? は What did you do? の do を替えるだけ。It was fun? は語尾を上げてくり返すだけで確認の質問になります。この3つが出れば、質問タイムは静まりません。
このとき、**stayed home の子の文を最初に取り上げます。**地味な週末を言いやすい空気は、先生が作るものです。逆に、行き先の豪華さには一切触れません。喜ぶのは「英語で聞けた・答えられた」ところだけにします。
第7〜8時:世界の夏休みと、テストの日
第7時は教科書のOver the Horizonで世界の子どもの夏休みを聞き、そのあと思い出トークの本番②を回します。進行は第6時と同じで構いません。この時間のおわりに思い出ランキングを発表して単元を締めます。発表は1人30秒厳守です。ここを延ばすと本番②が消えます。
第8時はテストです。45分を使い切るので帯は置きません。1人約1分×35人で35〜40分。班をA〜Dに分け、1班終わるごと(9〜10分)に役割がA→B→C→D→Aと1つずれます。待機の3班は、B=過去チャンクかるたを小声で(読み手を1人決め、活動シート1の「よみあげ文」1回戦を上から順に5文で交代)、C=班の中で小声レポーター(まだ取材していない友だちと1往復)、D=振り返りカードの記入。テストに持って行くのは、自分で選んだ絵カード1枚です。
進行は6行。あいさつ → What did you do on the weekend?(夏休みに回すなら in summer?) → Oh, nice! How was it? → 答えに応じたリアクション → 3秒だけ黙って待つ → お別れ。4行目で Really? / Me, too! / Sounds fun! と返したときに、子どもが反応を返せるかどうかも見どころです。
過去形の正確さは評価しません。go を went と言い間違えても減点はなしです。行き先の豪華さも無関係で、家で過ごした夏を堂々と伝えられたら、それが満点です。
この単元でよくあるつまずき
- 「どこにも行っていない」と言う子がいる。第1時のうちに I stayed home. を黒板に出しておきます。絵カード16枚には家も図書館もないので、これは先生が用意しておく必要のある1文です
- かるたが単語聞き取りになる。読み上げを文にそろえるだけで直ります。sea! と読むと絵さがしゲームになり、went や ate が耳に残りません
- 発表が延びて本番②が消える。1人30秒で切ります。かるたも1回戦でやめてよく、2回戦は朝の時間や雨の日の予備に回せます
前の単元は小6 Unit 2 一日の生活の授業、次の単元(Unit 4 行きたい国)は小6 Unit 4 行きたい国の授業にあります。学期末の所見をどう書くかは所見の書き方へ。