社会科と地続きで、6年生が身を乗り出す単元です。ねらいは「自分たちのくらしは世界とつながっている」を英語で伝えること。ところが、調べる対象の決め方ひとつで、この単元は別のものに化けます。
家から持ち物を持って来させた瞬間、教室で始まるのは産地調べではなく、ねだんとブランドの比べ合いです。これがこの単元の最大の地雷で、しかも英語の問題ではないので、英語の指導では止まりません。
止め方は対象の限定です。調べるのは教室と学校にあるものだけ。学校の備品を教材にしてしまえば、そもそも比べようがありません。第1時のうちに「調べるのは国だけ。ねだんとメーカーは見ない・言わない・書かない」を子どもと決めて掲示します。先生が禁じる形より、学級で決めたルールの形のほうが8時間もちます。ここでは小6 Unit 5「Made in 調査隊!世界とのつながり」の単元パック(NEW HORIZON Elementary 6 Unit 5 "Where is it from?" 対応)を使って組み立てます。
8時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 先生の持ち物の Made in 当てクイズを聞く(Where is it from? に出会う)+「調べるのは国だけ」のルールを決めて掲示 | 歌/チャンツ | — |
| 2 | ものの言い方+It's from .... の練習(絵カード)+Made in 聞き分けマップ(活動1) | Small Talk①話題1(先生の持ち物) | — |
| 3 | 地域の言い方(Asia / Europe など6つ)+ ... is in .... の言い方とリアクション練習 | 歌/チャンツ | — |
| 4 | 3点セットを口で組み立てる(もの→国→地域)+書きWS① | Small Talk①話題2(給食に世界が来ている) | — |
| 5 | 教室・学校で Made in 調査→グループのマップと台本づくり(活動2) | 歌/チャンツ | ◎行動観察(知技) |
| 6 | Made in マップ発表①(グループ交換)→中間指導 | 歌/キーフレーズ暗唱 | ◎行動観察(思判表) |
| 7 | 世界とつながるくらしを聞く(教科書OH)+マップ発表本番②→おわりに「いちばん遠くから来たもの」発表 | 歌/チャンツ | — |
| 8 | パフォーマンステスト(発表+やり取り)+単元の振り返り | なし——テストに使い切る | ◎テスト(知技・思判表)+振り返りカード(態度) |
記録に残す評価は第5・6・8時の3回だけです。第7時の「いちばん遠くから来たもの」発表は、帯ではなく授業のおわりに置いてあります。班ごとの集計が要るので、授業のはじめには間に合いません。
第1〜2時:ルールを決めてから、聞き分けマップへ
第1時は先生の持ち物クイズから入ります。使うのは学校の備品でよく、ボール・ものさし・チョークの箱・コピー用紙の包みで足ります。産地を当て合いながら Where is it from? に出会わせ、その勢いのまま調査のルールを決めて黒板の横に貼ります。外国につながりのある子がいる学級では、その国を「調べる対象」として名指ししません。本人が話したいときに話せる空気を、先につくっておきます。
第2時の主活動が聞き分けマップ(活動1)です。先生が It's a T-shirt. It's from Vietnam. と2文で読み上げ、子どもは世界地図で国をさがして、Asia から Oceania まで6つの地いきのらんに品物の番号を書きます。1回戦は身の回りのもの8つ、2回戦は食べもの8つ。書くのは番号だけで、英語は書きません。
読み上げは必ず文で行います。Vietnam! と単語で読むと、It's from .... のかたまりが耳を素通りするからです。答え合わせでは先生が Vietnam is in Asia. と言い、そろってその文をもう1回言うところまでがワンセット。国をさがす10秒を惜しまないのがこの活動のコツで、地図を指でたどる時間が、5年社会「世界の中の国土」で出会った六大陸と英語をつなぎます。
第3〜5時:もの→国→地いきの順を、黒板に固定する
第3時で地いきの言い方6つと ... is in .... を足します。順番を先に決めてしまうのがこの単元の設計です。黒板に「①もの → ②国 → ③地いき」と貼っておくだけで、6年生は迷わず3文話せます。
from は「〜から来た」の合図の音として扱い、be動詞+from の説明はしません。説明したとたんに口が止まります。
第5時が調査と台本づくり。1グループが調べるのは3つ厳守です。増やすと台本づくりが第6時に食い込み、発表本番が消えます。埋める( )は It's a ( ). / It's from ( ). / ( ) is in ( ). の3行だけ。ここがそろえば、それでもう発表です。この時間の見取り(知技)も表の中で行い、国と地いきが対応しているかだけを見ます。地図を写した形でよく、英語のつづりは問いません。
産地の表示がない物も必ず出ます。No label! と板書して、「わからなかった」を発見として残すと、探索がそこで止まりません。
第6時:マップ発表と、20分のサンドイッチ
主活動の20分は、1回で終わらせずに補給をはさみます。新しい時間は1分も足しません。
- 0〜7分 となりの班とマップを交換して発表1回目。発表3分+質問1つ。先生は「質問が出なかった班」を見つけて回ります
- 7〜9分(あつめる) 聞きたかったこと・こまった質問を出させます。日本語でよいと先に宣言し、発表側と見学側の両方から3〜4個
- 9〜12分(英語にする) 補給表から近いものを黒板へ書き写し、全員で2回ずつ声に出します
- 12〜13分(自分の質問にもどす) 2回目にする質問を1つ決めて、となりに1回言えたら準備完了
- 13〜20分 別の班と交換して発表2回目。「質問が返ってきて発表は完成」と言って締め、第7時の本番を予告します
補給は見学側の質問に寄せます。発表の3文は台本にあるので、2回目が伸びるかは質問の数で決まるからです。Where is it from? はそのまま見学側の道具になり、Where is Brazil? は5年の道案内で使った Where is ...? が国にも効くと気づける一言。答えに詰まった子は地図を指して国名1語で十分ですし、One more time, please. が言えれば聞き返しも成立します。
「原材料」「輸入」のような社会科のことばが出たら、無理に英語にしません。「それは社会の時間のことば」と返して、深い調べ学習はそちらへ預けます。
第7〜8時:発表本番と、テストの日
第7時は教科書のOver the Horizonと、マップ発表の本番②です。進行は第6時の台本のまま回せます。おわりの5分で「いちばん遠くから来たもの」を各班から1つずつ出させると、教室の地図に線が集まります。
第8時はテストです。45分を使い切るので帯は置きません。先生と1対1で約1分、30〜40秒の紹介に質問を1〜2つ。グループのマップと活動シート2を持って来てよく、黒板の3点セットと世界地図も掲示したままにします。班をA〜Dに分け、1班終わるごとにA→B→C→D→Aと役割が1つずれます。待機の3班は、活動シート2の「聞く人のことば」で班の中だけの小声インタビュー、絵カードで「もの→国」の2文を作ってほかの子が地いきを当てる、振り返りカードの記入。マップは4人に1枚なので、テスト席へ持って行くのは呼ばれた子の分だけにします。
進行は6行で、途中に 3秒だまって待つ を1行入れておきます。ここで子どもから Where is it from? や Is it in Asia? が返ってくれば思考・判断・表現のaです。国名・地いき名の発音は評価しません。調べたものの数やめずらしさも無関係で、ねだん・メーカー・新しさには先生も一切触れません。回し方はパフォーマンステストの回し方にまとめています。
この単元でよくあるつまずき
- 産地の表示が見つからない。No label! It's a mystery! と板書して仲間に入れます。先生の予備(チョークの箱・コピー用紙の包み)を渡せば、調査そのものは続きます
- 国名が読めない・言えない。地図の番号と国名を対応させた一覧を配ります。英語の国名は音で十分で、書き写しは任意です
- マップづくりが図工になる。色ぬり・かざりは英語の時間から外します。この45分の本丸は3文を決めることなので、飾りは宿題か図工へ回せます
次の単元(Unit 6 生き物と環境)の進め方は小6 Unit 6 生き物と環境の授業、単元の評価規準づくりは評価規準の作り方、評価の全体像は評価と所見のガイドへ。