卒業前の思い出スピーチの単元です。言語材料はUnit 3で音から入れた went / enjoyed / It was .... の使い回しなので、新しく覚えることはほとんどありません。ちがうのは主語がIからWeになることだけ。行事は学級みんなの出来事だからです。文法説明はせず、板書をいつも We ではじめる形で見せれば足ります。
しんどさは英語ではなく、思い出の側にあります。途中で転入してきた子、長く欠席していた子、その年に中止や縮小になった行事——「6年間の思い出」を正面から問うと、語るものを持っていない子が必ず出ます。これがこの単元の地雷です。
回避の一手は第1時の先生モデルです。修学旅行や音楽会ではなく、給食のカレーの日、雨の日の教室遊びといった地味な思い出を先生が最初に置くと、「そのレベルでいいのか」と教室の基準が下がり、行事に参加できなかった子の口がひらきます。「6年間」ではなく「この学校で楽しかった1日」でよいと最初に宣言してしまうのも同じ効果があります。ここでは小6 Unit 7「小学校の思い出をつたえよう」の単元パック(NEW HORIZON Elementary 6 Unit 7 "My Best Memory" / Here We Go! 6 Unit 8 "My Best Memory" 対応)を使います。
8時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 先生の小学校の思い出を聞く(What's your best memory? に出会う) | 歌/チャンツ | — |
| 2 | 学校行事の言い方+6年間の思い出アルバム(活動1) | Small Talk①話題1(先生の思い出) | — |
| 3 | したこと・気持ちの言い方(We went to .... / It was ....) | 歌/チャンツ | — |
| 4 | 思い出パネルの下書き(活動2)+書きWS① | Small Talk①話題2(6年間の思い出) | — |
| 5 | パネルを仕上げ、ペアで案内の練習(3〜4文) | 歌/チャンツ | ◎行動観察・パネル点検(知技) |
| 6 | 思い出ミュージアム①(案内役とお客さん役を交代)→中間指導 | 歌/キーフレーズ暗唱 | ◎行動観察(思判表) |
| 7 | 世界の子どもの学校生活を聞く(教科書OH)+ミュージアム②→おわりに思い出ベスト3発表 | 歌/チャンツ | — |
| 8 | パフォーマンステスト(スピーチ+Q&A)+6年間の振り返り | なし——テストに使い切る | ◎テスト(知技・思判表)+振り返りカード(態度) |
思い出ベスト3の発表は第7時のおわりです。グループで選んだベスト3をクラスで集計してから出すので、授業のはじめには置けません。
第1〜3時:行事の下ごしらえは、先生が先にする
第2時の思い出アルバム(活動1)は聞く活動です。4人グループで15分。机に1年生から6年生までの6つの場所をつくり、先生が「学年→思い出の文」の順に読み上げます。1回目は手を出さずに聞くだけ、2回目で合うカードを聞こえた学年のところへ置く。置いた人がその文を言うまでがワンセットで、そこまでやって初めてアルバムに書き写します。
この活動には、先生側の下ごしらえが1つだけあります。よみあげ文の学年を、この学校に合わせて書きかえることです。Grade 5 と読んだのに子どもの記憶が4年生だと、そこで手が止まります。中止や縮小になった行事の行はとばし、カードも先に抜いておきます。できなかったことを並べさせないことが、この単元の配慮の本体です。先生が知らない年のことは子どもに教えてもらってかまいません。そのやり取り自体が6年間のふり返りになります。
読み方も1つだけ約束があります。「学年→文」をひとまとまりで読むこと。sports day! と単語で読むと、行事名さがしの活動になって We went to .... / We enjoyed .... が耳に残りません。その行事に参加していない子には、カードを配る係や読み手役をふって、置く作業からは外さないようにします。
第4〜5時:パネルは1人1枚、下書きと仕上げを分ける
思い出パネル(活動2)は My best memory is .... / We went to .... / We enjoyed .... / It was .... の3〜4文と、その一場面の絵です。したことは①②のどちらか1つでよく、給食や休み時間の思い出なら We enjoyed .... だけで成立します。写真は使いません。
行事名には our をつけます(our sports day)。学級みんなの出来事だからで、the との使い分けは教えません。camping や lunch time のように行事でないものには何もつけない、とだけ示しておけば、ことばバンクから選ぶだけで形がそろいます。
第4時に下書き、第5時に仕上げ。パネルはグループの作品ではなく1人1枚の作品なので、つくる日をまとめると仕上がりが落ち、掲示に耐えなくなります。逆に言えば、このパネルはそのまま保護者公開授業の展示と卒業前のろうか掲示になります。第4時の下書きの段階で「これはろうかに貼るよ」と伝えると、書く手つきが変わります。学級と名前を書く位置も最初に指定しておくと、貼るときに困りません。第5時の見取り(知技)はパネルの文で行い、My best memory is ~. と It was ~. の形が書けているかだけを見ます。
第6時:思い出ミュージアムと、20分のサンドイッチ
半分が自分のパネルの前に立って案内役、残りが自由に見て回るお客さん役。案内は1人30秒・4人までで厳守します。延ばすと第7時の本番②が消えます。主活動の20分は次の順で進みます。
- 0〜7分 ミュージアム1回目(半分が案内役)。お客さんは回りながら質問を1つ。先生は「質問できずに帰ってきた子」を見つけておきます
- 7〜9分(あつめる) 聞きたかったこと・こまった質問を集めます。日本語でよいと先に宣言し、案内役とお客さんの両方から3〜4個
- 9〜12分(英語にする) 補給表から近いものを黒板へ書き写し、全員で2回ずつ声に出します
- 12〜13分(自分の質問にもどす) 2回目にする質問を1つ決めて、となりに1回言えたら準備完了
- 13〜20分 ミュージアム2回目。役を交代し、「質問が返ってきて案内は完成」ともう一度言ってから始めます
補給はお客さん側のことばに寄せます。案内の3〜4文はパネルにあるので、会話になるかどうかは聞く側で決まるからです。1語の Where? と What's this? が出るだけで、パネルの絵から話が始まります。もっと聞きたいときの Anything else? は5年のレストランの単元で使ったことばで、ここで再登場します。答えに詰まったら、パネルを指して Our school trip. とひとこと——パネルの1文で十分です。
「マラソン大会でくやしかった」のような気持ちのことばは、その場で英語にしません。日本語で言ってから絵を指す形にします。気持ちの英語は中学校でたっぷり出会うので、まちがった形をここで作らないほうが得です。
第7〜8時:ミュージアム②と、テストの日
第7時は教科書のOver the Horizonとミュージアム②。進行は第6時の台本のままです。おわりに思い出ベスト3を発表すると、8時間が学級の記録として残ります。
第8時はテストです。45分を使い切るので帯は置きません。先生と1対1で約1分、30秒のスピーチに質問を1〜2つ。思い出パネルを持って来てよく、黒板の3文の型は掲示したまま、絵カードの提示用1部もテスト席に置いておきます。班をA〜Dに分け、1班終わるごとにA→B→C→D→Aと役割が1つずれます。待機の3班は、思い出アルバムのレベルアップ版(カードを見て学年+2文を作って言う・読み手は活動シート1のよみあげ文を上から順に、5枚で交代)、パネルの仕上げ、振り返りカードの「6年間のまとめ」です。
先生の進行は、あいさつ → What's your best memory? → What did you do? → How was it? → 3秒だまって待つ → お別れ、の6行。過去形の正確さは評価しません。go を went と言えなくても、かたまりで言えていれば十分です。どの行事を選んだか、その行事に参加できたかどうかも評価とは無関係で、「休み時間がいちばんの思い出」でも満点になります。人前が苦手な子は、パネルを指さしながら1文ずつでかまいません。指さしも伝える工夫として同じ土俵で見ます。所見の書き方は所見の書き方へ。
この単元でよくあるつまずき
- その行事のときにこの学校にいなかった子がいる。第1時に「この学校で楽しかった1日でよい」と宣言し、先生が lunch time を先に板書して選択肢に加えておきます。あとから配慮するより、最初から選べる形にしておくほうが軽くなります
- 旅行先や持ち物の話に流れる。パネルは「どこへ行ったか」より「だれと・何をして・どう思ったか」を書く欄が先に来ています。案内の途中でその話が出たら、絵のほうへ戻します
- 案内役で声が止まる。ガイドを2人組にすると、ことばが止まっても相手が引き取れます。第5時のペア練習の相手を、そのまま当日の相方にしておくと自然です
前の単元は小6 Unit 6 生き物と環境の授業、次の単元「将来の夢」(NEW HORIZON では Unit 8)は小6 Unit 8 将来の夢の授業にあります。書く活動の評価は聞く・読む・書くの評価へ。