ヒーロー、と聞いた5年生がまず思い浮かべるのは、強い人か有名な人です。そのまま走らせると、この単元は「だれのヒーローがすごいか」の品評会になります。もう一つ心配なのが、家族の話ばかりに寄っていくこと。だれを選んだかで教室に差が生まれる形は、避けたいところです。
効く一手は、第1時にあります。先生が自分のヒーローとして、やさしい人・話を聞いてくれる人を先に挙げてしまうことです。Small Talkの台本では、おばあちゃんの天ぷらが世界一で、そしてとてもやさしい、という順で話します。写真がなくても棒人間の絵でかまいません(むしろ笑いが起きて場があたたまります)。この1分で、教室のヒーローの基準が作り直されます。
そのうえで、家族でなくてよいと明言します。先生、コーチ、お店の人、友だち、地域の人、本の中の人。6年生のあこがれの先ぱいでも成立します。ここでは小5 Unit 8「あこがれの人を紹介しよう」の単元パック(NEW HORIZON Elementary 5 Unit 8 "Who is your hero?" / Here We Go! 5 Unit 5 "My hero is my brother." 対応)の7点で、8時間を組みます。
8時間の見取り図
| 時 | 主な活動 | 帯(はじめ5分) | 記録 |
|---|---|---|---|
| 1 | 先生のヒーローの話を聞く(Who is your hero? に出会う) | 歌/チャンツ | — |
| 2 | 職業の言い方+Who am I? なりきりクイズ(活動1) | Small Talk①話題1(先生のヒーロー) | — |
| 3 | U3・U4で使った can から is good at .... へ+人がら(kind / funny / brave) | 歌/チャンツ | — |
| 4 | マイヒーロー・カードの下書き(活動2)+書きWS① | Small Talk①話題2(学校のヒーロー) | — |
| 5 | ヒーローカードを仕上げ、ペアで練習(3文+なぜ?) | 歌/チャンツ | ◎行動観察・カード点検(知技) |
| 6 | ヒーロー紹介大会①(相手を替えて3人)→中間指導 | 歌/キーフレーズ暗唱 | ◎行動観察(思判表) |
| 7 | 世界の仕事・はたらく人の話を聞く(教科書OH)+紹介大会②→おわりにヒーロー図鑑お披露目 | 歌/チャンツ | — |
| 8 | パフォーマンステスト(紹介+Q&A)+1年間の振り返り | なし——テストに使い切る | ◎テスト(知技・思判表)+振り返りカード(態度) |
第1〜2時:うごきだけで、is good at .... を浴びる
第2時のWho am I? なりきりクイズ(活動シート1)が、この単元の入口です。先生が職業になりきって動きます。声は出しません。ちょうしんきを胸に当ててうなずく、ホースをかまえて水をかける、フライパンをふって味見をする。そのあとに英語のヒントを1つだけ言います。This hero is good at cooking. のように。
答えは絵カードを指しても日本語でもかまいません。正解が出たら、全員で He [She] is good at ~. と言い直すところまでが1問です。ここを省くと、当てっこで終わって英語が口から出ません。
前半8問は先生が出題、後半8問は子どもがカードを1枚引いてなりきります。時間が足りない日は前半8問でやめて、後半は朝の時間や雨の日に回してかまいません。
先生に要るのは演技力ではなく、思い切りだけです。最初の3問を大げさすぎるくらいにやってしまえば、あとは子どもが動きます。先生が恥ずかしがると、教室も動きません。
もう一つ、答え合わせの文で He と She を1問ごとに入れかえます。この仕事は男の人、この仕事は女の人、という結びつきを教室に作らないための一手でもあります。
第3〜4時:can の続きとして、is good at を渡す
第3時は、U3で出会いU4で He/She に広げた can から橋を架けます。can は事実、is good at と is kind は「その人らしさ」。この違いは説明せず、先生モデルの中で並べて聞かせれば十分です。
is good at は be動詞なので、三人称単数の -s の壁がありません。ここでも文法の説明はせず、音のかたまりで入れます。U4の He/She can と同じ作戦です。教科書がこの並びになっているのは、それが理由です。
人がらのことばは kind / funny / brave から入り、活動シート2のことばバンクに friendly / cheerful / smart / cool / gentle まで用意してあります。ただし第3時で全部は要りません。3つ言えれば、カードは書けます。
第4時はマイヒーロー・カードの下書きと、書きワークシート①。My hero is my sister. をなぞってから、ことばバンクで My hero is ~. と He [She] is good at ~. を書き写します。good at のあとが cooking のように形の変わる語と、soccer のようにそのままの語がある——この説明もしません。並べて見せるだけにします。書きワークの3ブロック目は、宿題に回してかまいません。音声で言えていることが先です。
Small Talkの話題2は「学校の中のヒーロー」。保健室の先生を挙げて、She is good at listening. と話す台本になっています。だれも思いつかない子には、その場で選択肢を板書して選ばせます(my family / my friend / my teacher / my coach / a soccer player)。指さして選べたら That's nice! で成立です。
第5〜6時:カードと、20分のサンドイッチ
第5時にカードを仕上げてペアで練習、第6時が紹介大会①。カードの3文(だれ/得意なこと/人がら)に、「なぜその人?」のらんが1つ付いています。ここは日本語でかまいません。日本語で書けていれば、英語にできるところだけ英語になります。知識・技能の見取りは、カードの3文で。He/She の選び分けと is good at の形が書けているかを見ます。
第6時の主活動20分を、時間を足さずに2回へ割ります。
- 1回目・0〜7分 紹介大会の1人目→2人目(1人2分×2人)。先生は「Why? に答えられなかった子」を見つけて回ります
- あつめる・7〜9分 言いたかったのに言えなかったことを、日本語でOKと先に宣言して集めます。紹介側と、Why? のあとで止まった聞く側の両方から
- 英語にする・9〜12分 補給表から近いものを黒板へ書き写し、全員で2回ずつ声に出します。先生がその場で英語を作らなくていいように、表が用意してあります
- 自分の台詞にもどす・12〜13分 さっき言えなかった子が、となりに向かって1回言えたら準備完了
- 2回目・13〜20分 3人目へ。「Why? に1文返せたら5年生の卒業級」と言って始めます。もう一度言いたい相手のところへ戻ってもかまいません
この単元の補給は、Why? のあとの立て直しに全振りします。Why? と聞かれたら、人がらの文をゆっくりもう一度——He is kind. と言えば、それがもう理由です。because はまだ使わせません。聞き取れなかったときの Who? One more time, please.、たしかめの Good at soccer?(語尾を上げてくり返すだけ)。この3本で、会話はほぼ落ちなくなります。
「命の恩人」「そんけいしている」のような大きなことばが出たら、無理に英語にしないでください。人がらのことば(kind / funny / cool)に近づけてみよう、今日は日本語とジェスチャーでOK、と返します。その場でまちがった英語を作らないことがいちばん大事です。
2回目のあと、「Why? と聞けた人? 答えられた人?」と挙手で確かめて終えます。増えた実感が、そのまま卒業前の自信になります。
第7〜8時:紹介大会②と、テストの日
第7時は教科書のOver the Horizon(世界の仕事・はたらく人)を聞いてから、紹介大会②。進行は第6時の台本のまま回せます。おわりにカードを黒板へ貼れば、クラスのヒーロー図鑑のお披露目になります。
第8時はテストと、1年間の振り返りです。この日は帯を置かず、45分をテストに使い切ります。先生と1対1で約1分、30秒の紹介に質問を1〜2つ。1班8〜9人・約1分×35人で35〜40分。マイヒーロー・カードは持って来てよく、黒板の3文の型も掲示したままにします。見ないで言えたかどうかは評価しません。
先生の質問は、Hello! How are you? のあいさつから Who is your hero? へ。What is he [she] good at? で得意なことを引き出し、答えにくそうなら Is he [she] good at sports? と2択に落とします。最後が Is he [she] kind? — Why? で、ここは Yes +1語でも十分です。話し出せない子には、先生が先に自分のヒーローを1文紹介してから始めます。
待っている3班は、BがWho am I? なりきりクイズの班戦(出題は子ども・うごき中心なので静かです)、Cがマイヒーロー・カードの伝え合い延長戦(小声で、相手を替えて2人。聞く人は Why? を1回)、Dが振り返りカードの1年間のまとめ。1班終わるごとに、役割がA→B→C→D→Aとひとつずれていきます。
評価しないものも決めておきます。He と She の言いまちがい(言い直せたら、むしろ◎です)、だれをヒーローに選んだか、発音の正確さ、声の大きさ。上に見るのは、カードを見せる・ジェスチャーを添える・言い直すといった、伝えようとする工夫のほうです。
この単元でよくあるつまずき
- ヒーローが決まらない。第1時に先生が3人ぶんの例(家族/学校の人/がんばっている人)を示しておきます。それでも決まらない子には、板書の選択肢から指さして選ばせれば成立します
- He と She が入れかわる。カードの名前らんに、he か she を先に○で囲ませておくと、あとの3文がそろいます。テストでも減点しません
- 有名人を選んで、外見や持ち物の話になる。選ぶこと自体は止めません。「その人のどこがすごい?」と必ず聞き返して、得意なことと人がらへ言葉を寄せます。カードのルールにも「見た目や持ち物のことは言わない」と入れてあります
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