ひとことで言うと
個別最適な学びは、指導の個別化(一人ひとりに合った支援の量と方法)と学習の個性化(学ぶ内容や進め方を生徒が選ぶ)を、学習者の側から言い直した語です。協働的な学びは、仲間や地域の人と関わって学ぶことで、答申はこの2つを「一体的に充実」させることを求めています。英語の授業に置き換えると、練習は一人ひとりに合わせ、活動は相手と行い、その2つを同じ単元の中に置く、ということです。
出どころ
2021年1月26日の中央教育審議会答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」が示した語です。学習指導要領にすでにあった「個に応じた指導」を、教師の側からではなく学習者の側から見て「個別最適な学び」と呼び直し、それが孤立した学びにならないように「協働的な学び」と対にしました。1人1台端末(GIGAスクール構想)が前提になっていて、端末は個別の練習の道具であると同時に、協働の道具でもあると位置づけられています。
授業での実際の使い方
2つの学びを、英語の単元の中でどこに置くかの例です。
| 学び | 中身 | 英語の授業での形 |
|---|---|---|
| 指導の個別化 | 支援の量と方法を一人ひとりに | 同じ文法で支援の量が違う段階のあるプリント。宿題の支援量を選ばせる |
| 学習の個性化 | 学ぶ内容や進め方を生徒が選ぶ | スピーチのテーマを選ぶ(自分の町・好きな本)。練習の順を自分で決める(自由進度) |
| 協働的な学び | 仲間と関わって学ぶ | 情報の差のあるペア活動。ジグソー法で分担して読む。相互評価 |
1単元8時間なら、練習の2〜3時間を個別(段階のあるプリント・自由進度)、活動の2時間を協働(ペア・ジグソー)、最後の1時間を個別の振り返りにすると、答申の言う「一体的な充実」の形になります。端末は、個別の時間には音声の聞き直しと録音、協働の時間には共同編集の原稿づくりに使います。
よくある誤解
- 個別最適な学び=タブレットのドリル、ではありません。ドリルは指導の個別化の一部で、学習の個性化(生徒が選ぶ)が無いと半分です。
- 一斉授業の否定、でもありません。新出文法の導入や本文の読み取りは一斉で行い、練習と活動を個別と協働に分ける、という組み方です。
- 協働的な学び=グループにすること、でもありません。情報の差や役割の分担が無いグループは、話している生徒が1人だけの一斉授業と変わりません。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | やり取りが中心なので協働の時間が多い。個別は文字の練習と、自分のことを言う内容の選択(好きなもの・行きたい国) |
| 中学校 | 練習の段階のあるプリントと、話す活動のペア。単元の中で個別→協働→個別の振り返りの順に置く |
| 高校 | 論理・表現のテーマ選択が個性化。ディスカッションとディベートが協働。文法ユニットの版(基礎・標準・発展)が個別化 |
| 塾 | 個別指導は「個別」が前提だが、相手のいない学びになりやすい。集団指導の時間や、生徒どうしで説明し合う時間を残す |
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