ひとことで言うと
自由進度学習は、単元の一部または全部で、生徒が自分の計画で学習を進め、教師は一斉の説明ではなく個別の支援に回る学び方です。読みは「じゆうしんどがくしゅう」。英語では、文法の練習や単語の定着のような「1人でできる部分」を自由進度にして、相手が要る話す活動は一斉やペアで残す形が現実的です。
出どころ
1980年代の愛知県東浦町立緒川小学校の「個別化・個性化教育」で知られる単元内自由進度学習が原型です。2021年1月の中央教育審議会答申(令和の日本型学校教育)が「個別最適な学び」を掲げ、1人1台端末が入ったことで、2020年代に小学校を中心に再び広がりました。英語での実践は算数・社会より遅れていて、単元の一部に限る形が多いです。
授業での実際の使い方
単元8時間のうち、練習にあたる2〜3時間を自由進度にする組み方です。
| 時 | 形 | 内容 |
|---|---|---|
| 1〜2 | 一斉 | 新出文法の導入と本文(ここは自由進度にしない) |
| 3〜5 | 自由進度 | 学習の手引きに沿って、文法プリント(3段階)・単語・音読を自分の順で。教師は机間指導 |
| 6〜7 | ペア・一斉 | 相手のいる活動(情報の差のあるペア活動)と中間指導 |
| 8 | 一斉 | 確認テストと振り返り |
自由進度の3時間に要るのは3つです。学習の手引き(この3時間で「できるようになること」と、順番の例と、終わったらやることを1枚に)、段階のあるプリント(同じ文法で支援の量が違う3段階。上から始めてもよい)、チェックポイント(各段階の最後に先生に見せる1問。ここで止まっている生徒を見つける)。
教師は説明をしません。机間指導で、チェックポイントに来ない生徒と、同じところで止まっている生徒に声をかけます。1人に20秒、全体を3周する回り方です。
よくある誤解
- 自由進度=放任ではありません。手引きとチェックポイントが無い自由進度は、できる生徒が速く終わり、できない生徒が止まったまま3時間過ぎます。
- 英語を全部自由進度にすると、話す・聞く(相手が要る技能)が消えます。自由進度にするのは1人でできる部分だけです。
- タブレットのドリルを配れば自由進度、でもありません。進度を生徒が決めることと、教師が個別に支援することの2つがそろって自由進度です。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 英語はやり取りが中心なので、自由進度は文字(アルファベット・書き写し)の練習に限る形が多い |
| 中学校 | 単元の練習パートの2〜3時間。文法プリントの3段階と単語テストを、生徒が自分の順で |
| 高校 | 文法ユニットの練習を自由進度に。宿題を前提にしない教室では、授業内の自由進度が家庭学習の代わりになる |
| 塾 | 自習室での学習がすでに自由進度。手引きの代わりに「今日の3枚」を渡し、チェックポイントを先生が見る |
この用語が出てくる教材と記事
- 中学英語の文法定着ドリル28本。自由進度の3時間に置く、全18文法のプリントです。
- 宿題の設計。家庭学習を練習に変える設計で、自由進度の手引きと同じ考え方です。
- 塾の自習室で英語が進まない生徒に渡す、3種類のプリント。自習室での自由進度が止まる生徒への手当てです。
- 英単語テストメーカー。単語の練習を自分の範囲で回すときの道具です。
- 答申の側の言い方は個別最適な学びと協働的な学び、生徒が自分で進めるための技術は学習方略へ。