ひとことで言うと
ポートフォリオ評価は、画家の作品集(ポートフォリオ)のように、生徒の学習の過程で生まれたもの(英作文、スピーチの録音、振り返りカード、小テストの推移、書き直した答案)を1つの入れ物にためておき、その積み重ねで成長を見取る評価です。1回のテストの点ではなく「4月と比べてどう変わったか」が見えるので、主体的に学習に取り組む態度の材料として使いやすい形です。
出どころ
パフォーマンス評価と同じく、1990年代に英語圏で広まった「真正の評価」の考え方の1つで、文部科学省の「学習評価の在り方ハンドブック」(2019年)が、ペーパーテスト以外の評価方法の例として挙げています。日本の英語教育では、ライティングの推移を綴じるファイルや、1人1台端末に録音をためる形で実践されています。
授業での実際の使い方
英語でためるものと、学期に1回の「選んで振り返る」時間です。
| ためるもの | いつ | 見えるもの |
|---|---|---|
| 英作文(提出したものと書き直し) | 単元ごと | 書ける量と正確さの推移 |
| スピーチ・やり取りの録音(端末) | パフォーマンステストのたび | 話す量と続け方の推移 |
| 帯の記録用紙(タイム・語数・点数) | 毎時間 | 粘り強さ |
| 振り返りカード | 単元ごと | 学習の調整(次に何を直すか) |
学期末に15分、「4月のものと今のものを並べて、変わったところを1つ書く」時間を置きます。この1文が、生徒にとっては自分の成長の言葉になり、先生にとっては態度の観点の記録になります。先生が言う言葉は「いちばん変わったものを1つ選んで」です。全部を評価しようとせず、生徒が選んだ1つと、推移が見える1つ(帯の記録)だけを見ます。
よくある誤解
- ためること自体が評価ではありません。ためたものを「選んで振り返る」時間があって、初めて評価になります。ファイルが厚くなるだけの実践は、ここが抜けています。
- 全部に点数をつける必要はありません。点数をつけるのは、その中の総括的評価に使うもの(単元末の英作文など)だけです。
- 紙のファイルでなくてよいです。1人1台端末のフォルダに、録音と写真をためる形のほうが、英語では続きます。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 振り返りカードと活動の写真。所見の材料に。点数はつけない |
| 中学校 | 英作文の綴じ込みと録音。学期末の「選んで振り返る」15分 |
| 高校 | 意見文・要約の推移。大学入試の総合型選抜で提出する学校もある |
| 塾 | 確認テストの推移と書き直しをファイルに。保護者面談で見せる |
この用語が出てくる教材と記事
- 主体的に学習に取り組む態度の見取り方。ためたものを態度の観点にどう使うかです。
- ライティング指導の技術。書き直しをためる前提の返し方です。
- 帯活動の教材一覧。推移が残る記録欄つきのプリントです。
- 態度の観点は主体的に学習に取り組む態度、選んで振り返る時間は振り返りへ。