ひとことで言うと
反転授業は、これまで教室でしていた説明(講義)を動画などで家庭に回し、教室の時間を練習・活動・個別の支援に使う授業の形です。読みは「はんてんじゅぎょう」。英語では、新出文法の説明を5分の動画で家で見てきて、教室ではその文法を使う活動から始める、という形になります。1人1台端末でやりやすくなりましたが、うまくいくかどうかは「見てこなかった生徒」の手当てで決まります。
出どころ
2000年代後半のアメリカの高校教師(バーグマンとサムズ)が、欠席した生徒のために授業の動画を作ったことがきっかけとされ、2010年代に大学と学校に広がりました。日本では2012年ごろから大学と一部の中高で実践が始まり、GIGAスクール構想の端末で家庭での動画視聴が現実的になりました。学習指導要領の用語ではなく、授業の形の名前です。文部科学省のICT活用の事例集にも実践が載っています。
授業での実際の使い方
英語の文法の単元を反転する形です。動画は5分以内、教室の最初の5分に「見なかった生徒」の救済を置きます。
| 場所 | やること | 時間 |
|---|---|---|
| 家 | 新出文法の説明動画(先生が作るか、デジタル教科書の解説動画)を見て、確認の3問を解く | 5〜10分 |
| 教室・最初 | 見なかった生徒は教室の端末で見る(見た生徒はその間に確認の3問の答え合わせ) | 5分 |
| 教室・中心 | 練習(段階のあるプリント)→情報の差のあるペア活動→中間指導。先生は机間指導と個別の支援 | 35分 |
| 教室・最後 | 確認テストと振り返り。次の動画の予告 | 10分 |
反転する単元は「説明が長くなる文法」(受け身・現在完了・関係代名詞)に限ると効果が出ます。中1のbe動詞のように、説明より練習が大事な単元は反転しません。動画は先生が撮る必要はなく、デジタル教科書の解説動画やサイトの説明で足ります。確認の3問を付けるのは、見たかどうかを教室の最初に把握するためです。
よくある誤解
- 全員が見てくる前提で組むと失敗します。見てこない生徒が3割いる前提で、教室の最初の5分に見る時間を置き、その間に見た生徒がやることも用意します。
- 反転=宿題が増える、ではありません。従来の宿題(問題集)を動画に置き換えるので、量は同じか減ります。
- 教室の時間が空くわけではありません。説明が消えたぶん、練習と活動と個別支援で埋める設計が要り、準備は従来より増えます。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 文法の説明が無いので反転する対象が少ない。音声を家で聞いてくる形(歌・チャンツ)が近い |
| 中学校 | 説明の長い文法の単元だけ反転。見なかった生徒の5分と、確認の3問が要 |
| 高校 | 文法ユニットの説明を動画に回し、教室を論理・表現の活動に。宿題を前提にできない学校では教室内で完結させる |
| 塾 | 映像授業+確認テストの形がすでに反転に近い。教室で「使う活動」を足すと反転になる |
この用語が出てくる教材と記事
- 宿題の設計。「ノート1ページ写す」をやめて家庭学習を練習に変える設計で、動画に置き換える判断も含みます。
- 中学英語の文法定着ドリル28本。反転した教室の練習パートに置く、全18文法のプリントです。
- 中学英語のコミュニケーション活動18選。反転した教室の活動パートに置くペア活動です。
- 教育困難校に着任したとき、英語の授業をどう成立させるか。宿題を前提にしない設計で、反転が向かない教室の考え方です。
- 端末の前提はGIGAスクール構想、教室の練習を生徒の進度に任せる形は自由進度学習、家で見る教材はデジタル教科書へ。