ひとことで言うと
逆向き設計は、単元を作るときに、教科書のページ順(何を教えるか)から始めるのではなく、「単元の終わりに生徒が何をできるようになるか」と「それをどんな課題で確かめるか」を先に決めて、そこから逆算して授業を組む考え方です。ゴールの課題(パフォーマンス課題)が先に決まると、毎時間の活動が「その課題のための練習」になり、教える内容の軽重がつきます。
出どころ
アメリカのウィギンズとマクタイが1998年に示した「理解をもたらすカリキュラム設計」(Understanding by Design)の考え方で、日本では西岡加名恵氏らが「逆向き設計」として紹介しました。学習指導要領の本文にある語ではありませんが、「指導と評価の一体化」の参考資料が示す、単元の目標→評価規準→指導計画の順は、この考え方と同じです。
授業での実際の使い方
3段で単元を組みます。中2・不定詞の単元の例です。
| 段 | 決めること | 例 |
|---|---|---|
| 1 ゴール | 単元の終わりにできること(CAN-DO の1行) | 自分の将来の目標と理由を、不定詞を使って1分で伝え合える |
| 2 評価の課題 | ゴールを確かめるパフォーマンス課題とルーブリック | 「将来の夢インタビュー」(やり取り1分・3観点のルーブリック) |
| 3 指導 | 課題から逆算した毎時間 | 第1時 導入、第2〜3時 定着と帯、第4時 やり取りの練習、第5時 課題、第6時 小テスト |
段2で決めたルーブリックを、単元の最初に生徒に配ります。生徒も「ゴールが何か」を知って練習するので、活動の意味が伝わります。先生が自分に向けて言う言葉は「このページは、ゴールの課題に要るか?」です。要らなければ軽く扱い、要るなら厚くします。
よくある誤解
- 教科書を使わない設計ではありません。教科書のページを、ゴールから見て軽重をつけて使う設計です。
- 評価を先に決めるのは「テストのための授業」にすることではありません。ゴールがパフォーマンス課題(実際に使う場面)だから、授業も使う練習になります。
- 単元ごとに壮大な課題が要る、わけでもありません。「1分のやり取り」「5文の英作文」で十分です。
校種別の違い
| 校種 | 形 |
|---|---|
| 小学校 | 単元まるごとパックの計画がこの形。単元末の「伝える活動」がゴール |
| 中学校 | 単元の評価計画の作り方そのもの。CAN-DO の1行→課題→毎時間 |
| 高校 | 科目の年間計画から単元へ。定期考査とパフォーマンス課題の役割分担を先に決める |
| 塾 | 確認テスト(ゴール)から逆算して、4回の授業を組む形が同じ考え方 |
この用語が出てくる教材と記事
- 観点別評価の考え方。単元の評価計画を目標→規準→指導の順で作る手順です。
- 中学英語の学習指導案の書き方。目標1文から指導案を組む型です。
- パフォーマンステストの教材一覧。ゴールの課題にそのまま使える課題カードとルーブリックです。
- 課題の形はパフォーマンステスト、考え方の全体は指導と評価の一体化へ。