学期末に来る質問は、毎年ほぼ同じです。80点なのになぜ評定3なのか。提出物は全部出したのに上がらないのはなぜか。あのテストを休んだ分はどうなるのか。
同じ質問が毎年来るということは、答えを毎年その場で作っているということです。順序を変えます。答えを4月に紙にして配ってしまう。
生徒が知りたいのは、比率ではなく「何をすれば上がるか」
評価の説明というと、観点の定義から入りたくなります。ただ、生徒が知りたいのはそこではありません。何をすれば上がるのか、それだけです。
だから3観点も、生徒のことばに置き換えて書きます。
| 観点 | 生徒に渡すことば |
|---|---|
| 知識・技能 | 覚えたことと、練習した型が使えるか |
| 思考・判断・表現 | 初めて見る英文や場面で、自分で考えて答えを作れるか |
| 主体的に学習に取り組む態度 | できなかったことに気づいて、やり方を変えたか |
3つめは、ここまで踏み込んで書いておくのが安全です。まじめさや提出の有無だと思われたまま学期が終わると、返ってくるのは「全部出したのに」という質問になります。前回できなかったことを次にどう変えたか、と書いてあれば、質問の中身が変わります。
数字を空欄のまま配らない
説明プリントで効くのは、文章より数字です。どの材料を、学期に何回、どれくらいの重みで見るのか。この3列が埋まっていると、生徒は自分で計算を始めます。
ここが埋められないなら、それは生徒の問題ではなく評価計画の問題です。書けない数字がある時点で、学期末に説明できない材料があるということになります。プリントをうめること自体が、計画の点検になります。
A・B・Cの線も先に出します。得点率80%以上がA、50%以上がB。学校の規程に定めがあればそちらが優先ですが、いずれにせよ先に見せておくと、返却時の説明が「あと何点でBです」という具体の話になります。
締切も書いておきます。評定に入れる材料の締切は学期末の3週間前で、それ以降の提出は受け取るが評定には入らない。ここを口頭だけで済ませると、最後の週に提出物が集中して、採点が返却に間に合わなくなります。
よくある質問には、先に答えを書いておく
プリントの下半分は、質問と答えにします。実際に毎年来るものを5つ並べておけば足ります。
テストの点がよければ上がるか。上がるが、テストで測れるのは3観点のうち2つまで。提出物を全部出せば5になるか。ならない。出したかどうかではなく、出したものが前より変わっているかを見る。英語が苦手でも上げられるか。上げられる。初めて読む英文で自分の考えを書く問題は、単語をたくさん知っているかどうかとは別の力だから。
話すのが苦手だと不利になるか、という質問もよく来ます。話す量ではなくやり取りが続いたかを見る、と書いておくと、実演の前の空気が変わります。規準を事前に配ると伝えておけば、練習する場所も見えます。
配り方は、最後の5分
最初の授業の冒頭に配ると、その日の授業が評価の話で終わります。最後の5分に配って、質問を1つだけ受けて終わる。全部説明しても、誰も覚えていません。手元に紙が残ることのほうが効きます。
読み上げないのがこつです。読み上げた内容は流れていきますが、指さして話せる紙は学期末まで残ります。
そのまま保護者会の資料としても使えます。学級通信に評価の話を書くより、この1枚を渡すほうが問い合わせが減ります。数字の根拠を並べるより、見た材料が全部そろっていることのほうが納得されるからです。
学年の途中で担当が替わるときにも、この紙が引き継ぎ資料になります。次の担当が1枚見れば、生徒に何を約束してあるかがわかる。
学期の途中で比率を動かさない
一度配ったら、その学期は動かしません。動かすなら次の学期からで、そのときは余白にその旨を書いて配り直します。
途中で線を動かすと、その学期の評定は誰にも説明できなくなります。線が甘かったと気づいた学期は、そのまま走りきって、次の4月に直す。それが結局いちばん静かに済みます。
数字の欄を空けたままの版下は、評価とテストの道具に評価の説明プリントとして置いてあります。刷り込んだ数字を配ると、学校ごとに嘘になるので空欄にしてあります。何を書けばいいか迷ったら、同じページの年間の評価計画と評定の出し方に、材料の置き方と線の決め方があります。