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英語教材ラボ 高校版

学校ごとの悩み

1つの教室に、できる生徒とアルファベットが怪しい生徒がいる|同じ問いを、支援の量だけ変えて配る

習熟度別に分けられない学校で、40人の学力差をどう扱うか。難易度を3つに分けても、測る力と場面をそろえておけば答案は同じ観点で並べて読めます。誰がどの版を持つかの決め方、自己選択がうまくいかない理由、机間指導の順番、定期考査で版を分けない理由まで。基礎・標準・発展の3版がある無料PDFで具体的に書きました。

公開 2026-08-30・更新 2026-08-30

同じ教室に、英検2級を持っている生徒と、be動詞と一般動詞の区別があやしい生徒がいる。習熟度別展開は時間割の都合でできない。授業を上に合わせれば下が降り、下に合わせれば上が内職を始める。

高校でこの幅が中学より大きいのは、学校差だけでなく入学後の伸び方の差があるからです。実際、高校の検定教科書は同じ発行者でも複数のレベルに分冊されていて、教科書のほうが最初から「同じ学年でも別の授業」を前提にしています。教室の中で同じことが起きているだけ、と考えるほうが扱いやすくなります。

差そのものは、埋めない

最初に決めておくことがあります。1年間で差を埋めるのは、現実的な目標ではありません。目標にすると、上位の生徒に待たせるか、下位の生徒を置いていくかのどちらかになります。

目標にできるのは、全員が同じ問いに答えを出して帰ることです。答えの精度が違っていてよく、そこに支援の量で差をつけます。

分けるのは難易度ではなく、支援の量

「難易度別プリント」を自作すると、たいてい基礎版の問いが易しいものに置き換わります。すると、基礎版を配られた生徒は年間を通して別の問いを解き続けることになり、差は開きます。

当サイトの教材が基礎・標準・発展の3版を持つとき、変えているのは支援の量だけです。

変えているもの変えていないもの
基礎語群・選択肢・語注・例文の提示測る力/場面/設問の数
標準支援を半分に同上
発展支援なし・記述で答える同上

たとえば10分小テストは3版とも24点満点・同じ4大問で、大問4は「形が作れても、その形が何を言っているのかが分かっていないと答えられない問い」に統一してあります。基礎版を解いた生徒も、発展版を解いた生徒も、同じことを問われています。

誰がどの版を持つか

配り分けの実務でいちばん失敗するのが、ここです。

自己選択にすると、ほぼ全員が易しい版を取ります。 教室で「どれでもいいですよ」と言われて、難しいほうに手を伸ばす生徒は多くありません。逆に、教師が名簿順に固定で割り当てると、版が身分になります。

現実的なのは、次の形です。

  1. 最初の1か月は全員が標準版。誰がどこでつまずくかを、答案で見る
  2. 2か月目から、教師が版を決めて配る。ただし単元ごとに見直す(仮定法は基礎、関係詞は標準、のように動く)
  3. 生徒からの「上げてほしい」は受ける。「下げてほしい」は、その単元だけ受ける
  4. 版の名前を教室で呼ばない。プリントの隅の小さな表記だけにする

3つ目を非対称にしておくのがコツです。下げる申し出をいつでも受けると全員が下がり、上げる申し出を断ると伸びる生徒が止まります。

配り分けても、評価は崩れない

「違う紙を配ったら、点が比べられないのでは」という不安は当然ですが、測っている力と場面が同じなら、答案は同じ観点で並べて読めます。崩れるのは、支援ではなく問いを変えたときです。

  • 支援を変えた → 同じ力を測っている。並べて読める
  • 問い(場面・条件・技能)を変えた → 別の力を測っている。並べられない

平常点として記録するときは、版ではなく到達で書きます。「基礎版で20点」ではなく「語群があれば正しい語順で書ける」。この書き方にしておくと、次の単元で版を上げる判断がそのまま根拠になります。

机間指導は、下からではなく真ん中から

授業中に回る順番にも、差の大きい教室では効き方があります。

いちばん手が止まっている生徒から回ると、その生徒に5分かかり、その間に教室の残りが止まります。真ん中の層から回ると、真ん中が動き出し、その動きが両端に伝わります。手が完全に止まっている生徒には、そのあとで、隣の生徒の答案を見せながら入るほうが速く進みます。

定期考査では、版を分けない

小テストと違い、定期考査は評定に直結します。原則は1種類です。

代わりに、1枚の中に段を作ります。

  • 大問1〜2は、授業でやった形そのまま(基礎版で解いていた生徒が取れる)
  • 大問3に初見の短い英文(初見読解ミニテストの基礎版がそのまま入ります)
  • 大問4に記述1問(発展版で解いていた生徒が差をつける場所)

定期テスト設計図は、この配分を作る前に決めるための1枚です。作ってから数えると、配点は前半の語彙・文法に寄り、上位も下位も動かない考査になります。

まとめ

  • 差は埋めない。全員が同じ問いに答えを出して帰ることを目標にする。
  • 変えるのは支援の量だけ。問いを変えると、答案が並べられなくなる。
  • 版は教師が決めて、単元ごとに見直す。上げる申し出は受け、下げる申し出はその単元だけ。
  • 記録は版ではなく到達で書く。
  • 定期考査は1種類。段は1枚の中に作る。

紙は文法ユニットにあります。18ユニットすべてで、ドリル・表現ワーク・小テストが基礎・標準・発展の3版そろっています(発展版はPremium、基礎版と標準版は無料です)。学校全体としてどの帯に合わせるかは、進学校に着任したとき教育困難校に着任したときにそれぞれ書きました。

執筆: 英語教材ラボ編集部

首都圏の公立中学校で英語を10年教えた元教員が、中3の英語が高1でどうつながるかを見てきた立場から書いています。高校の制度・評価の記述は、高等学校学習指導要領(平成30年告示)と国立教育政策研究所「指導と評価の一体化」参考資料、大学入学共通テストの公表問題にあたって確認しています。詳しくは教材のつくり方と運営者情報へ。

この記事で使った紙は、すべて無料でダウンロードできます

論理・表現の設計図と運営キット、評価とテストの作問の道具。刷るだけで1コマが流れます。

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