ひとことで言うと
小中接続は、小学校の外国語と中学校の外国語のあいだにある段差を、双方の指導でなだらかにする考え方です。小学校では音声で慣れ親しんだ表現を、中学校では文字と文法として扱い直します。「小学校でやったよね」と中学校の先生が言っても、生徒にとっては音で知っているだけで、書いたことも仕組みを考えたこともない、という段差が中1の4月に起きます。
出どころ
平成29年告示の学習指導要領で、小学校5・6年の外国語が教科になり、中学校の外国語は小学校での学習を前提にした目標と内容になりました。解説は、小学校で「慣れ親しんだ」語彙や表現を中学校で「理解し使える」ようにする、という接続の考え方を示しています。語数の目安は小学校600〜700語、中学校1,600〜1,800語で、中学校の語数は小学校分を含めて積み上げる形です。
授業での実際の使い方
中1の4月に、中学校側でできる3つの手立てです。
| 手立て | やること | 先生が言う言葉 |
|---|---|---|
| 音から文字へ | 小学校で音で知っている表現(I like ... / Can you ...?)を、まず音で確かめてから書かせる | 「言えるよね。じゃあ書いてみよう」 |
| 慣れ親しみを既習にしない | 小学校で出た表現も、中1で1回は「新出」として形を整理する | 「聞いたことはある。今日は仕組み」 |
| 小学校の教科書を見る | 生徒の小学校の教科書(NEW HORIZON Elementary など)で、何を音で経験したかを確かめる | (4月の準備) |
小学校側でできることは、5・6年で文字に触れる機会(書き写し・文字の名前)を確実に持つことと、中学校に「この単元でこの表現に慣れ親しんだ」を伝えることです。校区の小中で年に1回、教科書の単元と表現の対応表を共有するだけでも、段差は小さくなります。
よくある誤解
- 小学校で習ったから中学校で省略できる、わけではありません。慣れ親しんだのは音で、文字と仕組みは中学校で扱います。
- 中学校の4月を「小学校の復習」にすると、生徒は退屈します。音で知っている表現を「書く・仕組みを考える」という新しい角度で扱うのが接続です。
- 段差は生徒の責任ではありません。小学校と中学校の目標の違いから生じる構造的なもので、指導で埋めます。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 音声で慣れ親しむ。5・6年で文字の名前と書き写し。中学校へ単元と表現の情報を渡す |
| 中学校 | 4月に音から文字へ。慣れ親しんだ表現を新出として整理する |
| 高校 | 中学の全文法が「既習」の前提だが、使えない生徒が多く、帯で戻す。中高接続も同じ構造 |
| 塾 | 中1の入塾期に、小学校で何をやったかを生徒の教科書で確かめてから紙を選ぶ |
この用語が出てくる教材と記事
- 小中接続の英語指導。「小学校でやったよね」が中1を英語嫌いにする理由と手当てを書いた本編です。
- 中学英語の授業開きガイド。中1の最初の1時間の流れです。
- can-doリスト(小学校)。小学校で何ができるようになって中学校に来るかの階段です。
- 「慣れ親しんだ」と「既習」の線は既習表現、文字と音はフォニックスへ。