ひとことで言うと
合理的配慮は、障害のある児童生徒が、他の生徒と同じように授業や評価に参加できるように、本人や保護者の申し出をもとに学校が個別に行う調整です。英語なら、読み書きに困難のある生徒に本文の音声とルビつきのプリントを用意する、聞き取りに困難のある生徒にリスニングの音声を文字でも示す、といったことです。「授業のユニバーサルデザイン」が全員向けの設計であるのに対し、合理的配慮はその上に重ねる個別の調整です。
出どころ
障害者差別解消法(2016年施行)が、公立学校を含む行政機関に合理的配慮の提供を義務づけました。2024年4月の改正法の施行で、私立学校や学習塾を含む民間の事業者にも義務になりました。文部科学省の通知と、中央教育審議会の報告(2012年)が、学校での考え方(本人・保護者との合意形成、過重な負担でない範囲、個別の教育支援計画への記載)を示しています。
授業での実際の使い方
英語の授業での例と、決め方の手順です。
| 困難 | 配慮の例 |
|---|---|
| 読むこと | 本文の音声を端末で聞ける/ルビつき・拡大のプリント/読み上げ機能の使用 |
| 書くこと | 書く量を減らす(選択・口頭で代える)/端末で入力/単語テストを口頭で |
| 聞くこと | リスニングの音声をスクリプトでも示す/席の位置/ゆっくり読む |
| 発表 | 全員の前でなく先生とだけ/録音での提出/原稿を見てよい |
| テスト | 時間の延長/別室/問題文の読み上げ/解答方法の変更 |
手順は、①本人・保護者からの申し出(または先生の気づきから相談)、②学校で何ができるかを検討(過重な負担でない範囲)、③本人と合意して決める、④個別の教育支援計画・指導計画に書き、教科の先生に共有、⑤やってみて見直す、です。英語の先生がやるのは、教科の中で「何を変え、何を変えないか」を具体にすることです。変えるのは方法(音声・時間・提出の形)、変えないのは評価規準(何ができるかを見る観点)です。
よくある誤解
- 評価を甘くすることではありません。方法を変えて同じ規準で評価します。読み上げで内容が理解できれば「読むこと」の評価は同じ規準で行えます。
- 診断書がないと配慮できない、わけではありません。本人・保護者の申し出と学校の判断で始められます。
- 授業のユニバーサルデザインで足りていれば要らない、というものでもありません。UD で全員の土台を上げ、それでも足りない生徒に合理的配慮を重ねます。
校種別の違い
| 校種 | 特徴 |
|---|---|
| 小学校 | 担任が中心に決める。外国語では文字の負担の調整が多い |
| 中学校 | 教科担任に共有する仕組みが要る。定期テストの配慮(時間・読み上げ)の判断 |
| 高校 | 入試での配慮(大学入学共通テストの受験上の配慮など)につながる記録を残す |
| 塾 | 2024年から事業者も義務。申し出があれば、プリントの拡大・音声・時間の調整から |
この用語が出てくる教材と記事
- 英語授業のユニバーサルデザイン。全員向けの設計(土台)を書いた本編です。
- ICTとデジタル教科書の使い方。読み上げ・拡大・録音など、配慮に使える機能です。
- ワークシートの教材一覧。書体と余白を整えた紙で、拡大の土台になります。
- 全員向けの設計は授業のユニバーサルデザイン、機能の実物はデジタル教科書へ。