英語のスピーチコンテストは、大会当日ではなく申込締切から逆算して動きます。高円宮杯につながる都道府県大会は申込のときに弁論原稿を添えて出すところが多く、締切が8月中という県も少なくありません(2026年度は東京都・大阪が8月21日、神奈川が8月20日)。9月上旬が締切の県でも、締切後の手直しを認めない要項があります。つまり原稿は夏休みのうちに仕上がっている必要があり、2学期に残るのは暗記と仕上げ——ところが、その進め方はどこにも書いてありません。前任者のやり方も引き継がれず、毎年ゼロから設計している先生が多い指導です。
このシートは、その4週間を紙1枚に落としたものです。表と裏が生徒の作業面(原稿づくり/見直しと練習の記録)、3ページ目が指導者用の進め方。放課後に「今日は何をやろうか」と考える時間がなくなります。
この教材で解決できる悩み
- 代表は決まったが、原稿指導をどの順番で進めればいいか分からない
- 生徒が「環境問題は大切です」のような、だれでも書ける原稿を持ってくる
- 添削しているうちに、自分が書いた英語になってしまう(本番で本人が言えない)
- 暗記まではできたのに、本番は原稿を思い出すだけの発表になってしまった
教材の概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 中1〜中3(弁論・校内スピーチ・授業のスピーチ発表にも。特定の教科書・単元に依存しません) |
| 構成 | 表=相手と体験を決める/4部品でメモ/長さの目安/英語で書く 裏=見直しチェック・暗記の5段階・練習の記録10回分 3ページ目=教師用(4週間の割り付け・添削の順番・デリバリー・校内選考) |
| 時間 | 授業で使うなら1時間(表の1・2+4の型で英語2文まで)。放課後の指導なら4週間×週3回×15〜20分 |
| 形式 | A4・3ページ(生徒配布は表裏1枚)・無料PDF |
「何を書くか」で9割決まります
原稿指導でいちばん時間を使うべきなのは英語ではなく、話す中身です。テーマを先に決めさせると「環境」「平和」「SDGs」のような大きな言葉から始まり、そこから体験を探すことになって行き詰まります。
このシートが最初に聞くのは、テーマではなく聞いてもらう相手とそう思ったきっかけの体験です。相手が決まると語り方が決まり、体験が1つ決まると構成はほぼ自動的に決まります。1週目は英語を書かせず、日本語のメモと口頭で3分話させるだけにしてください。ここで話せない子は、英語にしても話せません。
つかみ・体験・気づき・呼びかけの4部品
構成は4つの部品に固定してあります。とくに効くのは、最後の呼びかけが最初のつかみに答えるという縛りです。「Have you ever 〜?」で始めたなら、最後は聞き手がそれをやってみたくなる1文で終わる。この輪が閉じているだけで、原稿は最後まで聞ける形になります。
体験を2つ以上入れないことも紙に書いてあります。時間が限られたスピーチでは、体験を足すほど1つあたりの描写が浅くなり、聞いている人には何も残りません。
長さの目安は表の3で示しました。読む速さは1分あたり100〜120語くらいなので、3分なら300〜350語。5分は計算上500〜600語ですが、本番は間を取るぶん長くなるので450〜550語で作らせると安全です。制限時間は上限であって目標ではありません。申込締切・提出物・制限時間・原稿の決まりは大会ごとに大きく違うので、要項を必ず先に確認してください。
添削は「直す」のではなく「選ばせる」
3ページ目の指導手順で最も強調したのは、赤ペンを入れる順番です。中身→構成→英語の順に見て、英語の添削は清書の前に1回だけまとめます。最初から英語の細部を直すと、生徒は書き直しに追われて中身を考えなくなります。
そして、大人が書き直した文は本番で必ず止まります。言い回しを直したいときは、こちらが2つ案を出してどちらか選ばせてください。選ぶ作業なら本人の言葉のまま良くなり、「なぜそちらが良いか」を言わせれば指導にもなります。
暗記は5段階に分けます
「覚えてきて」とだけ言うと、生徒は文字を丸暗記して、本番で1か所つまると全部飛びます。裏面では、①音を入れる(先生やALTの読みをまねる)②意味の固まりで区切る③半分見ないで言う④立って時間を計って通す⑤3人の前で伝える、の5段階に分けました。
段階ごとに「できた合図」を書いてあるので、生徒が自分で次に進めます。練習の記録欄は10回分。日付・段階・かかった時間を残していくと、通しの時間が毎回ほぼ同じになった時点が仕上がりの合図になります。音読の負荷のかけ方は音読指導の設計、直すべき音の優先順位は発音指導の優先順位にまとめてあります。
授業でも使えます(全員に書かせてから選ぶ)
表の1・2に4の型を足して授業で1時間使うと(①聞き手と体験を決める10分→②日本語メモ20分→④の型でつかみと体験を英語2文10分→ペアで声に出す10分)、全員が「自分の体験を英語で話す」経験をします。そのうえで希望者を募る形にすると、指名で連れてくるより本人の動機が強く、原稿づくりも速く進みます。選に漏れた生徒の原稿は、中2・将来の夢スピーチや中3・3年間のふりかえりスピーチのパフォーマンステストにそのまま使えます。
指導全体の設計(校内選考の時期・ALTとの分担・当日の引率まで)は英語スピーチコンテストの指導にまとめました。行事と授業を切り離さない考え方は学校行事の英語授業活用術もどうぞ。
