6年生の担任です。うちのクラスの英語は活動が中心で、文法をきちんと教えているとは言えません。先日、保護者からも「このままで中学の英語についていけますか」と聞かれ、答えに詰まってしまいました。(小6担任)
結論: 中1でつまずくのは会話ではなく、文字
公立中学校で英語を10年教えてきた立場から答えます。中1の最初の数か月で子どもがつまずく場所は、はっきり決まっています。文字です。会話でも文法でもありません。
小学校で英語をたっぷり話してきた子でも、文字の名前があやふや、四線のどこに書くか分からない、ローマ字の読みと英語のつづりを混同している——この状態で中1に入ると、最初の定期テストの「書く」で点を落とし、そこで英語嫌いが始まります。逆に、話す経験が同じでも文字の足場がある子は、文法が始まってもついていきます。ご相談の不安の的を、活動や文法から文字に移してください。
卒業までに届いていてほしいのは、この3つ
| 届いていてほしい姿 | 見る・そろえる道具 | |
|---|---|---|
| 1 | 大文字・小文字の名前が言え、見分けられる | アルファベットの教材/3年間の道すじ |
| 2 | 四線に、語と語の間をあけて書き写せる | 単元パックのかきかたワーク |
| 3 | 音と文字は別もの、と知っている | 文字と音の記事(つづりの読み方は中学が引き受ける) |
3つ目は補足がいります。cat を見て /k/ /æ/ /t/ と読み解く力(フォニックス的な力)は、小学校の目標に入っていません。必要なのは、「エー」という名前と、語の中の音は別ものらしい、という気づきまでです。ここまで届いていれば、中学校の音と文字の指導が乗ります。年間の到達の全体像はcan-doリストにしてあります。
「文法を教えていない」は、弱点ではありません
小学校が文法の説明をしないのは、手抜きではなく分担です。語順や形の説明は中学校が最初から教え直します。そのとき効いてくるのは、説明を初めて聞いたときに「ああ、あの言い方のことか」と思い出せる音の貯金です。I want to .... を何十回も口にしてきた子は、不定詞の説明を「知っている英語の名前づけ」として聞けます。口にしたことのない子は、説明を暗号として聞きます。
だから、活動中心の授業はそのままでいい。話す量は、実は小学校のほうが中学校より多いくらいです。減らす必要はまったくありません。
保護者への答え方
聞かれたら、こう答えれば足ります。「話す経験と文字の基礎は小学校でここまでやります。文法の説明は中学校が最初から教え直すので、先取りは要りません。ご家庭で何かするなら、アルファベットと、英語の歌や動画を楽しむことで十分です」。
先取り塾を勧める必要も、止める必要もありません。小学校の側で上の3つがそろっていれば、中1の入り口は越えられます。6年3学期の卒業前の発表まで走り切ったクラスなら、なおさら心配は要りません。