2学期最初の授業で軽く1学期の復習問題をやらせたら、想像以上にできませんでした。三単現のsはほぼ全滅、be動詞と一般動詞の区別も怪しい生徒が半分います。1学期にあれだけ練習したのに、と正直がっかりしています。Unit 1に戻ってやり直すべきでしょうか。それとも予定どおり進むべきでしょうか。(中1担当・教職4年目)
結論: 戻らない。「診断→帯で回収→新単元に混ぜる」で進みながら思い出させる
まず前提から。6週間使わなかった知識が抜けるのは、記憶の仕組みとして正常です。あなたの1学期の指導が失敗だったのではなく、夏休みはどの教室でも平等に忘却を起こします。だから問いは「なぜ忘れたのか」ではなく「思い出させる仕組みをどこに置くか」です。そして単元をまるごと戻るのは、一番割に合わない選択です。進度は死に、1学期にできていた生徒は退屈し、2学期の初週から教室の空気が重くなります。復習は独立した時間として確保するのではなく、進みながら埋め込みます。
手当て1: 初日の診断は「10分・ノー成績」で穴の地図を作る
最初にやることは、クラスのどこが抜けたかを正確に知ることです。10分で解ける小テストを1枚、成績にしないと宣言したうえでやらせて、文法項目ごとの正答率だけ拾います。採点は記号問題中心なら回収後15分で終わりますし、隣どうし交換の自己採点でもかまいません。大事なのは点数ではなく分布です。「三単現は3割、疑問文は7割」のような地図ができると、このあと2学期のどの帯で何を回すかが決められます。全部を等しく復習する必要はありません。抜けた項目だけ手当てすれば十分です。
手当て2: 復習は授業の頭5分の帯に載せる——単元の時間は使わない
穴の地図ができたら、回収は毎時間の帯活動が引き受けます。正答率が低かった文法を口頭ドリルやペアの英問英答の題材にして、同じ型のまま2〜3週間回し続ける。1回の帯で思い出させようとしないのがコツで、5分×10回は50分×1回よりはるかに定着します。帯に載せてしまえば、単元の進度は1時間も犠牲になりません。「復習の時間が取れない」という悩みは、復習を50分単位で考えているときにだけ発生します。
手当て3: 新単元の例文に1学期の文法を意図的に混ぜる
2学期の新出文法は、1学期の形の上に積み上がっています。だから新単元の導入例文や練習問題に、1学期の文法を意図して混ぜ込みます。新出の練習をしながら、否定文や疑問文は1学期の作り方をもう一度通る——生徒には復習と気づかれない形で、既習が何度も戻ってくる設計です。教科書の練習問題だけだと新出形に偏るので、口頭のやり取りや自作の1枚に混ぜるのが現実的です。
忘れられた1学期は、消えたのではなく沈んでいるだけ
一度学んだものは、ゼロからやり直すより桁違いに速く戻ります。9月の教室で問われているのは、1学期の指導の出来ではなく、沈んだものを引き上げる仕組みを持っているかどうかです。診断で場所を特定し、帯で毎時間すくい上げ、新単元の中でもう一度使わせる。この3つが回りはじめると、10月ごろ「そういえば最近、三単現の抜けを見なくなった」と気づく日が来ます。