1人1台端末を授業で使うよう言われていますが、正直、英語の授業では邪魔に感じています。開かせれば関係ないタブを見る生徒が出るし、書く活動では翻訳サイトに頼ってしまう。かといって「今日は使いません」を続けるのも肩身が狭く……。(中1担当・教職5年目)
結論: 「禁止か解禁か」をやめて、端末に役割を1つだけ与える
端末が邪魔になるのは、生徒の自制心の問題ではなく、役割が決まっていない道具が机の上にあるからです。定規を配れば測り、ハサミを配れば切る。端末も同じで、「この10分間、端末は録音機です」と役割を1つに固定すれば、関係ない画面は激減します。逆に「調べてもいいよ」のような役割の広い指示は、迷子の入口になります。
運用の土台: 開く時間と閉じる時間を宣言する
使う・使わないを毎回その場で判断すると、生徒との攻防が生まれます。授業の頭に「今日は後半15分だけ端末を使います。それまでは閉じたまま」と宣言し、使わない時間は画面を伏せる(またはしまう)を合図で徹底します。ポイントは、使う時間を先に約束すること。「あとで使える」と分かっていれば、前半に隠れて触る動機が減ります。
英語授業の勝ちパターンは3つ
いろいろ試すより、効果が確認しやすいこの3つから始めるのがおすすめです。
- 音読の録音提出——教科書本文を各自のペースで録音し、提出させます。全員が同時に声を出せて、声の小さい生徒も提出でき、教師は通勤中でも確認できます。「読ませても身についているか分からない」問題への一番の特効薬です
- 帯活動の準備1分——Small Talkの前に「話すネタを1分だけ調べてよい」時間を作ります。調べる目的が「直後に話すため」に固定されるので、脱線しにくい構造です
- 対話の記録係——ペア活動の会話を録音し、あとで「自分の言えなかった一言」を書き出させます。活動のやりっぱなしを防ぎ、振り返りの材料が自動でたまります
翻訳アプリは、禁止せずに「扱い方」を教える
書く活動での翻訳頼みは、禁止してもいたちごっこです(家庭学習では止められません)。それより「翻訳は下書き係。提出するのは自分の言葉」と扱い方を教えます。具体的には、翻訳結果をそのまま写すのではなく、①自分の知っている単語に置き換える ②習った文型に直す、の2ステップを課します。翻訳文はたいてい習っていない文法を含むので、「これ、まだ習ってないよね?」の一言で見分けられることも伝えておくと抑止になります。
「使わない勇気」も専門性のうち
なお、すべての授業で端末を使う必要はありません。ペアで顔を上げて話す時間、紙に手で書く時間の価値は、端末では代替できません。「今日は使わない」を選ぶのも、道具の役割を決めるという意味では同じ運用です。使う日は役割を1つ、使わない日は堂々と使わない——その線引きこそが、端末を文房具に変えます。