中3を担当しています。教科書はまだ関係代名詞の途中なのに、生徒からは「入試対策やらないんですか」と言われ、保護者面談でも塾と比較されます。教科書を進めるべきか、思い切って対策演習に切り替えるべきか、毎年秋になると同じことで悩んでいます。(中3担当・教職7年目)
結論: 切り替えない。教科書の授業に入試の型を混ぜる
「教科書か対策か」の二択で考えると、どちらを選んでも失うものが大きすぎます。教科書を止めれば未習文法(関係代名詞・仮定法あたり)が入試本番に間に合わず、対策を後回しにすれば生徒の不安が募る。答えは切り替えではなく混ぜ込みです。授業の骨格は教科書のまま、入試の型に触れる時間を毎時間の中に構造として埋め込みます。
混ぜ方1: 授業の頭10分を「入試の帯」にする
週4コマなら、帯10分×4回で1学期に約40回の実戦機会が作れます。大事なのは、毎回ちがう問題をやることではなく、大問タイプ別に型を身につけさせることです。説明文・対話文・資料読解など、公立入試の大問タイプごとに1枚で完結するシートを順に回すと、「初見の長文をどう読むか」の手順が蓄積されます。当サイトの入試チャレンジは、まさにこの帯用に作った大問タイプ別・自己採点完結型のシリーズです。
混ぜ方2: 教科書本文を「初見長文」として扱う日を作る
単元の最初の本文に入る日だけ、いきなり音読やオーラルイントロダクションから入らず、「初見で読んで、設問に答える」入試方式で扱います。教材は教科書のままなのに、生徒の頭の使い方は入試演習と同じになります。進度は1ミリも失いません。読んだあとに通常の精読・音読へ進めば、むしろ本文への集中度が上がります。
混ぜ方3: 残り時数の逆算表を、生徒にも見せる
「対策やらないんですか」という生徒の声の正体は、多くの場合、見通しの不安です。残り単元×必要時数を数えて、「1月○週までに教科書を終える → 以降は演習に全振り」という逆算表を作り、それを生徒にも見せてください。「この計画で間に合う。だから今は関係代名詞を最速で仕上げるのが一番の入試対策」と言い切れると、教室の空気が変わります。
塾と比べられたら
学校の授業は塾と同じ土俵で戦う必要はありません。塾は受講生の得点を上げる場所、学校は全員を入試に連れて行く場所です。帯の型練習と未習文法の完成は、塾に通っていない生徒にとっては唯一の対策であり、通っている生徒にとっても土台になります。保護者には「授業では全員に必要な型と残りの文法を、この計画で仕上げます」と逆算表を添えて説明すれば十分です。
秋の焦りは、設計で消える
入試対策は「いつ切り替えるか」ではなく「どう混ぜるか」。この設計に変えた年から、秋の板挟みは計画の説明で解ける問題になります。教科書のゴールと入試のスタートを、同じ線路の上に載せてしまいましょう。